魔王は死をも愛す4
世界は何度かリセットを繰り返した後、世界は復元できなくなった。
神様か悪魔のしわざか、「強制終了しますか?」の問に、「はい」をクリックする。それは何度も何度も繰り返され、[]で囲まれた世界の片方が欠ける。
16進法のカラーコードも♯000000から他の数字やアルファベットが交じる。世界が白と黒の空を繰り返し、世界は虫食いのように消失し、姿形を維持できなくなっていく。指定文字が消え、色が消え、人は消え、街は消え、最後には重要部分である魔王塔の最上階と紅い月の一部だけがぎりぎり姿を保っていた。
凛はレイヴンの視線から目をそらすと、レイヴンの持っていた短剣で自らの首を傷つけようとする。
俺は唖然とした。小刻みに震えながらも刃物を持ち、魔王は死をも愛そうとしている。視線をそらしている瞳からは涙があふれ、長い睫毛に雫がたまる。ゆっくりと刃先を首につけた後、凛は瞼を閉じた。頬からは涙が流れ落ちる。
俺は刃物が握られた凛の手を握り、顔を近づけると瞼に口づけをする。そしてそのまま下に、愛おしくてたまらない小さな唇に己の唇を重ねる。
手にいれたくても手にいれられなかった人。
守りたくても守れなかった人。
凛、俺はお前のことがーー……。
「……すきだ」
さぁ、今度こそ一緒に元の世界に戻ろうーー……。
レイヴンは凛の手から刃物を受け取ると、それを床に置いたあと、自分の鋭い爪で彼女の手のひらに少しだけ引っ掻き傷を作った。
[゛blood moon゛ ゛reaper゛]




