↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スライムになった私が拾った体を使って好きに生きる話  作者: あやちん
<三章> ミーアとアールヴ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

56/112

〘五十六話〙ミーアの試行錯誤とアールヴのリイ=ナ

 空を飛べてウキウキ気分になった私は、ふよふよ漂うような速度ではあるものの、かなりの時間と魔力を空中散歩に費(つい)やしました。


 おかげで、地上に降り立った時にはもうへとへとで、そのままぺったりお尻を落として座り込んでしまうほどでした。


 ハイになってた私は、降りるまで自分のそんな状態にすら気が付いていませんでした、反省。


 こんなこと、初めて魔法をぶっ放して一気に魔力を消費し気を失うかのように寝入ってしまったアレ。それに乗じて閉じ込められてしまった、あの時以来ではないでしょうか?


 ミーアの魔器官を使って飛行を実現してるせいなのか、スライム体だけの活動に比べるとどうしても魔力の使用量に限界があるみたい……。もちろん慣れてないせいで燃費が悪いってこともあるでしょうけど。

 スライム体全体で見るなら魔(・)力(・)は無尽蔵って言えるほどに有り余ってて、それをうまく活用出来るようになれば際限なく飛べるようになるんでしょうけれど。


 ぶっちゃけ、ミーアの魔器官で生み出される魔力はミーアの体からしか得られてないのではないかと思います。

 まぁそうだとしても、スライム体浸透による身体維持と強力無比な強化を受けてますし、魔器官だって魔獣のものを大量に吸収したおかげか異常に発達してるそうなので、それだけでも普通の人間ではあり得ないレベルの魔力を得てるとは思いますが。

 それは冒険者ギルドでのみんなの反応を見ても明らかで、魔法だって自分で言うのもなんですが、とんでもない威力発揮しちゃってますしね。


 う~ん、ミーアの魔器官にスライム体の魔力が直接使えないことに何か理由があったりするのでしょうかね?


 まぁ考えてもわからないことは先送りです。


 今日はもう疲れました。


 さすがにいきなり寝落ちするほどではないですが、樹海(ここ)で無防備な姿をさらすのはあまりよろしくありません。取り急ぎ寝床を作って、そこでゆっくりするとしましょう。


 その程度ならまだ十分作る余裕があります。


「土のかまくら、マッドドーム」


 私の詠唱ともいえない適当なトリガー句(定型文)でも、固いはずの地面がむくむく盛り上がってきます。もうちょっと厨二っぽい詠唱を考えてたはずですが、どうでもいいですね、ちゃんと発動してますから。


 雪国のかまくら、土バージョン完成です。


 日が暮れるまでにはまだまだ時間はありますが、休むとしましょう。


 私は出来立てのかまくら(マッドドーム)によたよたと入り、入口をこれも土魔法で塞いで完全密閉したところで、もう眠気に耐えられず、スライム体寝袋にくるまったところで眠りに落ちました。


 ちなみに普通の人なら酸欠で死んじゃうと思います。



***



 おはようございます。


 久しぶりに魔器官燃料切れを起こしたミーア、きゅ、九歳です!


 ほんと、ミーアボディはまだまだ貧弱ですね。

 魔器官も相当強化されてるはずなのに、この体たらくです。というか慣れない空を飛ぶ行為に、いきなりのめり込みすぎました。


 まじ反省です。


 それにしても、スライム脳はミーアボディに最適化しているせいなのか、体の状態の影響を受けやすくて困ります。



 さて、昨日は何も出来ないまま眠ってしまったので整理しましょう。


 さんざん空中散歩したおかげで飛行速度は早足程度にはなりました。


 うん、遅いね。


 遅すぎ!


 私はびゅびゅ~んと飛びたいのです。

 要改善案件です。


 魔力消費については慣れれば効率も良くなっていくだろうし、最終的には息をするかのごとく飛べるようになると踏んでいます。


 今日も一日頑張って飛んでいきたいと思います!




 時折現れる、空を飛ぶ魔獣に対処しながら、効率よく飛ぶための試行錯誤を続けてます。


 ちなみに空飛ぶ魔獣は大鷲に似たやつなんですけど、羽は極彩色でやたら派手なうえにサイズも地球の奴の二倍以上は優にあるので油断は禁物。おまけにそいつの特技は雷撃なものだからたまったものではありません。

 攻撃食らっても死んじゃうことはありませんが、最初食らった瞬間硬直してしまい、見事に落っこちてしまいました。ありきたりですがサンダーバードとでも名付けましょう。


 まぁ、焼き鳥にしてあげましたが、それからは見通しの良い空とは言え、索敵をきっちりしながら空飛ぶ練習をしたのは言うまでもありません。



 効率よく飛ぶため何が出来るか考えて、まず一番に試したのは背中の翅についてです。形状やサイズ、厚みなど色々変えてみたのですけれど、結論から言えばどうでもいい感じです。どんな形でもサイズでも飛べるし、出てくる結果も変わりません。


 ただし、どんな形にしろ翅に類するものがないと浮かんでくれないのはどうしたものなの?

 翅を出さずに飛べないかも一応試してみましたけど、飛ぶどころか浮かぶことすらできませんでした。


 吸収したワイバーンの魔器官の特性なのか、私の固定観念のなせる業なのか?

 甚(はなは)だ疑問ではありますが、そうなってしまったものは仕方ないので出来ることで効率化していくとしましょう。


 とりあえず私なりにかっこいいなと思える形に整え、いつでも同じ形で即座に背中に出せるようスライム体に覚え込ませておきます。ミーアの体に呼吸の真似事をさせるのと同じ要領です。


 自動化は効率化の基本です!

 元サラリーマンおじさんの心がそう申しております。


 翅は大羽二枚に小羽二枚の四枚構成。菱形をバランスよく引き伸ばし、角(かど)っちょは丸みを帯びさせた形状にし、長さは垂らしたときに地面に届かないくらいとしておきました。


 よきよき!



 ところで、一つ問題がありました。


 着ていた服の背中部分、伸ばした翅が通り抜けたところが溶けたように無くなっていました。無意識のなせる業で、邪魔なところを溶かしてそのまま突き出ていったものと思われます。考えなしに行動するとこうなるって見本ですね。しょぼい見本です。


 ローブを羽織ってなくて幸いでした。

 けれど背中が大きく開いた服なんて持ってないし、どうしましょうね。


 まぁ悩むまでなく冒険者活動用にと、いくつか誂(あつら)えたシャツの一枚をソレ用に背中を開けるなどの改良をすればいいですね。


 ふふ、こんなこともあろうかと、ソーイングセットもちゃんと用意してあるのですよ!


 うそです。


 ドリスや宿のブレンダさんに女の子だったらそれくらい持ってなきゃと渡されました。

 ですけどね、元おじさんの私ですが、布縫(ぬ)ったりボタン付けたりするくらい余裕!


 はい、なにぶんずっと一人暮らし。

 作業服とか補修もしましたし、女子力バッチリな私です。


 あと背中の開いたところはセーラー服の背中に垂れてる襟(エリ)みたいなイメージで付け襟を作って隠すことにしました。被せるだけだからそのまま翅も出せるし、前で結んでおけばいいだけだから、使いまわしもOKの逸品です!



 とまぁ、そんなこんなで色々やってたら、まる一日潰していました。


 うん。


 明日からまた旅、がんばろー!




***



「主オヴィリーネの崇高なる霊(・)力(・)が再びこのヴィーアルの樹海に戻られた」


 じじ様に村の樹上宮(ツリーヴィラ)に来るように言われた僕は、会って早々そんな言葉を聞かされた。


 じじ様は村の守り神として祀(まつ)られている女神フェリアナ像の横に、並べるように置かれている主オヴィリーネの器をじっと見つめたままだ。


 それは魔石を砕いて粉にしたものを混ぜ込んだ、サラサラした土に熱を加えて作られた、大きなお椀の形をした器で、湖と共に在るオヴィリーネの雫(しずく)と言われている淡く煌(きら)めく水が入れられていて、上蓋をし魔法により封印された上で、大事そうに置かれてる。


 その器はなぜか透明に近い見た目で、おかげで中に入っているオヴィリーネの雫がよく見える。

 そんな器に魔力を捧(ささ)げるのが、この村に住むアールヴの民の日課なんだ。


「じじ様、戻られたってどういうこと? それと僕が呼ばれたことに何か関係あるの?」


「うむ、ロオ=ムの息子にしてノム=ムの生みし子、リイ=ナよ。お前にはこれより樹海に戻られし主(あるじ)様を出迎え、無事オヴィリーネ湖へお戻りなさりますよう導いてもらいたいのだ。どうやら主オヴィリーネは随分と気まぐれであるようで、中々こちらにお戻りなさらんのだ」


 うん、そんな説明じゃさっぱりわからないよ。


 っていうか何で僕がそんなことを。


 ただでさえ危険な樹海に、どんな姿かたちをしているのかもわからない主様を迎えに行けなんて、どうかしてるよ。


 そんな僕の考えが顔に出ていたのか、じじ様が言葉を続ける。


「このオヴィリーネの器はの、知っての通り主様の雫が入っておっての。日々わしらが魔力を捧げることでその力を弱めることなく維持できておるのだ。ほれ、わしの属性は闇であるからな、ここ最近、器の雫の霊力に指向性が出ておるのに気付いたのだよ」


 じじ様は大事そうに器を撫で、僕に言う。


「器の雫は主オヴィリーネの下へと戻りたがっておる。そのようにわしは思うのだ。ゆえにその指向性を読み解き、強きを示す方向を導き出せば、おのずと樹海に戻られた主オヴィリーネと邂逅できるであろう。

 リイ=ナよ。お主はわしと同じ闇属性を持つ。しかも風と土まで使える三属性持ちの出来た子よ。だからのぉ……、頼んだぞぉ」


 このくそじじい!


 なにが「頼んだぞぉ」……だ。

 体よく僕に面倒くさい役押し付けてるだけじゃないか!


 しかもじじ様(くそじじい)の言うことは絶対。

 断ることなんて出来はしないんだから……。



 もうほんと、最低(さいってぇ)ー!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 無茶ぶり系上司( ˘ω˘ )
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。