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184.梅の季節に物思う

『梅はその日の難逃れ』と言う訳ですので梅干しサワーは体に良いから飲みすぎても大丈夫……そんな訳ないだろって言うお話です。

 近所のスーパーの風景はビニール袋入りの青梅の実が沢山並んでおりますね。そしてその横には紙パック入りの『ホワイトリカー』ふふふ、梅酒づくりの季節ですね。今漬け込むと夏頃に丁度飲み頃を迎えます、梅酒そのものも美味しいんですが私が好きなのは完全に漬かり込んだ梅の実ですよ。砂糖の甘さではなく、熟した果実の“影”のような甘みと舌の奥にゆっくり沈んでいく琥珀の余韻とでも申しましょうか。アルコール臭さが無くて新鮮な風味を感じるのは何故なんでしょうね?梅酒自体もそうですよね、要するに焼酎で漬け込んでるんだからアルコール度数はそれなりに有る筈ですが、これまたアルコールを感じさせないんですよね。もう時効だと思うので正直に白状してしまいますが、実家暮らしをしてい居た頃、今は亡き母が裏庭の梅の木から採った梅で漬け込んだ梅酒を夜、こっそり頂いてました、〇学生の頃のお話なんですが酔っぱらった記憶が無いんですよね。その頃の梅酒に対する私の認識は夏場に出て来る美味しいジュース、そんな感じでした。


 6月下旬から7月上旬になりますと完熟梅のピークが参りますね。これは勿論、梅干しにするわけですが私の母はこれも裏庭の梅の木から採取して二つに割って種を取り、それを金属製のバットに並べて家の屋根の上で雀や烏と戦いながら干してから紫蘇の葉で来るんで壺で漬けるというのが我が家の梅干しでした。これが美味しくてさぁ、母の梅干しと同じ味のものに未だに巡り合う事が出来ていません。この作り方は弘前では一般的みたいですが埼玉では一度も見た事無いですよ。現地ではたぶん、お土産で購入出来ると思うので是非一度お試しください。これを一度食べてしまうと関東で売られてる梅干しでは満足出来なくなる事間違いなしです……そうなると困っちゃうのかな。そして、これと焼酎のお湯割りで作った梅干しサワーはもう、冬の定番と言って良い物です。ただ単に酸っぱいだけでなく、紫蘇の味や旨味が複雑に入り混じったとても美味しいお酒になります……って書いてたら飲みたくなるに決まってるじゃないですか。ああ、梅サワー飲みたい。


 梅が日本に伝わったのは、およそ1500年前(飛鳥時代ごろ) とされています。梅は中国原産とされていて『遣唐使』が持ち帰ったという説が有力なんだそうで、当時は薬用として伝来したのだそうです。クエン酸が豊富に含まれるので疲労回復には最適ですし『ベンズアルデヒド』 にはO-157 や黄色ブドウ球菌などの食中毒菌の増殖を抑える作用があるんだそうで、お弁当に梅干しを入れるというのはかなり理に適った抗菌対策なんだそうです。更に梅干しに含まれる『梅リグナン』は強い抗酸化物質で、細胞の老化防止やがん細胞の増殖抑制が示唆されていると言う研究成果が発表されてて梅にしても梅干しにしても薬効と言う意味ではかなり強力な食べ物であることは確かです。が、青梅の“生”には微量の『アミグダリン』という成分が含まれていて、これが体内で分解されると微量のシアン化合物(青酸)を生むんだそうです。ですので、青梅は生で齧ってはいけません、特に種の中(仁)に多く含まれるそうなので絶対に齧っちゃだめですよ。アミグダリンは熟していく段階で徐々に減って行って完熟するころには完全に無くなってしまうそうです。又、梅酒にした場合はアルコールで成分が変化して無害な物質に変わるそうです。要は青梅の生食はやめてねって言う事です。


 梅は、抗菌・疲労回復・抗酸化・整腸・血流改善・鎮痛という多方面の薬効を持つ、まさに“小さな薬箱”みたいな果実なのですね、小さいけれど頼もしい奴なんです。


 梅は欧米・ヨーロッパ方面ではほぼ食べる文化がありません。原産地の中国とは地続きなんだからそれなりに発展してても良さそうな気がするんですがここ最近になって日本食が注目される様になってようやく、梅酒や梅干しが何となく伝わり始めた程度のものなんだそうです。ではなんで中国とは海を挟んだ日本で梅がこれほど広がったかと言いますと、まず、梅にとって日本の気候が天国の様で梅雨・高湿度・四季の変化はまさに梅の最適環境。冬の寒さで花芽が締まり、春の湿気で開花が促され初夏の雨で実が膨らむ。→ 日本の気候は梅のためにあると言っていいほど相性が良くその結果、梅は“ほぼ放っておいても実る果樹”として各地に広がったんだそうです。梅は塩と組み合わせることで長期保存・殺菌・風味の深化・発酵が起こり、梅干しという奇跡の保存食が誕生しこれが日本人の味覚にどんぴしゃで、育てやすいは実は美味しいはで全国的に発展することになったんですって。昔の日本人の運と知恵は凄かったんだなって改めて感じてしまいます。


『梅はその日の難逃れ』、『梅は三毒を断つ』、『梅干しと友達は古いほどよい』とか言われておりますね。梅雨真っただ中の現在で、今年の6月は比較的涼しいような気がします。でも、これが明ければ昨年の様な酷暑の夏が訪れることにほぼ間違いは無いでしょう、そんな時に梅がその力を存分に発揮してくれそうな気がします、梅を食べて夏バテ知らず、元気に暑さを乗り切りたいと思います。


 ……今年はエルニーニョ現象が現れてるから冷夏?と言う噂もなくは無いんですが、注意するに越した事は無いですよ、温暖化が進む地球環境ですものね。

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