3-9
そういえば、この猫。ちょっと用事がとか言って離れていたけど、どこに行っていたのかな?
「丁度先生がご友人と席に座った時から」
「結構前からいたの!?声かければいいのにっ」
彼の答えに思わずぎょっとしてしまった。
だって、私達が来てからずっと後ろにいたことになる。
立ったままなんて大変だろうに。何で話し掛けてこなかったんだろうか。
そう問いかけると冬夜は申し訳なさそうに顔を歪める。
「申し訳ありません。先生が友人の方々と楽しそうにしていたのでつい」
「う゛……」
び、美形のこんな顔を向けられると言葉が出てこない。
「い、いや。謝らないでいいよ。今度から話しかけていいから」
「はい。分かりました」
そう言うとまたニコニコと笑いかけてくる。
なんだろう。今日はいつもより機嫌がいい?
何かいいことでもあったのだろうか?
そんなことを考えながらも冬夜が用意してくれた紅茶とお菓子を食べながら皆と雑談をして楽しい時間を過ごした。
とある一室。
「生徒会室」と書かれた部屋の中では生徒役員たちが何故か青ざめて頭を抱えていた。
誰も話さずに口を閉じており重々しい空気が漂っている。
どうしてこうなってしまったのか。
それは数時間前のことである。
いつも通りに生徒会の仕事をしていた際に思わぬ来客があったのだ。
誰もがその人物に注目をし固まった。
その人物は一同の視線など構わずある方向へ歩みを進める。
そして、歩みを止めた先にいるのは生徒会長。
そんな会長である彼もその来客のせいで固まったままである。
デスクに書類を置いた人物。
学園で知らないものなどいない有名人、遠城琴羽の使い魔ブラッドキャット。
ぎっぎっぎっとまるで壊れた人形のように首を動かし書類を見るとそこには部活動設立の承認の書類であった。
すると、ブラッドキャットが口を開く。
「いい加減あなた方の勧誘にも先生の邪魔になってきていて早々に排除しようと考えていたところで手間が省きました」
排除って、排除って言わなかったか!?このS級。
たらりっと冷や汗が流れる。
いつも主人の元にいるときはニコニコしているのに今なんて真顔だ。怖い。
全員が以心伝心している中で彼はさらに続ける。
「今後、先生の妨害しようとするむ……、者たちが出てきたら対処をお願いしますね?でないと私………、どうするかわかりませんので」
いや、それ。お願いじゃなくて、脅迫ですよね!?しかも、虫って言い掛けませんでしたか!?
彼の言葉に突っ込む者などこの場には誰もいなかった。
いたらそいつは勇者だ。心配するな、骨は拾ってやる。
そんな一同の心情など露知らず、彼はそう言い終わると去っていった。
嵐が去ったのを見届けてから一同は誓った。
絶対に怒らせてはいけない。でないと、死者が出ると。
これにより、生徒会の中で暗黙のルールの一つとなった。




