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好きなんだからいいじゃない  作者: 優蘭ミコ
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164.水羊羹は夏の季語でも……

秋をすっ飛ばして来た冬ですが、寒風が吹きすさんでも暖かいお部屋の中で冷たい物が頂きたくなりますね。寒い時に美味しい冷たい物はどんなものが有るでしょう。

 さて、師走迄もう一歩、寒さも一段と厳しくなる今日この頃です。で、寒い時に食べると意外と美味しい冷たい物って有ると思いません?例えば濃いめのアイスクリーム。がんがん暖房利かせた部屋で更にセーターかなんか着込んで完全防備の状態で食べると、喉を通りって胃の中に落ちていく冷たい感覚がなんだか物凄く美味しく感じるんですよね。某赤城乳業様の『ガリガリ君ソーダ味』もなんだか美味しく感じます。空気が乾いてるから結構喉乾くせいも有るのでしょうか、冬のアイスって中々の美味しさだと思います。


 そして、私は冬に食べる冷たい物はこれも良いなって思うんですよ『水羊羹みずようかん』私のイメージは缶入り蓋をパかっと開けて食べる奴で口に含んだ瞬間、すっと溶ける上品な甘さや黒糖や小豆の香りがとっても素敵でなんだか心にも染みるんですよね。私の単なる味覚と言うか好みだけの話なんですが洋菓子みたいにごつごつした甘さよりも、淡くてちょっとはかなげな甘さの方が嬉しいんですよね。濃い味は味覚を麻痺させるような気がするんですが、そんな事は無いのかな?


 水羊羹って、夏のものと思われがちだけど、実は北陸、特に福井県あたりでは冬の味覚なんですって。有名なメーカーさんも沢山有るみたいで季節限定で地方発送してくれるところもあるみたいなので今度注文してみようかなって思って、ネットをちょっと検索してみたら、出荷期間終了のお店がかなりあって、こりゃぁ本物なんだなって実感だけする羽目になりました。こりゃぁ、入手するには頻繁に情報収集しないとイケなさそうですね、それか、福井県に出かけてみるか……ううう、そんな時間ないから通販で何とかしないとです。


 でも、近所のスーパーで扱ってるのも美味しくない訳では有りません、が、このシーズン、埼玉で水羊羹を見かける事は無くてちょっと寂しく感じます。だから、冬に頂こうとした場合、夏場に買い込んで冷蔵庫にため込んでおくしか無いのですが、実は今期はそれをすっかり忘れてて……だって、暑すぎて水羊羹よりもアイスとビールで暮らしてたんだもん。あの暑さで冬が来るなんて想像できませんでしたものねって考えてること自体が迂闊うかつな奴って思われる原因なのかも知れません。来期は冬場の為にちゃんと確保するぞ水羊羹。


 水羊羹と普通の羊羹(練り羊羹)の違いは主に水分量、食感、甘さ、保存性にありますね。水羊羹は水分が多くてなめらか、練り羊羹は水分が少なくてしっかりした食感が特徴的で、保存期間が水羊羹は冷蔵保存で数日〜1週間程度、練り羊羹は常温保存で数ヶ月くらいと言うところでしょうか。でも、私が近所のスーパーで見かけた奴は焼き鳥缶みたいな形の缶入りで半年とか1年とか保存出来るような気がしたなぁ。ま、製造メーカーの考え方も有りますから保存期間に関してはばらつきが沖いかも知れませんね。そして、作り方が大きく違う訳でして練り羊羹は材料を煮詰めて練り上げて固めるのに対して水羊羹は煮詰めずに冷やして固めて作ると言う作り方の差が有りますのでここで大きく味や食感が変わって来るのですね。普通の羊羹は暑い緑茶に良く合うのに対して水羊羹はなんも無しでそのまま味わえる気がしますもの。そうそう、普通の羊羹ってブラックコーヒーとも良く合うって思います……これは私だけかもしれませんけどね。


 加賀藩の儒者・金子鶴村の『鶴村日記』(1807〜1838年)に『水やうかん』の記述がある事から江戸時代の後期には水羊羹って言う物が存在していたことが分かります。そしておせち料理の甘味としても登場する事が有ったんだそうで、一般に出回り始めた頃から水羊羹って実は冬の食べ物だったんですね。水分が多く傷みやすいので寒い冬に作られていたのが本来の姿の結構貴重品だった様でがこの頃発見された寒天を混ぜ込む製法が明治時代に入って広く使われるようになり、寒天を使った水羊羹が一般的な製法として確立し、このあたりから庶民の間でも親しまれるようになったんですってよ。


 そして昭和初期、あの『新宿中村屋』様が缶詰化に成功して保存期間が飛躍的に長くなって更に広く親しまれる様になりました。私が食べてたのは中村屋様の物では無いんですが上に書いた通りで缶入りの物が主で、値段もかなりお手頃な上に美味しいって言う物だったんですが、実はそのメーカー様をまったく記憶してなくて、何処の物なのか夏になるまで分かりません。もしその時が来て入手する事が出来たら改めてお知らせしたいと思います。冬の為に真夏に水羊羹を買い込むなんて私だけなのかなやっぱり、これは冬の食べ物だって歴史がちゃんと証明しているのですが……でも、寒さよりも暑さを何とかする方が難しいから冷たい物は夏と言う思考で紐づいてしまうのかも知れませんね。甘酒だって夏の季語、『三夏(初夏・仲夏・晩夏)』を現しています。そして、水羊羹も夏の季語、でも生まれは冬と言うちょっと不思議な食べ物なのです。


 暑い時に冷たい物を頂く、特に電気が無い時代、真夏に氷を食べるなんてのは究極の贅沢だったわけですよ。そして時代が進み、現代では寒い冬にぬくぬくのお部屋で冷たい物を頂くのがこれまた至高の贅沢なのかも知れません。よくぞ現代に生まれけりなんて思うのは私の正直な気持ちです。更に日本に生まれたこと自体、宝くじの一等を引き当てた様なものでもしも生まれ変わったとしても、こんなラッキーは未来永劫起こらないかも知れません。だから私は今の時間と暮らしをこれからも大切にしたいと心の底から思います。

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