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ぎゅっと目をつぶっていたのだが、恐る恐る目を開けた先は会場だった。
どうやら帰ってこれたんだな。
『おおっと!!一学年、遠城琴羽チームが最初に帰ってきました!見たところ怪我もなく無傷での生還かぁ!!?』
会場内に響き渡る声。これ、放送部が実況をやっているようだ。
周囲を見るとダンジョン攻略を終えたチームがちらほら見える。
「お疲れ様。怪我した子はいるかな?」
保健委員会の子が近づいてくる。
「私は大丈夫。二人は?」
「僕も別に無いよ」
「俺も。ゴブリン相手じゃつまんなかったし」
冬夜も怪我はないようだ。
もし痛みとかあったら報告してねと言ってその子は去っていく。
無事に攻略できたことを安堵する。
強化魔法付与の鎧をつけたゴブリン王があんなに強いとは思ってもみなかった。
あの冬夜が一撃で仕留められなかったのがまさに証拠だ。
「先生。お疲れでしょうから休憩スペースに参りましょう」
膝をつき私の様子を窺うように見てくる冬夜がそう提案してくる。
「そうね。二人も行く?」
「僕らは大丈夫だよ」
「そうそう。琴羽ちゃんが一番魔力使ったんだし、休んできなよ」
じゃあ、お言葉に甘えて休んでこよう。
「では、先生。失礼します」
「ほへっ?」
ひょいと軽々とお姫様抱っこされる。
え、なんで!?
「と、冬夜!私歩けるよ!?」
「いいえ。先生は自覚がないかと思いますが、かなり魔力を消耗しています」
無理をしないでくださいと私の話も無視してそのままスタスタと休憩スペースに向かっていく。え、このまま、行くの!?
恥ずかしいから降ろしてよ!!周りの人の目が生暖かいんだけど!?
もうそんな視線をシャットアウトするために顔を両手で覆う。
「………ねぇ、君。あのゴブリン王のこと、どう思う?」
去っていく姿を見届けながら隣に立つ忍に問いかける。
「あれでクラスBなんてありえないだろ?」
そう。いくら鎧が強化されていようともあのS級と同等の動きが出来るのはあり得ないのだ。
それに関しては対峙をしていた当の本人も気づいているだろう。
まあ、無傷なのは流石だと思うが。
「先生たちもおかしいと思っているようだね」
「だな。まあ、報告するのは俺たちで十分だろ」
そう話していると先生たちが駆け寄ってきて事情を聞かれることとなった。
「え、やっぱりトラブルで強化されていたってこと?」
「そうかもしれませんが確証がありません。ただ、あの強化付与は異常でした」
休憩スペースに到着すると冬夜が話し出す。
「それにあれは並みの魔法使いが付与できる魔法の限度を超えています」
「それって」
何者かが干渉をし、強化魔法が付与させたってこと?
でも、そんなことして何かメリットあるのか?
絶対に勝利をさせたくないからっていう理由がすぐに浮かぶがそれで何か得することなんてあるのだろうか。
ぐるぐると思考をめぐらすがやはり分からない。
「恐らく教師たちも異常には気づいていましたし、今、あの少年達に訊いているでしょう」
「高堂君達かぁ。え、私達もいたほうが」
「いえ、大丈夫でしょう。彼らはそのために残ったようです」
先生は休息をとることが先決ですと言われて、言い返せなくてそのまま座っていた。
設置されているソファに座り、ふと実況中の画面に目を向ける。
画面には今、ダンジョン攻略をしているチームの映像が映っている。
その中で星野のチームがゴブリン達に囲まれているのが目に入った。
「え、なんであんなに沢山のゴブリン達に囲まれているの?」
「さぁ、なんででしょうね」
冬夜はどうでもよさげに相槌を打って、どこから出してきたか分からないワゴンで紅茶を淹れ始めた。




