192.vs夏みかん
ここんところの暑さでふと思い出したのですが、夏ミカンって酸っぱかったですよね。でも、最近の物は結構甘くて食べやすく思うんですがその裏に実はこんな事実が。
冬場に炬燵に脚突っ込んでテレビ見てると手持ち部たさな掌は中央に山積みにされた『蜜柑』へと自然に手が伸びるのは日本人のDNAに刻まれた記憶へと昇華されてる気がします。ただ、私は青森県は弘前市に生まれ育った関係で炬燵の上にあるのは『林檎』だったりなんかします。
そして季節は過ぎ去りお盆の頃を迎えると、実家のテーブルの上にあったのは『夏みかん』だったりします。漏れ承るところによりますと、純粋な夏みかんって流通量がかなり減ってるんだそうで、その原因として強烈な酸味がネックになってるとのことなんですよ。
――酸っぱくないよ、夏みかん。
と言うご意見が土砂降りの様に浴びせられそうな気がしますが、ここ最近、スーパーなんかで売られてる夏みかんは『甘夏』『八朔』『伊予柑』なんかが多くてこれらはかなり甘い部類の柑橘なのですよ。
子供の頃を思い出すと夏みかんに砂糖かけて食べてた記憶があるんですよね。それでもかなり酸っぱくて子供心にあんまり美味しいとは思わなかった様な気がするんですが、でも、何故か嫌だとは思わずに食べてた気がします。アンニュイな小学校時代の夏休みの午後、少し気だるくて暑さで何となくぼんやりしてても砂糖をかけた夏みかん食べると、すっきりした様な気がするんですよね。クエン酸の効果だったんでしょうか、暑い夏を乗り切る体験的な疲労回復方法だったのかも知れませんね。そして、何でも甘けりゃ良いってもんじゃないっていう果物達の主張を力強く感じたりなんかします。
グレープフルーツサワーなんてのがあるんだから『夏みかんサワー』ってのが有っても良いんじゃないって思うのは酸っぱい夏みかんを食べてた年代だけなのかなぁ……って思ったら最近でも発売されてましたね、缶チューハイの夏みかんサワー。代表的なところですと山口県のメーカー様で『日本果実工業株式会社』様が発売してるその名もズバリ『夏みかんサワー』。維新の風が吹く山口県萩産の夏みかんを使用したチューハイです。さっぱりとしていて、夏にぴったりとの事で思わず取り寄せて見たくなるキャッチてすね。
あと、宝酒造株式会社様から夏限定で繰り返し発売されてる『焼酎ハイボール<山口産夏みかん割り>』数量限定発売なんてのも有りますよ、日本果実工業様のはアルコール度数5%なんですがこちらは7%の飲み応えが暑気払いに一役買ってくれそうですね。
でも、生レモンサワーと言うものが存在する以上、生夏みかんサワーを飲んでみたくなる私です。クラッシュアイスで満たしたキンキンに冷えたグラスにこれまたしっかり冷たい甲類焼酎を注いだら生のめちゃめちゃ酸っぱい夏みかん果樹を注いだ後に炭酸水を注いで軽くステアした後、しみじみとそのビジュアルを眺めた後にごくごくと喉に注ぎ込む。ビールの爽快感とは一味違う、突き抜ける酸味とともに胃袋に到達する真夏の象徴的な液体はこの星に生まれ、しかも人として生きてきた幸せを感じさせてくれるのではないかと思います。
以前書いた事が有りましたが、日本で栽培されてる果物は只管甘さを求めててそれ以外を犠牲にしてるんじゃないかって思えるような勢いで、埼玉原産の幻の苺と言われてる『あまりん』は平均糖度が15〜18度有ったりとか、野菜だけど静岡県産『イエローアイコ』って言うトマトもあまりんと同じくらいの糖度が有るそうな。糖度が15〜18度って言うと和菓子と同じくらいの甘さですからねぇ。まぁ、外国のお菓子みたいな激甘って言うレベルではないけれど、もはや苺やトマトの味しないんじゃないかなって気が朱るんですよね。私的には甘い物は甘い範囲で、酸っぱい物は酸っぱい範囲で、苦い物は範囲で美味しいのが理想だと思うんですけどね、甘さ競争はいずれ行き詰ると思いますよ。
まだ季節的に早いのですが先程スーパーで果物売り場を覗いて来たんですがまだ夏ミカンは陳列されてませんでしたね。今は『青梅』のシーズンらしく袋入りの物が並んでて、その横に紙パック入りのホワイトリカーと氷砂糖も置かれてたりなんかしました。思わず買い物籠に入れそうになりましたが、私が作ると何故か梅酒が美味しく出来ないんですよね。私の母は梅酒作るのが上手で実家の裏庭に生えてた梅の木から梅を採って来て毎年作ってました。で……もう時効だと思いますので白状しますが私もロックでそれ呑んでました、中学生時代に……。
梅酒のロックって結構アルコール度数高い筈なんだけど酔っぱらった記憶が無いんですよね。甘くて酸っぱくて口当たりが良くて、お酒が染みた梅の実もこれまた美味しくて、あれが再現出来ればいいんですがどうも上手くいかなくて。母が作ってくれたものでコンソメスープもその味にならないんですよね。何を隠し味にしてたのか結局聞くことは出来ず、そういう訳なので私にとっては思い出の中だけの味になってしまっています。
現代の子供達はめちゃめちゃ甘い苺やトマト、そして夏ミカンが思い出として心に残るのでしょうか。野菜や果物にはその歴史が作った味が有ると思いますので大きく改変してしまうのはどうなのかなって思います。そのままの味を、これからも伝えていければなって思う私の考えは古いのか、あるいは余計なお世話なのか……な。




