153.柿食えば…その前に今年は秋が来るのか?
日本は夏と冬の国に移行しつつ有って秋の味覚と言う言葉がひょっとしたら死語になってしまうかも。なんだか寂しいですね、取り合えず、柿でも食べますか?
酷暑の8月も何とか終了。でも気象庁の長期予想によると10月位まで暑いんじゃないかって予報が出てて涼しさを感じる前にいきなり寒さを感じるかも知れませんね。日本は秋を忘れてしまったのでしょうか。
秋と言えば果物が美味しい季節ですよね、ぱっと思いつくだけでも柿、梨、葡萄、林檎なんてぇのが即答出来たりします。ちょっと変わったところでは洋梨、木通、花梨なんかも秋の果物ですね。そうそう私、野生に生えてる木通、食べたことありますよ。実家の近くに禅林街に続く細い道が有って少し急な坂になってるんですけどそれを上る方向を見て左手側が少し小高い山みたいになっててそこに木通が群生してたんですよね。近所の男の子達が実る季節になるとその山に登って幾つ採って来る事が有ってそれを一個分けて貰って食べたことあります。果物屋さんで販売されてる物を頂いたことが無いので単純に比較出来ないんですが、それ程甘い物では無くて種がやたらと多くて実を食べてると言うよりは種をしゃぶってる感じでしたね。今度果物屋さんで売ってたら買ってみようかな、専門の農家さんが栽培してる物であれば味は全然違うんだろうな。そしてきりっと冷やして食べてみたい気がします。
そして、柿は父親が農業機械に係わる仕事してた関係で、出先の農家さんからお土産にって貰って来る事が結構頻繁に有りました。柿って食感が二種類に分かれますよね、とろっとした食感の物とカリッとした食感の物。私はどちらも甲乙つけがたいくらいに好きで、どちらが家に有っても喜んで頂いてましたよ。そして柿は甘柿と渋柿が有りますよね。実は自然に自生している甘柿の木ってなんと日本にしか無いんですって。日本以外に生えている柿は全て渋柿、そして甘柿は奇跡の植物なのですよ。甘柿の代表格『禅寺丸柿』と言えば鎌倉時代(1214年)に神奈川県川崎市で偶然発見された突然変異種で「Diospyros kaki」と言う学名迄ついてるんですって。そしてこの学名の意味は『神の食べ物』と言う意味で命名したのはスウェーデンの植物学者カール・ペーテル・ツンベルク(Carl Peter Thunberg)で彼は江戸時代にオランダ商館医として長崎・出島に滞在して日本の植物を多数記録。彼の著作『Flora Japonica』にて柿をDiospyros kakiと命名しましたんだそうです。日本の甘柿は世界で初めて自然に甘くなった柿で、日本の風土と人の手が育てた『文化果』とも言える存在なんです。
ただ、1982年に中国湖北省で『羅田甜柿(Luo Tian Tian Shi)』という甘柿が発見されたんですが、これは日本の甘柿とは遺伝的に異なる系統なんだそうで、この品種の登場によって、甘柿は日本だけのものという常識が揺らぎましたが、その甘さの仕組みは日本とは異なる進化の道を辿っているというのがまた面白いところです。日本型は突然変異によって渋みを失った品種が固定化された進化で中国型は異なる遺伝的経路で甘さを獲得したと言うゴールは同じなんですけど辿った道が全く違うと言うところに自然の壮大さを感じたりしています。
渋い柿を食べる方法として一番ポピュラーなのは『干す』ですよね。干し柿好きですか?表面に結晶化した柿の糖分が見ただけで甘さを物語ってくれますよね。そして口にした瞬間広がるねっとりとした食感と何とも言えない上品な甘さはまるで和菓子を連想させます。私がカリカリの柿もねっとりな柿も好きな理由はこの辺にもあってあの食感、ホントに癖になりますよね。で、渋柿を甘くする方法はほかにも何種類かあって知ら得て見たら結構知らない方法も存在してました。例えば、柿のヘタに35度以上のアルコール(焼酎・ホワイトリカー)を塗って密封し、冷暗所に3〜7日置くと言う方法で渋抜きすると柿の食感が保たれたまま甘くなるんだそうです。それから渋柿とりんごを袋に入れて一週間位放置すると林檎が放出するエチレンガスが柿の渋み成分に作用するんだそうで柿の果肉が柔らかくなり皮が薄くなって手で剥けるほど柔らかくなって食べやすくなるそうです。この手はアボカドでも出来るんですって。
春も果物が美味しい季節ですが実りの季節の本命はやっぱり秋ですよね。果物もそうですが食べ物全般美味しくなって天高く馬肥ゆってしまう訳なのでちょっと注意が必要な季節ですがその季節を満喫出来ないのはやっぱり寂しすぎますよね。お魚も捕れる場所がかなり変わって来てて水温が上昇してる関係で魚介類は北の方に移動しつつあるらしいですね。東京湾は『江戸前』と呼ばれるほど豊かな漁場で、マフグやショウサイフグなど温帯性の河豚類が漁獲対象として存在してましたがここ最近は熱帯性の河豚(クサフグ、ヒガンフグなど)なんかも捕れるんだそうな。館山沖や浦安沖では珊瑚や熱帯魚とともにフグ類の分布が変化していることが報告されていて環境がかなり変わりつつある様です。そして、それと共に秋の味覚もどんどん姿を消して行くんだとしたら、多少肥えても今のうちに秋の旬を食べつくして歳を取ったらその体験を若者に自慢話で話してみたいななんて思ったりするのは、我が儘と言う奴なのでしょうか。
……秋よ、来てくれ。




