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月夜に提灯、一花咲かせ  作者: 樫吾春樹
番外編
11/12

番外編 雪柳

 はあ、と小さくため息をつきながら、仕事の準備をする。なんでこの日に限って仕事なんだか、と文句を言いそうになるのを堪えて着替えていた。

「今日、裕人さんの誕生日なんだけどな……」

 愚痴をこぼしている時に、先輩から出発したというラインが来る。

「いってきます」

 誰もいない部屋に向かってそう言い、鍵をかけて待ち合わせ場所へ向かう。だいぶ慣れた景色を見ながら、寒い中歩く。手には普段何も持ってないのに、今日だけは青い袋を持っている。

「おはようございます」

「おはよう。今日はなんか持ってるね。それ何?」

「さあ、なんでしょうね。ところでお誕生日おめでとうございます」

「ありがとう。この歳になると嬉しくもなんともないけどね」

「へー。彼女いなかったのに、そういうこと言うんですか」

「悪かったな」

 今日は僕がからかう側に回る。いつも、やられてばかりだから、たまには僕からの仕返し。そして、持ってきた袋を指して言葉を続ける。

「これ、プレゼントです」

「ありがとう。だけど、バレバレだよ」

「うー。別にいいんですよ。まあ、あとで見てください」

「そうするよ」

 渡せて、僕は少し嬉しくなる。気に入ってくれるといいなと思いながら、車に揺られる。言っていなかった言葉を思い出し、僕は彼の名前を呼んだ。

「裕人さん」

「どうした?」

 少し間を空け、笑顔を浮かべ言葉を紡ぐ。

「大好きです、裕人さん」

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