プロパガンダ禁止令とパーソナルジャーナリズム
初出:令和6年1月21日
村井英樹官房副長官は12日の記者会見で、インターネット上での誹謗中傷対策を強化するため、26日召集の通常国会にプロバイダー責任制限法改正案の提出を検討していることを明らかにしました。
Q:インターネット上の誹謗中傷対策は法的に強化すべきでしょうか。
A:強化すべき
B:強化すべきでない
さて、いかがでしょう。
かつて安倍政権下では月5万件以上のアクセス数があれば、一般人のブログでも規制をするという法律を定めました。
既存メディアであるテレビ、新聞などはもともと情報規制をした上で発信される情報なので問題ありませんが、一般人のブログは規制なしで配信されます。
ところが規制を強化し過ぎると言論の自由が奪われます。またアクセス数が一定以上低ければ、社会的影響も少ないことから、ある程度以上、アクセス数の少ない媒体は”言論の自由”を完全に担保しても問題ない、という考えがあります。
私としては規制は強化でなく、緩和の方向が望ましいと思うのです。
地上波テレビでは視聴率1%でも100万人が同じ時刻に見ていることになります。
ブログでは同じ時刻にこれだけ多くの人がアクセスするのはまれでしょう。月5万件と言わず、10万件、あるいは100万件まで”言論の自由”を担保してもいいのではないでしょうか。
1.規制すべきはプロパガンダ工作員
ステルスマーケティングをある程度規制する法律もあるようですが、私が規制してほしいのはプロパガンダ工作員です。
プロパガンダ工作員とは組織に所属していながら個人になりすまし、一定の世論操作を目的に政治的意見を書き込む人のことです。またたとえばアルバイトで書き込みをしている人も彼を雇っている会社の契約社員とみなし、組織に所属していると考えます。
言論の自由ですから、どんな意見を書き込んでも構いません。また「自分は自民党サポーターズクラブのメンバーだか野党の政策に反対する」といったように、所属を明記すれば問題ありません。ただ一般人のふりをして書き込む行為を禁止すべきです。
そもそも行政が工作員を雇って世論操作すること自体を禁じる法律、プロパガンダ禁止令が最初に必要なのかもしれません。
2.パーソナルジャーナリズムの時代
民主党の鳩山政権下では、一時期、記者クラブ以外の媒体が自由に政府の記者会見に参加できるようになりました。
現行では再び記者クラブのみしか参加できない制度に戻ったようですが、鳩山政権の状態に戻すべきだと思います。
これからの時代、ジャーナリズムは大企業でなく、複数のフリーの個人記者が主流になってほしいと思います。つまりパーソナルジャーナリズムです。
行政はネットで広報発表のみ行います。
フリーの個人記者たちはそれぞれ意見が異なります。読者は自分の見識でどの意見が正しいのか、個人記者の記事を選択するのです。
記事は思考停止してただ受け入れるのでなく、読者個々人が自分の頭で真偽を吟味して咀嚼する。こうしたジャーナリズムと読者の関係が、これからの時代、必要だと思うのです。
(つづく)




