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「薫ちゃん、試しに"モーテル・ベール"を唱えてもらってもいい?」
「う、うん。でもそれって植物を生み出す魔法だよ?」
そう、一般的な木属性の魔法である。
いいからと促して彼女に呪文を唱えさせると、地面に小さな花が生まれたかと思いきや直ぐに大輪の花へと成長をした。
「え?え?なんで?」
いまいち状況がつかめてない彼女の頭の上にはクエスチョンマークが大量に浮かび上がっている。
そんな主人をよそに使い魔は嬉しそうに花の周りを飛んでいる。
「"ウィンディーネ"は風属性だけど特徴としては植物を成長させることができる妖精でもあるんだよ」
「あ、それ、エリー先生が言ってた」
思い出したかのように言う彼女に私はさらにアドバイスをする。
「最初は木属性の魔法から試してみればいいと思うよ?その後に相性のいい水や土の属性の魔法を試していくのもいいかもね」
コツを掴みさえすれば簡単に合成ができるこの同系魔法。
使い魔の特性とかが分かっていないとできないのだ。
「うん、やってみる!!ありがとう、琴羽!!」
「どういたしまして。お役に立ててよかったよ」
ぎゅと抱き着かれながらお礼を言われる。
うん、いいことした。
そして、薫ちゃんが離れていくと同時に志乃ちゃんが近づいてきた。
「琴羽、できない」
「はっきりと言ったね。志乃ちゃんや」
きっぱりという彼女の足元にはお座りをしている狼。
大きさは柴犬ぐらいだろうかウルフの中では小さい。
ウルフは性質として物理攻撃に長けている魔獣の一種だ。
難点として自身で使える魔法が少ない。
銀色の毛並みはふわふわしている。水色の瞳で主人の命令を待っている。
「なら『上昇魔法』を使ってみるのはどうかな?」
「え、『上昇魔法』?」
『上昇魔法』は名前の通り身体の能力を上げる魔法のことだ。
よくゲームとかで出てくる攻撃力や防御力を上げやつのことだ。
この魔法は基本的には術者が自身に使うのだが、別に相手に使うこともアリではある。
「ウルフは物理攻撃に長けているから上昇魔法を使うことでもっと高められると思うの」
「なーるほどー。やってみる価値はあるかな」
「うん。それと上昇魔法は風属性と相性がいいから試してみるのもいいかも」
「ふむふむ、わかった。ありがとう、琴羽」
お礼を言った彼女はウルフを抱っこして離れていく。




