134.きつねとたぬきの化かし合い
縦に長い国土を持つ日本の文化は北端と南端でかなり差が有りますが、関東と関西程度の距離の差でもこれだけ違うものが有ります。注文するときにはご注意くださいね。
日本列島は南北に長い弓状な関係で気候も文化もかなり違っていますよね。ですからラーメンもその土地々で暖かい地方向けの豚骨スープだったり寒い地方向けの味噌スープだったりとバラエティに富んだ味が発達した訳です。そしてそれは背愛に発信されて主要な都市には必ずラーメン屋さんが有ると言う状況に至っている訳です。そしてそのお店、もれなく高い……。
で、このままラーメンのお話に突入する訳では無くて、今回はきつねそば・うとん、たぬきそば、・うどんに関するお話です。ネットをなんとなく眺めててありゃって思った事が有りましてその辺をネタにしてみたいと思います。
関東から北の方できつねうどん・そばと言うとお揚げが乗ったものをイメージしてたぬきうどん・そばと言うと揚玉が乗ってる物を想像しますよね。そしてこれ、関西では様相が一変致します。その前にたぬきうどん・そばのたぬきって何の事かご存じでしょうか?これ、天ぷらの『タネ』を抜いた物、『タネぬき』これが転じて『たぬき』になったんだそうなんです……ちょっと無理やりかなぁって気もしなくないですね。で、そのたぬきを大阪で注文すると出てくるのは関西らしい上品な色目のおつゆの上に浮かぶ『大判の油揚げ』が入ったそば、なんですよ。大阪でたぬきって言うと関東で言うところのきつねそばの事なんです。そしてこれは、兵庫、奈良、和歌山も同じなんだそうで、このあたりでたぬきそばを注文するときつねそばが出てきますのでご注意くださいませ。注文したものが違うって怒ったりしないで下さいね。そして関東に出てきた大阪人は大阪を訪れた関東人と同じように思いっきり困惑して頭を捻る訳でなんです。
話はここで終わりませんで、大阪から京都に移動してみましょう。そしてたぬきを注文すると出てくるのは『刻んだお揚げを餡かけにした物』がかけられたうどん。もちろん天かすなんかは一切見当たらなくて関東人は一度も見た事が無い物が出て来ます。ちなみに大阪のたぬきの事を京都では『甘ぎつねそば』と言うんだそうで、甘く炊いた大きなお揚げの事を『甘ぎつね』と呼ぶと同時に、うんどんがそばに変わります。更にこの天ぎつねを細くこまかく刻んだものを乗せるときつねそばと呼ばれる様になるんだそうで、この文化は滋賀県の京都寄りまで浸透していますので、京都から出てもたぬきを注文する時、油断してはいけません。関西でたぬきを注文すると意図しない物が出てきますのでかなり注意が必要です。
さて、じゃぁ大阪にはたぬきうどんは存在しないのかって言うと実はそんなことは無くて……と言うか、粉物文化の関西では揚玉の存在はお醤油やソースみたいなもので揚玉かけ放題って言うお店が多い、と言うか殆どらしいんですよね。勿論、メニューに『たぬきうどん』なんて存在しないんですが、事実上たぬきうどんは日常的に食べられていますから存在しない訳じゃぁありません。でも、良いなぁ揚玉かけ放題、揚げ玉いっぱい入れるとつゆのコクが大きく増すんですよね。そんでもってお腹もいっぱいになるんですよね。ああいいなぁ、たぬきうどん、勿論、きつねうどんも大好きさっ。
今年も夏は暑いって言う予報が出てて、酷暑で汗だくな日々を過ごす事になりそうです。そうなると、冷やし中華すら鬱陶しくなる事が有りますよね。そんな時は冷やしきつねとか冷やしたぬきが良いんじゃないかしら。お醤油とお出汁で頂きますから脂っぽさも無いですし、お揚げや揚玉は逆に食欲を盛り上げてくれそうな気もします。冷やしきつねや冷やしたぬきの発祥ははっきりしたことは分からなくて何時何処で一番最初に出されたのかは特定できないんだそうです。ただ、これこれって実は日本人の総意から生まれた食べ物なんじゃないかしら?真夏の炎天下に一瞬の涼と満腹感を求めた結果がこれなんじゃないかしら。立ち食いそば店を中心に提供されている冷やしきつねにたぬき、今年の夏は冷やし中華以上にお世話になりそうな気がしてなりません。




