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そんな彼を真顔で見ながらこう提案してくる。
「僕の使い魔を使うよ」
そう言い終わると同時に彼の頭上には魔法陣が出現し何かが下りてきた。
ポスっと彼の頭に着地したのは………、兎だった。
ただの兎ではなく、黒と赤のチェック柄が入ったお洒落なジャケットを纏った白兎だ。
そして、かなり強い魔力を感じる。確か、この魔物の名前は……。
「白き案内兎?」
「そう、流石だね」
自身の使い魔を頭から腕に移動させた。
クラスはA。迷える者たちを異世界へと誘う案内人とされている魔物だ。
見た目からは信じられないが、かなり厄介な魔物とされている。
そして、属性は木。ゴブリンは土属性だから、相性はいい。
「それじゃあ、"ラギ"。頼むよ」
そう言い終わるとぴょんと腕から下りて周囲をぐるりと見まわし始めた兎。
鼻をひくひくさせながらとある壁へと跳ねていく。
壁に辿り着くと二本立ちとなり、壁に前足をつけた。
すると、着けた先から蔓が出現する。
どんどんと蔓が広がっていき、やがて壁がミシミシと音を立て崩れた。
現れたのは空洞。どうやら、最短ルートの抜け道があそこなのだろう。
蔓はそのままどんどんとその先へと伸びていく。それとともに兎も抜け道の中へと入っていく。
追いかけないと思い、走り出そうとすると。
「先生、失礼します」
「ふへ?」
ふわっと体が浮いたと思ったら冬夜に横抱きにされていた。
「え、ちょっと?私、走れるよ?」
「あの兎の速度を侮ってはなりません。それに先生は魔力の温存をお願いしますね?」
それでは舌を嚙まないように気を付けてくださいと言い終わると冬夜は私を抱えたまま走り出す。
ちょっ、早すぎませんか!?冬夜さん!!こわっ、怖いですぅぅぅぅうううう!!
「…………牽制かな」
「だろーな。独占欲高っ」
置いてけぼりにされた二人は冷静に話をしている。
「………負けてられないな」
「お前と思っていたことが同じとか、ムカつく」
身体強化を付与し追いかけていく。
ぴょんぴょんと前を進んでいく兎だがあまりにも兎とは思えない速さで駆けていく。
あの冬夜でさえも追いつけていないのだ。
まあ、私を抱えているってのもあるけど。
「……冬夜、強化する?」
「いいえ、大丈夫です。温存しておいてください」
蔓が空洞を覆うように伸びているおかげで魔物達が奇襲してこないようだ。
一応防御魔法を掛けてはいるが意味がなしていないな。
「やっと、追いついた」
「お前の兎、足早過ぎね?」
後ろに声がする。
見れば高堂君たちが走ってきた。
あ、冬夜が走り出したせいで二人とも置いてけぼりにしてしまったんだ。
「ふ、二人とも無事?」
恐る恐る冬夜の肩の方から顔を出し二人を見る
「うん。僕は無事だよ。どこかの不良の所為でゴブリンと鉢合わせたけど」
「俺の所為にすんなよぉ、優等生?」
二人そろってニコニコと笑っているのになんだか火花が走っている雰囲気にん?と首を傾げた。
あれ、いつの間に仲良くなったんだろう?
どんどん奥へと進んでいく。
兎の姿が見えなくなってしまったが蔓をつたって進んでいくと。
「お、兎が見えた」
「どうやら、あそこが目的地だね」
見れば前を駆けていた兎が止まってその場でぴょんぴょんと跳ねている。
辿り着いた一同。兎は主人である高堂君の腕の中に飛び込んでいく。
「ここにゴブリン王がいるんだね?」
そう問いかけるとイエスと言わんばかりにコクコクと頷く。
壁の奥からは濃度の魔力がひしひしと感じるので間違いないようだ。
「いかがいたしましょうか?先生」
私を下した冬夜が指示を仰ぐ。
主力はやはり冬夜だろう。ゴブリン王とやりあえるとしたら他にいないだろう。
皆も反対はないし、冬夜に対峙してもらおう。




