もうロン毛ではない、だと?!
「渥美君は、もうロン毛とはいわないと思う」
待ち合わせから、クララ嬢の開口一番がこの言葉である。
背中にかかる程に伸びたが、ロン毛でないとはこれ如何に。
「三つ編みとかできそうよね」
「流石にそこまで長くはないよ!?」
肩口越えて来たばっかじゃせいぜい一回二回結べるかどうかでしょ!?
長髪とロン毛ロングヘアーの何が違うか。
歴史を語らなければなるまい。
そもそも“ロン毛”の始まりは、えぐ…有名な俳優のヘアスタイルに遡る。
それ以前は、たけ…教師役な俳優のが有名ではあるが、まさに真面目な教師の“なんですか”では若者が真似ようがハズもない。
当時はロン毛ではなく長髪。一般的には、オタクの代名詞であったが、さる俳優の活躍により長髪は見事“ロン毛”として認識され、世間に認められる次第と相成った。
それ以前は、男子は短髪でなければ、ヤンキーか不良扱い。
リーゼントですな。それ以前は、男子は短髪でなければ、ヤンキーか不良扱い。シンガーの髪型もただもっさい長髪でしかなかったのだ。
ロン毛=かっこいい。
この図式は、平成初期のドラマにて覆った。後に襟足を伸ばすヤン毛やシンガーによるサムライの丁髷のように縛り襟足を刈る奇抜なスタイルすら大衆に受け入れられ、ブラウン管と呼ばれた時代のテレビ外。思い思いのに真似る若者が街中を歩く足掛かりとなったと言っても過言ではない。
尚、足掛けとなったのは先行試作機であるお兄ちゃん俳優で、現在も有名なキ〇タクは後期型である事は語る必要はないだろう。
ロン毛をさらに染めるなど邪道なのだっ!!
-わかるな?
「えへへ、そうかもね。へへ?」
そんな意味不明な思いを込めて、とびきりの笑顔を返す。
「海人君、渥美君笑ってるのに妙な威圧感が…」
「…だから、髪の長さにふれちゃいけないって言ったんだよ」
ガクガクと海人を揺さぶるクララ嬢。
なんと言うかしばらく見ない内にすっかり熱が冷め、イケメンに~ではなく、友達として関係が確立してるご様子。
「でもでも、渥美君の場合。髪の毛の伸ばしてるから女の子が近寄りたがらないのよ?」
-∥∥orz∥。
「マジすか」
「おおマジよ?」
「……そんなばかな話が」
「まぁ、短くしてもモテる保証できないけどマシだと思うわよ」
―で、切るの切らないの?
どうしてこんな事に!?
しかし、なんとかカットだけで勘弁してもらえる事になった。
「罰ゲームじゃあるまいしなんでそんな話になってるんだ?」
「髪の毛切ったら中学の時の同級生に声かけといてくれるって言ったし」
大差ないからそこまで力入れはしないそうだけど、新たな方向性に足を向けるキッカケは出来たはず。
「せっかく綺麗な髪してるのに…」
「なんか言ったか?」
「いや、なんでもない」
でも、ほめ言葉として受け取ったらアウトな言葉吐くのやめな?
とりあえず、いまのは聞かなかった事にしてやるからきをつけろ。
▼
本の匂いが香る。エアコンは涼しい。
市営図書館万歳。
「…まあ、“みんな”順調に進んでると言う結果でしたね」
まあ、百席ある椅子の大半が同じ学校に支配されてるのはナイショだ。
申し合わせた訳ではなく、別々に訪れて、知り合い同士のコミュニティーが出来ていた。
クララ嬢がどっか行っちまいやがったのに、海人は当然のように隣に常駐。
「椎名さんどこ行った?」
「渥美君に頼まれたから人集めに行ってる」
他校じゃなくて同じ学校にいる同級生で終わりそうな予感。
まぁ、クララ嬢は落ち着いたとは言え海人にタゲを向けたくないとなれば、ANPAIの知り合いに厳選されるのは自明の理か。
たぁが、オレの狙いは海人が忙しくなる事であって、自らの彼女探しではないから困ったもんだ。
さぁ、どうする。
真に海人のための女の子集めであるならば、おっぱいデカくないとならない。
、椎名さんには、できたらおっぱいでかい子を集めてほしいところだが…。
言うべきか、言わざるべきか。
―それが問題だ。
語るに落ちたか




