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この街には殺し屋が多すぎる  作者: 43番
第三部
39/51

『仲間』たち

 さて仁沢賀瀬家とT・レックスの組織がぶつかり合っている中、仁沢賀瀬本邸の玄関前では『仲間』の武装集団を率いたシーラが乗り込んでいた。シーラに促される形で案茂は駆け寄る。



無人ないと、そちらに行ってはダメ!!」



 背後から母である案茂ニアことゼンの必死の叫びが聞こえたが、案茂は完全に無視した。最愛の息子に逃げられたことに焦るゼンの両脇にはレツとザイが控えている。レツは自身の右袖から蔦を生やして案茂に差し向けたが、その前に組織の『仲間』が立ちはだかった。首に蔦を巻き付けられた『仲間』は動じることなく、あっさりと蔦を引きちぎる。



「…なるほど。その屈強な体は決して見掛け倒しではないということか」



 思いがけない展開に対してレツは冷静に状況を見据えた。両者半ば硬直状態となりつつある中、今度はザイが前に出てきた。ザイの両目が怪しく光り輝いている。



「まずい!シーラ、アイツと目を合わせるな!」



 ザイを見て案茂は慌ててシーラの視界を手で覆った。だがザイはニヤリと笑っている。ザイの狙いはシーラだけではなく、周りの『仲間』にあるようだ。彼等を操ることで優位に進めようとしている。ザイの狙い通りかシーラの『仲間』たちの動きが止まった。



「お前たちどうした?また機能不全か?」


「…クックックック、残念だ。これで我等の勝利よ」



 ザイが勝ち誇ったように笑った。案茂の背筋が凍る。既にザイの能力で洗脳が完了したとなると非常にまずい状況だ。すると『仲間』たちがゆっくりと前へと出だした。『仲間』たちは持っている武器を構えるとゼンたちへとそのまま向け始める。



「…!?どういうことだ?」



 驚いたのはレツの方だった。先程までの余裕が嘘のように動揺している。ゼンも戸惑いの色を隠せない。慌ててザイの方を見ると、ザイもまた自身の能力が通用しないことに愕然としていた。



「馬鹿な…操り師である私の力が効かないだと!?…コイツらは一体…?」


「残念だな、よく分からん催眠とかいうのはコイツらには通用しない」



 シーラがドヤ顔を見せる。そしてゼンたちの動きが止まるのを見た瞬間、『仲間』たちは攻撃を開始した。無数の銃弾が飛び交い、玄関前はさながら戦場と化す。仁沢賀瀬家の立派な門や塀に次々と弾痕が刻まれていく。



「二人共、危ない!」



 咄嗟にレツは全身から蔦を生やして自ら盾となりゼンとザイを守る。が、弾丸は蔦を次々と貫き、レツの体にどんどん突き刺さった。レツの体から血が噴き出す。やがてレツは口から血を吐くと、ゼンに向かって叫んだ。



「…ゼン、早く本懐を遂げますよう…此処で斃れてはいけません…」


「れ、レツ…」


「ぐっ、レツ…おのれ、コイツら只の人間ではないな!!」


「ザイ、早く次の手を!」


「お任せください、急ぎ中の黒服たちを招集します!」


「………二人共、どうかご無事で…」


「レツ、これまでご苦労さまでした…ゆっくりと眠りなさい」



 ゼンの言葉を受けたレツは立ったまま蔦のバリアで玄関前を覆い尽くすとそのまま絶命した。無数の蔦で足止めしている間も『仲間』たちはじわりじわりとゼンたちの元へと近づいていく。一方でザイはその場で印を組むと何やら呪文を唱えている。



「よし、いいぞ!お前ら、このまま奴等を制圧しろ!」



 シーラが背後から『仲間』たちに命令を下す。が、突如案茂が前に飛び出した。案茂の意表を突いた行動に驚いたシーラが慌てて案茂を呼び戻す。



「おい、アンモナイト!お前一体どういうつもりだ!?」


「…すまないシーラ…このゼンって人は俺の母親なんだ」


「はあ??母親?あんなのが?」


「ああ、だからこそどうしてもこの手で片を付ける必要がある」



 案茂はレツの生やした蔦のバリアの中にいるゼンに向かってゆっくりと歩み寄った。

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