5-10
ほっと息をついていると白金理事長が声を掛けてくる。
「遠城君なら一位になると信じていたよ。これからも期待しているよ」
低くも高くもない丁度いい声。
おおう、やはり美形は顔もいいし声もいい。
周りの女子生徒や女性教師がぽっと顔を赤らめている。
ただ、私は冬夜という存在がいる為、美形耐性が備わっているから顔を赤くすることなく普通にありがとうございますとお辞儀をして壇上から下りた。
それからは二年、三年生の表彰が終わり『ジューン・カルトレンゼ』は幕を閉じた。
無事に終わってよかったぁ。あのゴブリン王と対峙した時はどうなることかと思ったけどやっぱり冬夜はチートだわ。
「……あれ、そういえば、私が錬成した剣ってどうしたの?」
ふと思い出して隣に立っていた冬夜に問うとそれはそれは素晴らしい笑顔でこう帰ってくる。
「先生が私の為に携えてくれた物です。大事に保管していますよ」
私の為にって強調し過ぎではないですか?冬夜さんや。
まあ、久々に作ったにしては出来が良かったからいいけどさ。
そういえば、彼が使って一発で壊れなかったな。まあ、あまり何度もは使えないと思うけど。
そうやって二人で話していると薫ちゃん達が駆け寄ってくる。
「琴羽ぁ!おめでとう!」
「やっぱり、遠城さんは凄いよ!」
「琴羽。お疲れ様!」
「遠城さん!取材させて!あ、あとそこの二人も!」
わぁ、勢いよく話しかけられても私は聖徳太子じゃないから全員の話聞き取れないよぉ。
でも、皆すっごくキラキラした目で見つめてくるのはやめようね。なんか恥ずかしくなっちゃうから。
「いやー、琴羽ちゃんのおかげで楽勝だったわぁ」
「あ、永澤君」
けらけらと面白ように笑いながら声を掛けてくる。
「そういえば、琴羽ちゃん。部活作ったんだって?」
ん?何でそんな話を持ちかけてくるんだ?
「うん。そうだよ」
「ならさ。俺も入部したいけど良いよね?」
「へ?あ、うん。いいよ」
まあ、断る理由もないし。いいよね。
そう思い、入部を許可するとぎょっとした目で高堂君が私の肩を掴んでくる。え、何々?
「考え直そう、遠城さん。こんな問題児を入部させたら君が大変な思いをするよ」
「おい、本人の前で失礼じゃねーのかよ。優等生君よ?」
何故か永澤君の入部を拒否する高堂君にひくっと頬を引き攣らせる永澤君。
……あれ、もしかして仲が悪い?この二人。
私を置いて言い争いを始める二人をぼーと静観をしているとどこからか怒鳴り声が聞こえてくる。
「はぁ!?あんた、もう一回言ってみな!」
夏ちゃんの声が響き渡る。
声がする方を見れば腰に手をやり、眉を吊り上げて明らかに怒っている様子の夏ちゃんと宮野がいた。
その周りには宮野のチームだった生徒二人もいる。
「だ、だって、おかしいじゃない!私たちはゴブリンの猛攻を受けていたのに遠城さんはボスのところまで行ったんだよ!?きっと遠城さんが何か仕掛けをしたに決まっている!」
びしっと私の方を指さす宮野。
……………え、私。なんか悪者にされそうになっている!?
「そんなことをして琴羽に何のメリットがあるのよ。先生たちがいる中で細工することなんて不可能だし」
呆れたように夏ちゃんが反論する。
おおう、私が言いたいことを言ってくれた。流石、夏ちゃん。姉御だわ。
というかゴブリンの群れをけしかける魔法なんて結構上位魔法にはあるけど無理だし。そんなことをすれば即退場させられる。
それに冬夜が言っていた通り宮野たちを見ても明らかにチームバランスが偏っているし、天使に上手く指示出しできなかった彼女に問題があるんじゃないかな。
でも、これを言うと火に油を注ぐ様なものだしどうしたものか。
このまま言い掛かりをつけられていると隣に立つ猫がもう素敵な冷笑を浮かべているからなんとかしないといけない。




