魔王は死をも愛す3
……なのに、なぜだ!
「私のことは構わないで、
レイヴンさん早く行ってください」
最終的に凛は自らの死を選ぶ。
紅い月が昇る運命の日。運悪く勇者が一斉に魔王のいる塔を責めてきて、魔獣たちは次々と犠牲になった。
魔王だけは守ろうとレオパルドとセーレは無数の勇者の前に立ち向かう。
その様子を見て自分だけ逃げることはできないと、凛は倒れる二人を庇うかのように、自ら劣りになった。
勇者が放った弓矢が小さな彼女の心臓を貫き、唇から紅い血が流れる。
「凛……!」
俺は顔面蒼白の凛を抱え、長い塔の階段をかけあがり、紅い月の前で願いを込める。世界は再びリセットされたーー……。
……なのに、なぜなんだ!
「私のことは構わないで、
レイヴンさん、早く行ってください……!
私は、ナーガを助けに行きます……!」
リセットを繰り返しても、最終的に凛は自らの死を選ぶ。
無数の勇者たちの前に立ち向かった、レオパルドどセーレは俺が先回りをして助け出した。しかし、凛は一人逃げ遅れたナーガを助けに行く。
「ナーガ、大丈夫……?」
ナーガは水の中で溺れかけていた。
凛は自ら、足のつかない水の中に入り、ぎこちなく泳ぎながら、ぐったりとしたナーガの体をかつぎ、階段に引き上げる。
「はぁ……はぁ……。
魔王様……私のことは気にしないで……ください」
凛は自分も冷たい水の中から出よう壁に手を添えた。
次の瞬間、水の中で様子を伺っていた何者かに足を捕まれた。凛は水の中に引きずり込まれる。
「凛……!」
俺はとっさに手を伸ばし、彼女のか細い指をつかもうとしたが後一歩届かず、お互いの指先が触れる前に彼女の体は水の中に沈んでいったーー……。
彼女を追いすぐに水の中に飛び込んだが近くにいるはずの彼女の姿は一向に見つからない。
長い塔の階段をかけあがり、紅い月の前で願いを込める。
紅い月に大きな鋭い二つの目がギョロリとこちらを睨む。
世界は再びリセットされたーー……。




