城南事件帳
「一体あいつは毎日毎日職場を何だと思ってるんだ?」
ツンツンした茶色短髪の恵三四郎係長は、全身で 怒りをあらわにしていた。 いつもの ように 大崎署 刑事課では朝の朝礼を行っていたのだが、いまだ 課員の 梅宮刑事が姿を見せないのだ。 それで、カリカリしていたというわけ。
まぁた、 恵係長、おかんむりだよ。それにしても、 自分じゃいいと思って頭の毛を茶色に染めたんだろうけど、 数日経つのに、 未だに似合ってないよねえ。顔が貧相なところを持ってきて背は低いし話も面白くないし、よく 係長になったよなあ。それはそうと、 梅宮さんも全く懲りてないよね。 何度怒鳴られても、毎朝遅刻してくるんだからさあ。
そんな風に 羽生刑事が上司の悪口を頭の中でつぶやいていると、
「お、お、おはようございますっ」
いきなり ドアが開いたと思ったら、息せき切って噂の主が駆け込んできた。
「ああ、もう、 刑事課の皆さん、 お出ましで」
「お出ましじゃない。 遅いじゃないですかっ! 何時だと思ってるんですか。 時間に ルーズなやつは 仕事もルーズって、 僕は口を酸っぱくして いつも言ってるでしょう、えっ、 梅宮くん。 わかってんのか? お前は?」
「わかっております。 すいません」
「 謝って済むなら 警察 いらないんだよっ! そうだろ」
もう少し、 なんか、芸のあること 言えないかねえ、 この係長は。毎度毎度、 バカのひとつ覚え よろしく、「 警察 いらないんだよ」「 警察 いらないんだよ」って、 一番要らないの係長でしょ、まったく・・
すると、 どうした わけか、 梅宮を叱責していたはずの恵係長がいきなり、ジロッと 羽生を一瞥したから、睨まれた本人は 肝が潰れるほどに びっくらこいた。
「今、なんか言った?」 冷たい目を向けた上司に、
「えっ!」体が硬直してしまった。
「なな、な、 何とも思っておりませんが・・」 返した後から、しまった、ヘンなこと 言っちゃった、まずい。しかし、 もう、後の祭りだった。




