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……あれ、これ部屋のお風呂場だよね。
なんか、カタログで見るような湯船に薔薇の花弁が浮かんでいるんですけど!?
しかも、いい香りがする。
恐る恐る入れば、ふわっと体が軽くなるような感覚が広がる。
そのまま、浸かってほっと一息をつく。
花びらを手に取り、観察をするとこれが魔植物のアウリットと呼ばれる疲労回復の効果のある花の一種だ。
気が利くなぁと思いながら鼻歌を歌いながら入浴をしていた。
「では、先生。どうぞ、こちらに横になってください」
「え、あの。何する気?」
お風呂から出で冬夜にお礼を言おうと部屋に戻ったらエステサロンが広がっていた。
そして、私を待っていたかのように袖をまくって横になるように促す冬夜。
「マッサージをいたします。今日はとても大変でしたから先生の体を癒して差し上げます」
「え、いいよ!そ、それより、冬夜のブラッシングをしてあげるよ!?」
あ、この雰囲気はまずい。厭らしい感じがするんだけど。
「いえ、私のブラッシングよりも先生の身も心も癒すのが先決です。大丈夫、イタくしませんから」
ギラギラとまるで獲物を見つけた肉食動物のような目をしながら私に迫ってくる。
「え、いや、ちょ、いやぁぁぁぁぁあああああ!!」
※この後、琴羽は冬夜のテクニックにより身も心も癒されてふにゅふにゃになってしまった。
その後は、冬夜によって寝室に運ばれて仲良く一緒に寝たという。
決して、厭らしいことがない健全なマッサージをしてもらい、添い寝という形で冬夜と一緒に寝たのだ。
とある一室。
再び教員たちが集って頭を抱えていた。
目の前にあるのは高等部一年生の部活動入部の書類一式。
「………また遠城さんへのスカウトが山積みなんですが」
「言うな。彼女が断ろうともあの部長たちが止まるわけがない」
で書類の山になっているのが遠城琴羽への入部希望、つまりスカウトの書類たちだ。
毎年恒例となっているこの書類の山。
彼女に渡すにしてもこの量は流石に可哀想だ。
ましてや、彼女の使い魔が黙ってなどいない。
昨年はスカウトでチェスが月5回も入っていた。
生徒会も教員もその事後処理で忙殺された。
なので部長たちには何度も遠城琴羽のスカウトを諦めろと何度も言っているのに止まない。それどころか、生徒会もスカウトを始めてしまった。
「そして、今年に限っては聖女がいる」
「……………もう、嫌な予感がするのですが」
「…………ま、まあ。遠城さんは今年も穏便に済ませるでしょうし。問題は無いかと」
そう彼女はあまり争いごとを好まない性格だからきちんとした態度で部長たちからのスカウトを断ってくれるだろう。
問題なのが宮野愛の方だ。
「彼女にはしっかりと自身の立場を理解してもらうのは当然ですし、部長たちにも説明しておくべきでは?」
「それがいいですね。明日にでも放課後に話す場を設けます」
「ではそれで動きましょう」
こうして教員たちによる会議は終了された。
ただ、やはり一筋縄ではいかないことを教師たちは後になって知ることとなる。




