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黒王国物語 第1回目  作者: 朝倉あつき
第4章 運命が近付く
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第4章 運命が近付く(1)

 朝の鳥が悲鳴を上げ、飛んでいく。

 その様を、ずっと、ずっと、エレンは見ていた。

 先日、ミツル・カヅキが自分を殺そうと毒入りの饅頭を拵えて来た。

 事無きことを終えたが、その事にエレンは胸を痛めていた。

「エレン姫様、ここへいらしていたのですか」

「あ、ウィルさん」

 そこに、シュヴァルツ王国の元帥だったウィルがやって来る。

 ウィルの目にはまたもや隈が出来ていた。

「ずっと最近、ウィルさんは考え事をしていらっしゃいますが、どうされたんですか?」

「エレン姫様、貴方様はただ、シュヴァルツ王国の事を考えていて下さいね」

「ウィルさん、私は考えています。必ずやお父様の遺言を果たすつもりです」

「エレン姫様。私達は、その為に動いているのです。貴方はただ前を見据えていて下さい」

 ウィルはそう言い、振り返る。すると、自分の弟――フェイが自分とエレンを見据えていたのを知った。

「あ、フーくん!」

「兄上の前だ、エレン姫様。全く、勝手に出歩くのはいい加減にしろとあれ程言ってるだろ!」

「あ、ごめんごめん」

「本当に思ってるのか? 全く、俺の苦労も分かってくれよ」

 フェイが苦言をするや、エレンは大丈夫とだけ言って、フェイとウィルから少し離れた場所で朝の空気を吸った。

「兄上、私は思うのです。エレン姫はこのまま、何も重みを持たず生きて欲しいと。それは、姫護衛騎士として間違った考えなのでしょうか?」

「フェイ、そうですね。私が行っている行動からすれば、それは裏切りに等しいです。でも、その気持ちも分かりますよ」

「兄上……、私は、エレン姫様には普通の幸せを抱いて欲しい。本音を言うと。だけど、だけど、シュヴァルツ王国を復興して欲しいのも事実なのです」

 それは護衛騎士として悩ましき思いだった。兄も周りの者も、シュヴァルツ王国の為に動いている。

 やはり、これは、裏切りなのだろうか。

「フェイ、貴方は変わらないで下さいね。純粋に、エレン姫様を守るのです」

「兄上……」

 ふと、フェイは頭を過ぎる事があった。

 自分の兄は、まさか、倫理的に良からぬ事をしているのではないかと。

 いや、それは間違いだ。兄が国の為に下の者に命じ、間違ったことをしているのではないかと。

 まだ、フェイは知らない。純粋に姫と国を思うフェイの裏側で、行われている数々の出来事を未だ知らぬままでいた。

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