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勇者と魔王
琥珀色の髪の毛。透き通ったエメラルド色の瞳。
青いマフラーに、真っ白な服装。
角も牙も翼も尻尾も生えていない、勇者のレイヴンだ。
「レイヴンの連れか? ちゃんと見てろよ」
レイヴンは凛の手を取り、周りに集まった人をすり抜け、橋の下の人気のない場所に連れていく。
「お前も別の世界から来たのか……? その制服、俺がいた世界の物にそっくりだ。風貌から初心者だと判断し、職業上先に忠告しておくのだが、この世界では黒は闇属性として敵と判断される。その色は隠した方がいい」
レイヴンは自分が着ていたコートを凛に着せる。
(どうやら、私は勇者として魔王を倒しに来る前のレイヴンがいる世界に来てしまったようだ)
凛は首にかけたペンダントと懐中時計を服の上から握りしめた。私なら全てを元に戻せる。
「私……実はこの世界で魔王に選ばれたの。
ねぇ、勇者様。元の世界に戻る方法知りたくない?」
ーーもう、私に死神の血はないけれどーー……。




