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魔王は勇者の心を虜にする。  作者: mayme
6、迫る恐怖
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「……あれ? 私なんでここに立っているんだっけ」


 さくら、学校、信号機……そうだ。

 私は今から高校の入学式に向かう途中に

何かが起きるんだ。


 でも、何だっけ?

 頭の中に霧がかかっているみたいで思い出せない。


 横断歩道の信号が青色に変わる。


 足を一歩踏み出す。


 ……二歩踏み出す。


 ……私は無事渡り終えた。


「凛~〜ほら、忘れ物!」


 母親が後ろで書類が入ったファイルを持って、凛を呼んでいた。


「お母さん、早く! 入学式に遅れちゃう!」


 桜の花びらが枝からひらひらと地面に落ちた。



 少し歩いた小さな公園に救急車が来ていた。


「すごい勢いでコンクリートを乗せたトラックが公園に突っ込んだんだって」


「こわ~〜!」


 トラックのフロントのガラスが割れていて、タンカに運ばれる男性がチラッと見える。


 救急車に乗せるときに反動で男性の手から金色の何かが地面に落ちる。救急団員はそれに気づかずドアを閉めた。


 あれは……懐中時計?


「俺たちはもう一度やり直すんだ」


 まさか。


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