「二つの政府」に警戒せよ!
今回は趣向を変えて歴史の話から始めます。
みなさんは天正遣欧少年使節をご存じでしょうか。
1582年(天正10年)、九州のキリシタン大名、大友義鎮(宗麟)・大村純忠・有馬晴信の名代としてローマへ派遣された4名の少年を中心とした使節団で、彼らにより日本の存在がヨーロッパに伝わりました。この使節団はイエズス会員アレッサンドロ・ヴァリニャーノが発案したもので、1590年(天正18年)に帰国しました。
使節団のメンバーの一人、千々石ミゲルは手記を残していますが、そこに以下のような記述があります。
「行く先々で日本女性がどこまで行っても沢山目につく。ヨーロッパ各地で50万人という。肌白くみめよき日本の娘たちが秘所まるだしにつながれ、もてあそばれ、奴隷らの国にまで転売されていくのを正視できない。鉄の枷をはめられ、同国人をかかる遠い地に売り払う徒への憤りも、もともとなれど、白人文明でありながら、何故同じ人間を奴隷にいたす。ポルトガルの教会や師父が硝石(火薬の原料)と交換し、インドやアフリカまで売っている」(某サイトからコピー)
時代は安土桃山時代。使節団が日本を出発してから、ほぼ半年後に本能寺の変が起こります。
当時、キリシタン大名や豪族たちはポルトガルのバテレンたちから火薬を入手するため、火薬一樽と娘50人を交換しました。
火薬は火縄銃の弾薬に使えます。火縄銃はこの時代の最新軍事兵器であり、今日の核兵器のようなものでしょうか。
日本は現在のような完全に統一した国家ではなく、今日の都道府県が冷制国(江戸時代の藩)という半独立国家(幕府の属国)で、それぞれ個別の軍事力を持っており、アラブ首長国連邦のような連邦国家の形態でした。
日本の教科書では決して教えませんが、16世紀ごろ数多くの日本人、とりわけ若い女性は、奴隷として白人国家に売買されていたのです。
子供の頃、「アンクル・トムの小屋」という童話を読みました、南北戦争前まで米国ではアフリカ黒人を連れてきて奴隷にしていたことは周知の事実です。しかし、日本人女性が白人たちの性的奴隷だったことは教科書には書いてありません。
豊臣秀吉がバテレン追放令を出したのはこのためです。江戸時代の鎖国政策は、みなさんご存じだと思いますが、鎖国をした理由の一つに、日本民族の奴隷売買を防ぐ目的があったのではないでしょうか。
これは昔の話で今は欧米人が日本女性を奴隷にするわけがない、という意見も出てきそうですが、今日でも教科書でこの真実を教えないことを考えてみてください。なぜ教えないのでしょうか。私たちに真実を教えたら誰が困るのでしょうか。真実を教えないという事実もまた、大筋では為政者と人民の関係は昔から大きく変わっていないというのが私の懸念です。
ここでクイズです。
Q1:安土桃山時代、多くの日本人女性が奴隷として欧州に売買されていましたが、悪いのは誰だと思いますか?
A:奴隷ビジネスのバテレンたち、およびそれを容認していたヨーロッパ諸国が悪い
B:日本人女性を奴隷として売った日本のキリシタン大名や豪族(当時の自国政府)が悪い
Q2:日本の教科書では上記のような真実を教えませんが、これは誰が悪いのですか?
A:日本政府に圧力をかける欧米各国が悪い
B:日本政府が悪い
さて、いかがでしょう。
私の「富士山回答」はこうです。バテレンも悪いし、日本の大名・豪族も悪い。世界の国際的な政府機関も自国政府も二つとも悪い。私たちは両者とも”敵”と見なして警戒すべき、といったところです。片方が正義と言うことはあり得ません。
先の太平洋戦争で悪いのは誰かという議論が起きるときに、お決まりの回答は、片方が悪玉で片方が善玉というパターンがあります。
原爆を落としたから悪いのはアメリカで日本は悪くない。特攻隊で若者を徴兵して殺したから日本が悪く、アメリカは悪くない。こうした議論をよく聞きますが、私はこれがいつも気になります。
私たち人民は直接的に自分たちを支配する自国政府と、自国政府の宗主国的存在である米国や国連―-またはディープ・ステート――の両方を警戒すべきなのです。片方が全面的に信じられる善玉では決してありません。
自国政府と世界の国際的な政府機関――「二つの政府」に気をつけてください。
IOCも日本政府も東京オリンピック開催をゴリ押ししようとしています。どちらが悪いのでしょうか。両方とも悪いのは自明だと思います。
(つづく)




