166.否決はされましたけど
ちょっと小難しい話になってしまいましたが、どうか最後までお付き合いください。早い話が『鰻』です。資源不足が叫ばれてて絶滅危惧種に入れるかどうか、議論が交わされた結果……
少し小難しいお話でスタートしますが、どうか最後までお付き合いくださいませ。
2025年11月24日からウズベキスタン共和国・サマルカンドで開催された『第20回ワシントン条約(CITES)締約国会議(CoP20)』でEU(欧州連合)が、資源減少を理由に『ニホンウナギを含む全種の鰻を国際取引規制対象にすべき』との提案を発出しました。
これはこれはワシントン条約の『付属書Ⅱ』に鰻を加える形で、輸出国に許可証の発行を義務付けようと言う物です。条約は絶滅の恐れの程度に応じて野生動植物を『付属書Ⅰ~Ⅲ』の3つに分類されてまして『附属書Ⅰ』は絶滅のおそれが極めて高い種、たとえばトラ、ジャイアントパンダ、アジアゾウ・アフリカゾウなどが該当していて商業目的の国際取引は固く厳しく禁止されています。『付属書Ⅱ』は国際取引を規制しないと絶滅のおそれがある種が定義されていて、ワニ類、ヘビ類、サメ類、鳥類の中の一部の種類が該当し、商業目的の取引は可能ですが輸出国政府の許可が必須となります。『附属書Ⅲ』は特定の締約国が自国内の保護のために他国の協力を求める種で、アメリカが『ワニガメ』、カナダが『セイウチ』、インドが『タイリクイタチ』、南アフリカが『ミダノアワビ』を提案しているんだそうですが今現在日本が提案している物は無いそうです。
あ、ここまで動物だけを取り上げて来ましたが、勿論、植物も同様の分類がされています。で、『某池の水を抜く』番組で極悪者扱いされてるワニガメですが、実は絶滅危惧種なんですよ。大型で肉量が多いためにかつては食用として大量に捕獲され、そこに酷く低い繁殖力・遅い成長速度が相俟ってその個体数が急減してしまったんだそうです。日本の在来種には悪影響を与えるのかも知れませんが、種的にみると保護しないといけない種族なのですから頭から悪者扱いするのはどうなんだろうって思います。悪いのは飼い切れなくて不法投棄した人間であって彼等は被害者でしかないんですからその辺もちゃんと伝える番組にして欲しいなぁなんて思います。
そして、鰻を付属書Ⅱに加えるかどうかと言う投票は2025年11月27日に行われ、賛成35票、反対100票、棄権8票と言う結果になって採択に必要な3分のは2以上の賛成を大きく下回って本提案は否決されました。もしもこの提案が採択されて輸出許可証の発行が必要となった場合、これを発行するには輸出国の政府(管理当局)が非有害性所見(Non-detriment finding)の確認、つまりこの輸出がその種の生存に悪影響を与えないことを科学当局が証明する必要が有り、輸出される個体が違法に捕獲・採取されたものでないことを確認しなければなりません。つまり、附属書Ⅱの輸出許可証は単なる紙の手続きではなく科学的調査と合法性確認を伴うため一定の手間と時間がかかる仕組みなんだそうですよ。ですので時間がかかった分の保管コストやらその間のエサ代やら施設の使用料やら輸送量やらコストが発生しますので当然それは値段に上乗せされて、今現在でも高いウナギが更に高騰する恐れが有る訳です。
ただ、絶滅してしまったら口にする事すら出来なくなりますので私達消費者はその辺を弁えて無駄な消費をする事なく大切にしていかなければいけないのは事は周知の事実、長く楽しむにはそれ相応のマナーと言う物が必要になるのかも知れませんね。今回、提案は否決されましたが、国際的に危機感が持たれている事を日本人は認識する必要が有るのかも知れません、今でも鰻の生態は謎な部分が多くて完全養殖への道のりは正直見通せていなくて稚魚を捕獲してそれを育てると言う形以外に大量に生産する術は今のところありません。古代ギリシャの哲学者アリストテレスでさえ『鰻は泥から生まれる』と言う結論に達した位謎めいた生体は2009年に東京大学などの研究チームが、マリアナ海域でニホンウナギの受精卵を初めて発見してそのあたりの深海で親鰻が産卵して卵が稚魚として孵化、その後、黒潮に乗って日本や東アジアの川へ回遊しながら成長する事が分かったそうなんですが、じゃぁその原理を利用して養殖して大量生産なんてぇ事は遥かな夢の又その向こうみたいな状態なんですってよ。ホントに不思議な生き物ですね、鰻って言うのは。その不思議さが高級魚の地位を揺るがない物にしてるんですね。
鰻は『日本の食文化の象徴』と思われがちですが実際には世界各地で食べられているグローバル食材で『カピトーネ・イン・ウミド』はクリスマスに食べるイタリアの伝統料理でトマトソースで煮込む家庭料理ですし『アングーラス』は鰻の稚魚をオリーブオイルとニンニクで炒める高級料理、イギリスでは鰻を煮てゼリー状に固める伝統料理『ジェリード・イールズ 』が有って韓国では焼肉スタイルで炭火焼きにして野菜やキムチと一緒に食べるそうですし、中国では煮たり焼いたり色んな食べ方がある見たいです。でも、私日本人の味覚としてはやっぱ『蒲焼』ですよねぇ。香ばしく炭火で焼き上げた鰻は味だけでなく香りだけでもご飯食べられそうな気がします、鰻が日本の食文化の象徴なんじゃなくて調理の仕方や技術が文化の象徴なのではないでしょうか。
誕生日に鰻ってい言う日本人はかなり多いらしくて、誕生日の思い出がウナギ屋さんと言う方、私の知り合いにもいらっしゃいますよ。私の子供時代はそんなに裕福では無かったので誕生日鰻なんて全く縁がなかったし……と言うか私が最初に鰻を意識したのは埼玉に出てきて勤め先で寮生活を始めた際、その真向かいにセブンイレブン様が有ってそこで売られてた鰻弁当(確か400円位だった筈……)を食べたのが初めてなんじゃないかなぁ。信じて貰えないかも知れませんが、それまでかつ丼や牛丼すら知らなかったんですから。そして現代の子供達も誕生日に鰻は有るんじゃないかなって思います。そんあ子供達が未来の自分の子供にその味を伝え、語っていける事、鰻を体験させてあげられる事を心から祈りたいと思います。




