3-2
「入部したらしたで面倒だってのもあるけど」
ポツリと独り言を呟く。
今いるのは図書館だ。
あの後は普通に授業を受けて今日の復習をするために図書館に来た。
ちらっと隣の席を見ると黒猫姿の冬夜が椅子の上で丸くなって目を閉じている。
寝ているのかな?
彼が黒猫の姿になるのは消耗した魔力を回復させるために消耗の少ない仮の姿になっているのだ。
いつもこの姿でいたらいいのにと思うけどそれを言ってたらいつも話をはぐらかすんだよね。
どうしてだろう?
「……まあ、それよりも勉強勉強っと」
テーブルの上には参考書が積まれている。
その一冊を手に取り読み始める。
そして、今後使えると思える魔法をノートに書きこんでいく。
こうやって知識が増えていくのがもう楽しくてしょうがない。
実習の時に使ってみようと思いながら、次の本に手を伸ばす。
「次は魔獣学の復習でもしとこうかな。今日の内容、テストに出るよとかいっていたしな」
魔獣学に関しての本を取り、ぺらぺらとページを捲っていくとある項目が目に入ってきた。
「”ブラッドキャット”についての考察」
そういえば、冬夜に関しての知識は一般的に知られるモノしか知らないな。
ちらっと彼を見るとまだ目を閉じている。
やはりパートナーだし、知っておくべきかと思い、綴られている文字を目で追いかけていく。
そこには”ブラッドキャット”と言われる理由や記録が書き記されていた。
「”ブラッドキャット”は”血塗られた猫”の略称とされているのだが、その実、”存在しない猫”と言われることも少なくはない。何故、そう言われているかというと」
それは全く気配を感じさせないまま獲物を狩っていくことからその名前が付けられた。
性質も種族も不明な存在。いつ誕生したかも不明なS級の中でも最も謎の多い魔物である。
そして、召喚されたであろう現場がどれも血塗れであり、猫の足跡があったことから”血塗られた猫”と呼ばれることとなる。
もし、この魔物に遭遇したら逃げることを諦め、膝をつき自身が信じる神に祈りを捧げるしかないだろう。
「………………」
その後に綴られている内容が謎であった。
召喚された魔物は、召喚主が殺されたらたとえS級であっても強制送還される。
長時間人間界に滞在することは不可能なのに”ブラッドキャット”の仕業と思える出来ことが起きていると作者が年月日、場所、細かい状況内容を書き記している。
それが二百年前とか四十年前とか書いてあるからおかしなことである。
何回か召喚されていたら筋は通ると思うがそのような形跡はなかったとも書かれている。
確証のない文章ではあるが続けて読むとその現場の解析を行うとそれらすべてが魔物の血であったことが判明している。そして、現場には猫の足跡があったという。
どこからか魔界と人間界の歪みがあって魔界から流れてきたものではないかという説もあると記されていて、ここで文章が終わっている。
他の書物を読んでもどれも似たり寄ったりの内容だった。
結局、彼に関しては全く分からずじまい。
本人に直接確かめるのもありだけど、自分のこととなると話したがらないんだよなぁ。
まさに謎の多い魔物だ。
「………あ、そうだ。復習しないと」
本来の目的を忘れていた。
本を閉じ、復習用の本に手を伸ばす。
が。




