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5-3


「全属性に対応したので彼は全属性持ちかと。ただ、偏りはあるようです」

答えたことに後悔するまで五秒前。


「ほほう!!成程!全属性持ちか!やはり、記録には間違いがなかったか!そういえば、とある記録には―――――」

とまるで少年のように目を輝かせてはしゃぐ先生が語り出す。

その様子を見た瞬間、授業を受けていた生徒たちは悟ってしまった。


あ、もう授業が進まないと。


その後は先生による熱弁が始まり、授業が終わるまでそれは続いた。




「……皆に悪いことしちゃったな」

「先生は悪くありませんよ」

こぽこぽと紅茶をティーカップに注ぐ冬夜。

先生の授業後は自習となってしまったため、中庭に来た私達。

あまり人がいない中でパラソル付きのテーブルに座っている。

「それよりも先生。今回参加をする『ジューン・カルトレンゼ』に関しての情報を手に入れましたのでお耳に入れようと」

私の前にカップを置いてくれる冬夜が話を変えてくる。

「どうやら今回は団体戦のようです。3人1組で模擬ダンジョン攻略とのことです」

「団体戦かぁ。それだとかなり難易度高いよね」

ランダムとはいってもかなり難しい競技になりそうだ。

ダンジョン攻略でチームを組んでいくとなるとよくゲームである回復役(ヒーラー)や防御役(タンク)とかが必要となってくる。

まあ、うちの冬夜をほぼ前線向きにすれば回復役と強化魔法要員は私が務まるとは思うけど、あくまでも団体戦でチームワークとかも必要になってくる。

「それに相性とかもあるし。冬夜の場合は相手が恐縮しちゃうからA級ぐらいとしか組めない」

ううん、難しいぞ。A級の使い魔持ちは学園の中でも数少ない。

団体戦において一人でも欠けるとそこから綻びが生まれてしまう。

組んだ子たちのために恐怖を取り除く魔法でも調べておく必要があるかな。それなら、マシになると思うし。『ジューン・カルトレンゼ』まではそんなに日がないから、しっかりと対策を打っておかないと大変だ。

それに聞いた話だと宮野も選ばれているっていうし。編入生で選ばれるなんてすごいことだけど、天使との相性は最悪だから組むことはないと思う。

天使には神聖という特性上、魔物が寄り付かないのだ。

確かストーリー上もこういうイベントはあった。

『ジューン・カルトレンゼ』という名前のイベントじゃなかったけど、好感度を上げられるイベントになっていて同級生二人と組んでミニゲームをしていくのだが………、あれ、もしかして、そのイベントが『ジューン・カルトレンゼ』だったの!?

あ、でも、私はモブだし。関わることはないからいっか。

とそんなことを考えながら紅茶を飲む私を見ている冬夜であったが。

「(あの天使(虫)が娘に何かを唆しているようだが、今のところ危害を加える様子もない。だが、少しお灸を据えたほうがいいか?)」

と怖いことを考えていることを私は知る由もないまま、『ジューン・カルトレンゼ』を迎えるのであった。


そして、『ジューン・カルトレンゼ』当日。

競技場の中心に選抜された生徒が集まっていた。

周囲の観客席には全校生が見ている。

うわー、チェスの試合をしている時と同じ光景が広がっているぅ。

「先生。そのように緊張しなくても大丈夫ですよ?」

何せ、私が付いているのですから。

隣に立つ冬夜がにこっといつものように微笑む。くっ、今日も今日とてイケメンだなっ。

そんな彼の今日の格好はスーツ姿。しかも、黒のグローブを嵌めてまるでどこかのSPのようだ。

選抜の同級生を見ると中等部から注目されている人たちもいるな。あ、高堂君が手を振っている。


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