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異世界に召還された三人目  作者: こたつねこ
第一章 三人目の×××
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1-9 三人目×××を決意する

人に読んでもらう時、どんな書き方が良いのか悩みます。


楽しんで読んでいただけると、うれしいです。


 壱章ノ九 三人目×××を決意する



 怪我人の治療をした後、雨が止むまで村に滞在した。


 その後、村長を始め、怪我人やその家族や他の人達からも感謝された。俺にとっては覚えたはずの無い回復魔法モドキだったので、感謝されても素直に喜べ無い。


 逆に罪悪感が強くなるだけだった。別に悪いことをしてる訳じゃ無いのだか、この力の適任者では無いのだ。もっと理想的な人が居るはずだ、居てほしいなぁ。


 今、俺が借りてる住居の前には治療を望む、村人がいっぱいだ。


 ああ……何でこうなった。


 例え人の前で回復魔法(なのか?)を使わなかったとしても、治療薬では治らない怪我人を助ければ、凄い医者扱いされる。そんな事はちょっと考えれば理解できる事だったのに。


 なんて事だ、ほんのちょっとの善意が、他の沢山の悪意を……


 いや、悪意じゃないんだ、ただ困ってるだけなのだ。怪我人を見て、ただの打ち身ぐらいならぺしっと叩いて追っ払う。


「唾でも付けとけ、それくらいで来るんじゃない」


 叩いた時に『回復の魔法具』って念ずれば一発だ。 そう、呪文が『回復の魔法具』なのである。ナンダコレ。最初は『回復の魔法道具があればなぁ』だったのが、一言ずつ削って最後にこれになり、呪文? が確定した。


 怪我人は、ちょっとした切り傷や打ち身とかの簡単な物から、本来ならしばらく治らない骨折とか捻挫、脱臼みたいな人や、原因の特定が難しい熱と咳が止まらない風邪みたいな症状の人とか色々な人が来た。


 とりあえず治療法としては、そんなに間違って無い遣り方で直しておく。傷には薬草を、骨折には出来るだけ位置を戻してから添え木を、脱臼は嵌め直す(振りをして)、捻挫なら布で縛って固定。全部回復の力を使った後である。


 細菌性の病気は、俺が手を出すのは怖いんだがなぁとか思う。この世界の風土病とか伝染病とか、どうなってるんだろうね?まあ、力を使って様子を見て、良さそうならその患者に暖かくして、栄養を摂って寝ておけと言っておく。


 心の中で、この先間違った治療法が広がらないように、と祈る。 

 


 治療代は貰わなかったが、その代わりにと品物を持ってくる。肉野菜酒を始め、燻製肉、チーズのような醗酵食品兼保存食とか。珍しくて高価な薬草や、宝石らしい綺麗な石とかも有ったが、必要無いので返した。


 貰った食べ物は、どうせ持ち帰れないからと皆に振舞った。酒もだ。そんな事をしてると、沢山の村人と仲良くなる。ただでさえ、命の恩人とか言われてたので尚更だ。

 

 そうなると、俺も何か手伝いがしたくなって来る。治療は自分の力じゃないと言う気持ちだから、村の為に他の手伝いをする。まずは水浸しになった畑の手伝いだ。畑の上に流れてきて転がってた木や石を退かす。


 畑とか今まで作ったことが無かったので、言われるままに手伝った。話を聞くと大体、収穫期辺りに雨が降って川が氾濫するらしい。今回は収穫後だったから助かったが、そうでなかったら慌てて村中総出で収穫するとか。

 

 川の水が引いて来ると、水浸しのなっていた畑の排水が進んだ。もうしばらくすると、今度は畑を牛や馬を使って耕すらしい。どうやらこの場所では輪作を行わず、毎回麦か採れるとか。


 俺にその時使う、肥料とか材料や道具の仕入れを頼まれた。快諾すると街へ戻る事にする。



  ◆◇◆◇◆◇◆◇



 街へ戻ると心配してたとか言われた。しばらく戻って来なかったからな。俺も雨で動けなかったと説明する。本当はちょっと違うけどね。


 良さそうな依頼が何件かあるって勧められたけど、村の依頼が優先だ。先客があると言って断り、頼まれた物を仕入れる事にする。


 後、今回使った馬と箱馬車を組合から買い取る事にした。それなりに割り引いてもらったが、結構な値で今までの蓄えが吹き飛んだ。


 後悔は無い、最初から馬は買い取るつもりでいたし。馬は牝馬だったので、名前をゼピュローラにした。記憶にある西風の神様の夫婦から名を頂いた。

 

 それからの俺は、西の村を行き来している事が多い。西への配達を他の者に任すと、治療の件が漏れて、ヒドイ噂が広がるのを防ぐ意味も有る。組合では腕利きの配達人と呼ばれている様だ。死神とか言われてなくて何よりである。


 今ではほとんど行かなくなった狩りは、顔見知りに頼まれた時にだけ、俺の馬車を使い、馬車分の手数料を少し貰って行った。もうしばらく、寒くなる前になると熊の被害が多くなるから、その間引きだそうだ。

 

 狼の討伐は、行った事はないが、これからも何となく出来る気がしない。


 ミゲルと暇な時に話をしていると、どうやら北の方では、大きな戦いの準備が進んでいる。しばらく後になると北の方でも雪が積もって行動出来なくなるが、その雪が消えた後に、もしかすると戦いが始まるのではないかと噂されている。


 北西に住んでいる、森人族にも協力要請が出ているらしい。

 

 北には昔から魔獣を引き連れている魔族が居て、それが戦いの相手だと聞かされた。俺には魔族じゃ無くて、別の種族の人間だと分かっているが、ここで言っても意味が無い。女神様には気にするな、好きに生きろと言われてる。

 

 介入する気も無い。出来る事と言ったら、王都に呼ばれた同郷の勇者に穏便に解決してもらう事を祈るだけだ。

 

 どうか、相手が獣耳族で、勇者が獣耳好きでありますように!



  ◆◇◆◇◆◇◆◇



 何回か街と村を往復していると村では畑の耕耘が始まっていた。牛や馬を使って土地を耕し、肥料を撒く。俺も馬と一緒に手伝った。最初は慣れなくて疲れたし、ゼピュローラにも負担を掛けた。それなりに慣れたと思ったら、次は種蒔きだった。見様見真似でばら撒く。


 もう、俺は村人から村の一員と言う扱いを受けていたので、村に本格的に住居を借りた。最初は大きな家を建てようとしていたので慌てて断り、馬小屋付きの家を借りた。買取りたかったが、ゼピュローラと馬車の代金でお金が少なくなったので賃貸だ。


 村長達は差し上げるといってたが、それも断った。代わりに安くしてもらった。


 雪が降る前に薪の準備するらしい。結構な量の木を切り、薪を割る。空気が乾燥している中、木こりと一緒に木を斧で切り倒す。


 コーン、コーンと遠くまで高い音が響く。何回も斧を振り回し、肩で息を切らしてたら笑われた。薪割りは結構楽しかったが、手に肉刺が出来ていて痛い、こっそり回復する。


 薪が家の壁の一面に積み上げられた頃、何人か揃って麦踏をした。ふみふみ楽しい。麦の芽が出てるのを見つけたら踏むらしい、ふみふみ。

 

 気温が下がり、もう少しで雪が降りそうだと言われてる時に村長から、雪が積もっている間の食料と保存食の買出しを頼まれた。


 雨で少し食料の蓄えに被害があって、足りないかも知れないとの事。収穫祭もしたいから、酒も頼むと言われて了承した。


 俺も防寒具とか買って置きたい。そう言ったら他にも欲しい者が何人か居た。街まで、他に二人の村人を買い付け要員として連れて行く。道中は話しながらのんびりだ。

 

 馬車で移動しながら、この道を見る。今までは街へ戻る道だった。でも次からは村へと帰って来る道になるだろう。


 そう、俺は村に住むことを決意したのだ。もちろん、馬のゼピュローラも一緒だ。


 

 壱の章 終わり

  

章の長さは大体これくらいになる予定です。

一章は終わりましたが、二章も引き続き明日に投稿します。


……これからネタ切れとの追いかけっこが始まるのです(ゴクリ)


ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

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