おやつのクッキーにひとつだけ激辛クッキーが混じっていたら避けられる? 避けられない?
それからは、激動の日々だった。
とは言っても、滑り出しは、かなり静かだった。
なぜなら、受付フォームには最初、ほとんど連絡が来なかったから。
今までの国を捨てる。
それがどれだけ難しいことかを考えれば、当然のことだった。
それでも何人かはついてきてくれる人がいたから、私たちはせっせと元魔王城周辺を開拓。その様子をお手製のサイトで配信していたら、ぽつぽつとフォームに連絡が来るようになり、それがだんだんと一人では捌けない量になると、一気に国として発展した。
それでも最初は国と認めてもらえなかったものの、私たちの国の規模が大きくなるにつれ、近隣諸国が焦り見せるようになった。その状態がしばらく続き、ついに周辺国が、戦争を仕掛けてきた。
恐らく、今までの利益を損いたくないがために、私たちが邪魔だったのだろう。
が、ユウヤはそれを一瞬で無力化し、死傷者を出すことなく戦争を終えた。
無血開城を力技で成した。そんな化け物がいるところに敵対すれば、いつ血の雨が降るかわからない。
そんな想像をしたのか、戦争をした国たちが徐々に私たちと友好関係を持とうとし始め、晴れて国として認められることになった。
そこからはもう、あっというまだった。
安全が確保されたからか、以前助けた商人のガランさんが、本格的に拠点をこちらに移してきたり。
いつまでも伴侶を娶らないユウヤに対してアプローチをしかけるも、年齢差を理由にてんやわんやがあったり。
毎日来る書類の山に、たまには元冒険者らしく身体を動かしたいなんて思う時もある。
言い方悪いこと含めて、色々なことが沢山起こったけれど、ユウヤと過ごせるこの日々は、何物にも変え難いものだった。
本来なら、暗い洞窟で、石として一生を終えるはずだった私。
それを救ってくれたユウヤには、返しても返し切れない恩がある。
だから最近、彼が化け物扱いされている風潮を、どうにかしなければならないのだ。
どうやら、戦争で無血開城したのが相当衝撃的だったらしい。最初から仲間だった私たちや、最初期に移住してきた人間は怯えていないようだけれど、最近この国にやってきた人間は、恐ろしい怪物かのように彼を見ている。
その事実を本人は気にしていないようだけど、私が許せない。
また前みたいに、ひとりぼっちになって欲しくないから。
だから、ユウヤに教えて貰ったドッキリを、今日も彼に仕掛けるのだ。
近づき難くて怖い賢者様というレッテルを剥がす、可愛いドッキリを。
「さて。今日仕掛けるドッキリはこちら! 『おやつのクッキーにひとつだけ激辛クッキーが混じっていたら、避けられる? 避けない?」です!」
※余韻を楽しみたい方は飛ばしてください
少し強引な畳み方でしたが、この物語はここで一区切りとさせていただきます。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
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また、現在連載中の作品が二つあるので、よければそちらもよろしくお願いします。
異世界で魔法などのスキルあり人狼ゲームモノと、超能力使用可能な現代登校競争バトルモノです。




