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リサーチ

正直に言おう。計画は頓挫していたが、オレはまだ諦めた訳ではない。


夏休みに入り、アルバイトと言う恰好の餌を与えられ油断している今こそチャンスなのだ。


小遣い以外の収入があると解れば気持ちも大らかになる。

財布の口も広くなれば、海人の女の子へのアプローチも変わるだろう。


さぁ野獣よ。今こそ野生を解き放つがいい。


「夏休み中の予定とかないのかよ」


すっかりイケメンが下火になってしまった海人に問いかける。

非モテでもないクセにひたすらオレと同じテーブルで勉強とかありえないだろ。昼間は女の子と遊びに行くとかしないともったいないよな。


「一応、今週末に勉強会とカラオケの予定は入ってる」


とりあえず七月中に宿題の半分を片付けて、勉強会をしながら片付けながら遊びに行く話は入ってるらしい。


が、海人からは連絡入れないで向こうからの連絡次第だそうだ。なんか、自然消滅狙ってる彼氏みたいになってない?


仕方なく「オレも参加するから連絡入れとけ」と言えば「…後で」と答える具合に消極的。


毎日のように個別のお誘いはあるらしいから心配しているのはその事だ。


「女の子からのお誘いを断るとか何で?」


「いや、まだ夏休み始まったばっかりだから、今カラオケ行くと後半の小遣いが…」


お祭りとか行くとき寂しくなるとか現実的な理由だった。別にカラオケボックスに集まらんでもいいと思うけどな。


ウチみたいに誰かの家に集まればいいのに。

学校周辺が集合場所になってるから状況に変化がないんじゃないか?

もっと集まり易い環境を整えてやれば、自然とそこに集まるようになるんじゃないかね。


まぁ、女の子達の家から離れてるから海人宅は難しいと思うが、真ん中あたりの地域に何かないか探るべきか。


お金かからないようにと考えたらやはり有望なのは図書館か。

「カラオケボックスはもったいないし、図書館に集まるようにしないか」


「図書館?」


「冷房効いてて、日中は無料で居座ってても怒られないのってそんくらいしかないくない?」

女の子達は、ドリンクバーでファミレスに何時間も居座れるらしいが…。


男はそうもいかんのよ。カッコつけたがる生き物だから、店員さんとかの人目がまた気になるのだよ。


居座ってられるのは、ウェーイな人達で多分遊び過ぎて感性がおかしくなってるだけな。


それに、知らない目があれば、ベタベタされる事もないし、騒がしくする事もないだろうしな。


カラオケボックスより図書館の方が、海人にとっての利点が多い訳よ。


飲食代は別途かかるがリスクは思うより少ないと思うのだが?

勢い余って押し倒される心配も要らないぞ。


まぁ、エロ漫画なら学校の図書室はある意味王道の一つではあるが、カメラたくさんついた市営図書館ではおこるまいよ。


やるのは相当バカだと思う。


今時は予約で個室借りられたりするらしいけど、借りられても借りなくていいだけだろ。


なるべく自然な形で勉強会になるようにしたいんだからな。


「宿題なら奏と二人でヤってれば終わると思うよ?」


そりゃそうだろうよ。


お互い脇目も振らず黙々と勉強してるから、そりゃ問題なく終わるだろう。


けど、そこで夏(宿題)を終わらせてなんの意味がある。


「そうだな。オレもお前がいなくても一人で終わらせられるし、別々にやるようにするのが一番いいか?」


様式美を否定するならそうなるよな。


解らない所があったら集まって勉強するのが勉強会の醍醐味なんだから、宿題は別々の場所で済ませる流れで構わないよな。

てか、海人と二人で延々と勉強だけするのは辛いものがある。コイツ集中し始めると一言もしゃべらなくなるんだもん。


「…わかった。一人で勉強するの嫌だし、どうにか段取りつけとくよ」


「よろしい」


まずキッカケを作らないと、何も始まらない。

先ずは勉強会と言う形でいいから女の子達と会ってれば、多少なりとも風向きが変わると言うもの。


オレが風となり風を送ろう。お前は帆を張り新天地を目指す船になればいい。


ちょっとカッコつけて言い過ぎたか。


要は頼むからオレの作る状況に流されてくれと願っているだけだ。

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