表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
1/11

プロローグ:黄金の夜明け

アップテンポなジャズ・スキャットが響き渡る。

真鍮の歯車が噛み合い、魔導灯がリズミカルに明滅する。

これは、運命に見放された七人が、世界を欺くプロフェッショナルへと生まれ変わるまでの記録――。


01. 教授(The Professor)


前世:東京、地下オークション会場。

警報が鳴り響く中、彼は奪い取った名画を抱え、最上階から夜の帳へとダイブした。パラシュートが開かない。死を悟った瞬間、彼は笑った。「最高のフィナーレだ」


現世:帝国レガリア、場末の時計店。

赤ん坊として目覚めた彼は、言葉を覚えるより先に魔法陣の数式を解いた。

「この世界の物理法則は、実に盗み甲斐がありそうだ」

彼は眼鏡のブリッジを押し上げ、チェスの駒を動かした。


02. ルナ(The Beauty)


前世:パリ、社交界の裏側。

偽造ダイヤモンドを売り抜けた直後、愛した男に背中を撃たれた。

「宝石より、あんたの心の方が安物だったわね」


現世:王都の娼館、鏡の前。

貧民街で死にかけていた少女は、自らの美貌を「武器」に変える術を知っていた。

「愛なんていらない。欲しいのは、私を最高に輝かせる舞台だけ」

彼女は赤い口紅を引き、完璧な淑女の微笑を完成させた。


03. アイアン(The Muscle)


前世:紛争地帯、爆撃の下。

瓦礫に埋もれた少女を助け出し、代わりに自分は崩落に飲み込まれた。

「……掃除のしがいがない場所だ」


現世:帝国騎士団、演習場。

あまりの怪力に、剣を振れば折れ、盾を構えれば砕ける「呪われた騎士」。

「暴力は嫌いだ。だが、美しく道を切り開くためなら話は別だ」

彼は重厚な鎧の埃を丁寧に払い、巨大な魔導砲を軽々と肩に担いだ。


04. ウィスパー(The Scout)


前世:大都会、路地裏。

誰にも気づかれず、誰にも愛されず、孤独な浮浪児として凍死した。


現世:獣人の森、深い闇。

「誰か……僕に気づいて」

そう願った瞬間、彼の気配は世界から消えた。音もなく忍び寄り、風の囁きを読み取る少年。

「教授だけが、僕を見つけてくれたんだ」


05. ハッカー(The Mechanic)


前世:シリコンバレー、データセンター。

国家機密を書き換えた代償に、サーバーの過熱爆発に巻き込まれた。

「ソースコードの海に沈むなら本望だ」


現世:辺境の魔導士ギルド、地下室。

「魔法? 違うね、これは単なるプログラミングだ」

彼は羊皮紙の魔法陣にインクを走らせる代わりに、空中に浮かぶ数式を指先で弾いた。

「セキュリティが甘いね。3秒で落とせるよ」


06. ゴースト(The Driver)


前世:モナコ、F1サーキット。

時速350キロの世界。コントロールを失ったマシンの中で、彼はアクセルをさらに踏み込んだ。

「ブレーキなんて、臆病者のための道具だ」


現世:大河の港町、飛空艇の操縦席。

荒れ狂う嵐の中、酒瓶を片手に舵を握る男。

「おっと、揺れるぜ。グラスの中身をこぼした奴は、その場で降りな!」

彼の操る船は、重力を無視して雲の隙間を踊るように駆け抜けた。


07. ピエロ(The Wildcard)


前世:ラスベガス、イリュージョン・ステージ。

脱出マジックの失敗。水槽の中で、彼は最後まで観客にウィンクを送っていた。


現世:王宮、処刑台の上。

不敬罪で首を吊られる寸前、彼は自らの体を煙に変えて消えた。

「人生は最高のショーだ。死ぬ瞬間まで、拍手を忘れないでくれ!」

広場に色とりどりの紙吹雪が舞い、次の瞬間、兵士たちのベルトから手榴弾が消えていた。


ナレーション(教授の声):

「揃ったな。……さて、諸君。世界で最も厳重な金庫を、最もエレガントに開けに行こうか」


黄金のチェス駒が盤上に置かれ、華やかなメインテーマが爆音で流れ出す。

――作戦開始。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ