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「C:富士山」を探せ! 時事問題のプロパガンダ分析  作者: カキヒト・シラズ


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半導体業界 陰謀論的に読み解くラピダスの罠

初出:令和5年1月3日


 低迷する日本の半導体業界を盛り上げるべく、令和4年8月、ラピダス株式会社が設立されました。同社設立に際し、トヨタ自動車、デンソー、ソニーグループ、NTT、NEC、ソフトバンク、キオクシア、三菱UFJ銀行の8社が総額73億円を出資しています。

 ラピダス社は民間企業の形態ですが、経済産業省が実質的に後押ししています。同省は令和4年12月に「最先端半導体技術センター(LSTC)」を設立。研究拠点はLSTC、量産拠点はラピダスが担い、両輪で日本の半導体業界の復活を目指します。

 令和4年5月に日米間で半導体協力基本原則が合意され、LSTCとラピダスはこれに基づき設立されました。


 ここでクイズです。


Q:日本の半導体業界を活性化させるためにラピダス社は期待できますか?

A:期待できる

B:期待できない


 さて、いかがでしょう。

 ネットでは早くもラピダス社バッシングが盛んです。もちろんラピダス社に好意的な意見も見つかりますが、しらけムードの方が優勢のような感じがします。

 かつて経済産業省(通産省時代を含む)は、㈱半導体理工学研究センター(STARC)、㈱半導体テクノロジーズ(SELETE)、㈱ジャパンディスプレイなどを立ち上げ、ことごとく失敗しています。

 同じことを繰り返すだけでは、同じ結果になるだけではないでしょうか。



1.標的はキヤノンとニコンか


 今回、ラピダス社が技術の目玉としているのが、最先端技術である2nmのデザインルール。これで半導体を製造するとのことです。

 このためベルギーのimecや米国IBM社と技術提携します。


 ところで、日本のキヤノン、ニコンをご存じでしょうか。

 カメラメーカー、またはプリンタメーカーを思い浮かべる人が多いと思います。しかしながら半導体業界では、両社は半導体製造装置である露光装置の主要メーカーです。

 露光装置と言えば、半導体製造装置の中でも金額ベースで最も市場規模が大きい”花形”装置です。日本の半導体が世界市場を制していたとき、露光装置でもキヤノン、ニコンの二社が世界市場の大半を占めていました。ところが現在ではオランダのASML社が露光装置市場の80%を独占し、日本企業はこの分野でも締め出されてしまいました。

 これはデザインルールが細くなると日本企業よりも、ASML社が有利になるからだと思います。


 そもそもバブル時代、世界市場を席捲していた日本の半導体を衰退させたのは日米半導体協定です。米国の政治力で日本の半導体は勢力を削がれました。その米国が今度は半導体協力基本原則と称してLSTCとラピダスを設立させたのです。裏があると勘繰らない方が不自然でしょう。

 日本は半導体だけでなく、半導体製造装置市場でも高いシェアを誇っていました。この半導体製造装置市場を崩壊させることが、ラピダス社設立の隠れた目的なのかもしれません。

 ラピダス社が2nmにこだわらず、キヤノンやニコンなど国内半導体製造メーカーの製品を積極的に採用していけば、国内半導体業界の発展につながります。



2.対中デカップリングはアジア経済分断政策


 米国が中国に対してデカップリング政策を打ち出しました。これは中国を経済的に切り離すという意味です。

 米国が同盟国である日韓台に呼びかけ、中国との輸出入を制限しました。日本の半導体業界はこれまで中国との輸出入に依存していたため、混乱が生じることが予想されます。

 本来、アジア経済は米国をデカップリングした方が、ほぼほぼうまくいくのです。

 日中韓台にロシアや北朝鮮、フィリピン、マレーシア、東南アジアが加われば一大経済圏が出来上がります。

 またソフトウェア大国のインドがアジア経済圏と組んだらどうでしょう。発展すること間違いありません。

 ラピダス社の設立は、米国による半導体業界におけるアジア経済分断政策が隠されたもう一つの目的かもしれません。



3.ARMを逃すとは万死に値する!


 ところでかつてソフトバンクが英ARMを買収しました。これは日本半導体業界が復活する千載一遇のチャンスでした。ところがしばらくしてソフトバンクはARMを米NVIDIAに売却してしまいました。

 私はこれが悔しくてたまりません。もし私が日本の独裁者で国内半導体業界の発展を望んているとしたら、まず第一にARMをラピダスやSTARC、SELETEなど半官半民的大企業に買収させます。次にルネサスのSHマイコンの設計開発者など、国内の一流のASIC設計者たちを招集して開発設計チームを作り、ARMの”ガラパゴス”バージョンを作ります。

 その後は外国企業にARMを買収されてもかまいません。

 ARMガラパゴスは国内の半導体メーカーにSoCのCPUコアに採用させます。また必要に応じてARMガラパゴスはオープンソースにします。

 そして最後にARMガラパゴスで稼働する国産Linuxを開発します。

 デファクトスタンダードのCPUのアーキテクチャとOSさえ国産にしてしまえば、日本の半導体産業の復興は後からついてきます。


 それにせよ、一度は日本が手に入れたARMを国外に流出してしまうのを、ただ指をくわえて眺めていたとは、経産省の役人は何をやっていたのでしょう。思わず苦言を呈したくなります。

 かつて日本の総合電機メーカーでは重電事業部の部長がいきなり半導体工場の工場長に昇進するという人事がありました。半導体のことを知らない人が半導体ビジネスを経営するのです。これは効率が悪いと言わざるを得ません。

 ラピダス設立を担当した経産省の役人はどうでしょうか。ARMの件があるので、半導体のことをよくわかってない人が担当させられているのではないか。そう勘繰ってしまいます。

 いずれにせよ、私はラピダスの失敗を望んでいるわけではありませんが、前途多難といった感じはいなめません。


(つづく)

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