表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この街には殺し屋が多すぎる  作者: 43番
第三部
38/51

剣と鏡

 気を失った尚葉を取り巻きたちが慌てて後方へと運ぶ。母を心配する尚子と一緒に後ろへ下がったのを確認した那夜朗は改めてT・レックスに問いただした。無論T・レックスの胸元に輝く謎の物体についてである。



「こいつは確か…仁沢賀瀬家の秘宝の一つ!名前は…」


「流石だな。次期当主に名乗りあげているだけのことはある。その通り。こいつは仁沢賀瀬家の秘宝の一つ、『法保化鏡ホウホケキョウ』だ」


「なっ!?貴様が何故仁沢賀瀬家の秘宝を持っている??まさかいつの間にか盗んでいたというのか?!」



 何時になく焦る那夜朗に対してT・レックスは余裕のある笑みを見せた。まるで全てを見透かしたような不気味な表情である。



「盗むとは人聞きが悪いな。こいつは元々私のものだ。貴様も仁沢賀瀬家の者なら聞いたことがあるだろう?仁沢賀瀬家には三種の神器があることを」


「…何故それを?」



 T・レックスの発言に那夜朗は仰け反りそうになった。本来であれば仁沢賀瀬家の人間以外は知ることのない情報である。それを部外者であるこの男が何故知っているのか。得体の知れない恐怖に那夜朗はブルブルと震え出した。



「…貴様の言う通りだ。一つは当主の証である黄金色の宝玉、一つは私の手にある『覇羅素面刀ハラスメント』、そしてもう一つ、『法保化鏡ホウホケキョウ』。だがそれはあり得ない。何故なら『法保化鏡』は仁沢賀瀬家の大金庫に長年封印されているからだ。私も幼い頃に写真で見て以来、実物は見たことがない」


「ほう?それは何処の情報だ?さっきまで威勢が良かった尚葉の話か?全く嘘つきな所は昔から変わらんようだな」


「…貴様…お喋りが過ぎるようだな。その減らず口を永遠に黙らせてやろう」



 那夜朗は妖刀を天に掲げるように振り上げる。すると妖刀の刀身から再び紫色の禍々しいオーラが溢れ出した。オーラは一気に那夜朗の全身を包み込む。一方のT・レックスも鏡の前で印を組むと何やら呪文のような言葉を唱え始めた。二人の動きに周りの人間たちは圧倒されて身動きすらできない状態である。唯一金野だけは冷静に二人の様子を観察して他の人間に類が及ばないかを見ている。



「仁沢賀瀬流奥義『魔汰覇羅またはら』!」



 那夜朗の叫びと共に振りかぶった妖刀のオーラがT・レックスへと向かっていく。だがT・レックスは避けることなく真正面に手をかざすと、そのまま妖刀のオーラを受け止めた。オーラの直撃を受けたもののT・レックスはダメージを受けた様子がない。よく見るとT・レックスの前にアクリル板のような丸い透明なバリアが浮かび上がっている。そしてバリアに共鳴するようにT・レックスの胸元の鏡が光輝いていた。



「!?くっ……その鏡は偽物ではないのか?『覇羅素面刀』の妖気をマトモに受けても無傷とは…」


「これで信じたか?既に秘宝の一つは我が手にあると」


「一体何が目的だ?あの宝玉を仁沢賀瀬家から奪ってどうするつもりだ?全ては組織や貴様らの国家のためか?」


「…奪う?国家のため…??」



 T・レックスは那夜朗の言葉に不機嫌そうな表情で返した。まるで心外な発言をされたことに対する怒りでもあるようだ。



「残念ながら全て不正解だ。私の真の目的は仁沢賀瀬家から返してもらうことだ。『秘宝』も『当主の座』も、そして私自身の人生も」



 T・レックスは鋭い目つきで那夜朗を睨みつける。那夜朗はT・レックスの気迫に押されそうだったが、咳払いすると周りのヤクザや取り巻きたちに目を向けた。



「お前たち、何をしている!サッサと奴らを始末しろ!どれだけ高い金をお前たちに払ってやってると思ってるんだ!」



 那夜朗の言葉で我に返った取り巻きたちは一斉に武器をT・レックスたちに向けると攻撃を開始した。一方でT・レックスもまた自身の部下たちに命令を下す。



「さあ諸君、遠慮はいらん。パーティの始まりと行こうじゃないか!」


「「「イエス、マイボス!!」」」



 T・レックスの号令でついに仁沢賀瀬家の連合軍とT・レックスら組織との全面戦争が始まった。そしてその裏で遥か先にある仁沢賀瀬家の本邸からも戦いの火蓋が切られようとしていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ