番外編「恐怖!!お化けスイカを収穫せよ!!?」
夏なので番外編を書きたかった。それだけです。
7月になり、夏の暑さが増す今日この頃。
「それじゃあ、皆。スイカを収穫しようか!」
植物学担当の江ノ島先生の元、スイカの収穫をしています。
農業体験で畑仕事をしていたのだが、丁度収穫時期を迎えたスイカを収穫しようとのことだった。
「スイカだぁ。収穫したやつ、食べられるんだって!」
「先輩たちに聞いていたけど、学園の果物たちってすっごく甘いって聞いたし楽しみ!」
「でっかいの欲しいなぁ」
と周囲から声が上がる。それはそうだ。暑い中で、農作業をしていたのだ。ご褒美ぐらいは欲しい。
まあ、私も楽しみではある。
「一人一つ、スイカの前について。あ、まだ触らないでね」
江ノ島先生に言われてスイカの前に立った。中ぐらいの大きさのスイカだけど丁度いいよね。
というか、なんで触らないでって言うのだろうか?江ノ島先生の方を向いていると。
「ここのスイカは魔植物でね。"お化けスイカ"って言われているんだ」
先生、それは早く言った方がよかったのでは?
"お化けスイカ"とは名前の通り、お化けに変化するスイカのことだ。魔植物の中では比較的によく食されている果物だ。味は普通においしいし、収穫時期になるとよくコマーシャルに出てくる。
ただ、このお化けスイカの特性として変化魔法を使う。
どういうことなのか。周りをご覧ください。
地獄絵図となっております。
「ぎゃははハハハハハ!!」
「いやぁぁぁああああ!こないでぇ!!!!」
「これはとあるマンションの住人の話です」
「ひぃぃいいいいい!もう話さないでぇ!!」
「皿を、皿をよこせぇぇえええええ!!」
「何で皿!?く、くるなぁぁぁああああ!」
ぎゃあぎゃあと阿鼻叫喚の嵐が再び巻き起こっております。
まあ、見ての通りお化けスイカはその人物が一番怖いと思うモノに変化をするのだ。
幽霊、怪物、怪談など様々なものに変化をする。だから、お化けスイカと言う名前が浸透したという。
昔、夏の暑い時期に夜、畑を通る際にはお化けスイカには気をつけろという風習が残っているぐらい昔からあるモノだ。まあ、今はそんなことを言っている場合じゃないんだけど。
「み、皆落ち着いて!お化けスイカは怖がれば怖がるだけ暴れるから!!」
先生がそう声を掛けるが皆の耳には届いていない。
わあわあぎゃあぎゃあと騒ぐ中ではあるが私はというとスイカと対面をしている。
対面しているというのは語弊があると思うが本当に対面しているのだ。
ただ、何故か分からないがトマトの形をして目の前で浮いている。
「怖いぞ~、トマト、怖いぞ~」
ふよふよと浮いて私を怖がらせようと声を掛けてくる。
…………全然怖くない。というか、私が一番怖いモノってまさかのトマト!?
ま、まあ、トマトってちょっと苦手なんだけど一番怖いモノになるのかぁ。
皆みたいに幽霊とか怪談話をし出すとかして欲しかった。結構ホラーは割と好きな方なんだよね。あ、グロテスクはお断りだけど。
「…………えっと、どうしよう」
先生にどうすればいいか訊こうにも他の子たちの対応の所為でそれどころではない。
さて、どうしたものかと考えていると。
「先生。戻りました」
「あ、冬夜。おかえり……な、さい………」
収穫した野菜を運んでくれていた冬夜が帰ってきた。
……何故か白かったワイシャツを真っ赤に染めて。
しかも、いい笑顔で。
辺りがシーンと静まり返った。お化けスイカなんて全部青ざめている。
「?先生、どうなされましたか?」
「ど、どうって、と、と、冬夜こそどうしたの?」
暑いのが一気に吹っ飛んで寒気がする中で訊くと冬夜は自分が汚れていることを問われていることに気づいて真っ赤に染まっている手を見ながら答えた。
「ああ、これですがちょっと邪魔が入りましてつい」
ついって何!?何があったんだ!!?
「でも先生が気にすることはありません。もう終わりましたから」
終わりました!?終わらせたのか!!?命を!!
周囲が青ざめて震えており、生徒を追い掛け回していたはずのお化けスイカなんてあまりの恐怖に地に落ちて気絶をしていた。
「運んでいる際に学生とぶつかりましてその際に絵の具がついてしまい、遅くなりました」
でも安心してください。野菜には汚れはついておりませんのでと言った瞬間。
「紛らわしいわ!!」
そう突っ込んだ私は悪くない。
こうして、お化けスイカの収穫は楽にできたのは言うまでもない。
味は絶品だった。どうして、こんなに甘く美味しくなったのかと先生に問うとお化けスイカは相手から化かされたり驚かされると甘みが増すという特性を持っているのでそれで味が変わったのではないかと言われた。
「………素直に喜べない」
「先生、こっちに視線を向けてください!!スイカを食べる先生、なんと可愛らしいっ!!!」
カシャカシャとどこから取り出したか分からない一眼レフカメラで撮影する彼に対して、何とも言えない顔を向けることとなった私は悪くない。断じて。




