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異世界に召還された三人目  作者: こたつねこ
第一章 三人目の×××
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1-8 三人目×××でいっぱい

予約投稿になります。


今回も読んでいただけると、うれしいです。

 壱章ノ八 三人目×××でいっぱい



 騒々しい村から街へ帰る途中、三十人くらいの冒険者達と遭遇した。その集団の中に一人、村で見掛けた顔が居る。


 あ、村長が救援依頼を出してたのを、すっかり忘れてた。俺は慌てて、その集団のまとめ役に今回の説明をする。


 盗賊に見間違えたが、本当は北の方からの難民だった。その人たちは、ボロボロでとても戦える様に見えなかった。でも、知らない村人は盗賊に見えたんだろう。ハハハ、まいったまいった。──なんて下手な説明なんだ。


 冒険者達は顔を見合わせ、微妙な表情をしてる。そりゃそうだ、わざわざ急いで準備をしてここまで来たんだ。何もありませんでした、お疲れさん、お帰り下さい。と言われて、はいそうですか、にはならんよなぁ。そこに居た村人も、申し訳無さそうにチラチラ見てる。


 うーん、……はっ!? 村長にもらった金貨! もしかして、こうなる事を見越してた? くそぅ、やられた。俺は歯を食いしばり、懐から金貨二枚を出した。


「迷惑料でこれを預かってる。今回、俺は関係ないから、あんたらで分けてくれ」


 そう言ってまとめ役に金貨を差し出すと、しょうがねぇなぁって、苦笑して金貨を受け取った。他の者達の強張った雰囲気も少しは緩和された様だ。少ないが酒代くらいになるだろう。


 村人はそのまま村へ帰り、冒険者達も街へ帰るようだ。俺はゆっくり帰るよと、その集団と分かれる。


 ……はずだった。


「あれ? 兄貴じゃないですか」


 ──名前なんて覚えちゃいないが、何度か熊狩りで一緒になったヤツだ。


「よ、よぉ」


 出来るだけ、笑顔を心がけて、手を上げて挨拶する。


 それからは色々聞かれたり、他のヤツに兄貴はすげぇんだとか、周りに自慢してた。俺はお前のお兄ちゃんじゃない。まとめ役まで俺の事を、只モンじゃねぇなって顔で見てる。


 タスケテ! そっとしておいてくれぇ。そのまま集団で帰る羽目になった。



  ◆◇◆◇◆◇◆◇



 街に帰りミゲルに依頼の完了とか、今回の騒ぎとか色々説明する。一応心配はしてたらしい、一応な。それでも村の事がすんなり終わった話を聞いて、何か考えている。


「もしかして、お前ぇが一人で盗賊を討伐したんじゃねえのか?」


 その一言で、近くに居たヤツらが、ザワリとする。信じられないと言う顔で、こっちを見てる。怖くて、そちらに顔を向けられない。異世界での最初の殺人はミゲルかもしれん。


 ……腰の剣に手が行きそうになるのをギリギリと歯を食い縛り、必死で堪える。


「ハハハ、俺にそんな事が出来るはず無いだろ、する必要も無い」


「そうか? 出来てもおかしくないんだがなぁ」


 ミゲルはそう言って、ニヤニヤしてる。周りでは、こちらにはしっかり聞こえる小声で、


「やっぱり只モンじゃねぇ」

「腕の一本や二本や三本くらい無くなっても、喉笛に噛み付いて喰い殺すらしい」

「獣を素手で捕まえて絞め殺し、その生肉喰ってた。って聞いた事がある」

「死んだ人間も、針で刺したり、焼印を押し付けて生き返らせるって話しをしてた」

「怒らせると、女子供共々皆殺しになる、みたいな?」


 デタラメばっかじゃねぇか! お前ら、せめて俺には聞こえないようにして下さい。



  ◆◇◆◇◆◇◆◇



 それからの俺は、しばらく一人で村々への配達が主な仕事になった。ミゲルはキタガー、キタガーとか言ってるが俺は知らん。


 一人旅はいいよね、心が洗われる様だ。誰の目も気にしなくていいし、噂話も聞こえない。よその村(一部を除く)は、のどかだし。


 あ、でも、その行き先周辺の獣や盗賊の情報を調べて、遭遇しないように気を付けてる。命の危険より、俺の評判がレッドゾーン。


 他にも色々行ってみたい所はある。王都の東へ行って海も見たいし、西の街のイヒシンは鍛冶の街らしいから、そこも行ってみたい。北には行きたくないが、北西にあると言う森人族の村にはぜひ行っておきたい。


 俺、そこに行ったら、結婚するんだ。


 ある時、長雨が続いて旅に出られず、憂鬱に過ごしてた日、イマニアムの西の村から治療薬の配達依頼が来た。この長雨で近くに流れる川が氾濫して、怪我人が出たらしい。


 そう言えば、イマニアムの近くの、川の水が結構多いなと思ってた。河川工事なんて、そこまで重要じゃないだろう、この世界だ。川の氾濫は良くある事かも知れない。


 えーと、川の氾濫によって肥沃な土が運ばれる意味もあったか? まあ今はそんな事より配達の仕事だ。怪我人も出てる様子。ミゲルの方を見ると、良くわかってるぜぇみたいな顔をされた。


 やめろ! 男同士で、目と目で通じ合いたくねぇぞ!


 それを顔に出さない様に受付をし、治療薬を始め、必要な物を求めて店を回る。ついでに雨具代わりの毛皮のコートを買い求めた。これは珍しい虎の魔獣の革製で、雨が弾きやすいように水鳥の脂で加工されてるとか。


 よく分からないが良い物なんだろう。結構高かったし。念の為、いつもは置いていく槍と弓矢を持っていく。道中、獣に襲われても立ち止まらずに進む為だ。


 いつもの馬によろしくな、と挨拶して、今回は屋根のある箱馬車を繋ぎ、荷物を縄で縛って動かない様に固定する。大事な治療薬も確認した、さあ、出かけよう。

 

 あ、でも、俺一人で行くからね。



  ◆◇◆◇◆◇◆◇


 

 馬には申し訳ないが、少し急いでもらう。旅では良く一緒になるから、今では相棒みたいなもんだ。いつか街から離れて、移住する時は、ぜひ引き取って連れて行きたい。道のぬかるんだ場所を通らないように、注意を払って操縦する。


 馬も俺の気持ちを汲んでくれるように揺れが少ない様に走ってくれている。


 ええ子や、今度名前をつけよう。

 

 途中で大きな木の下で雨宿りしながら、簡単な食事をする。馬のブラッシングをしながら、少しだけ休む。コートの雨を弾く能力は、中々の物だ、確かに雨の滲みが少ない。馬の体表から立ち上がる湯気を見て、もうちょっと頼むと、その顔を優しく撫でて出発する。


 こんな大雨だと、獣も狩りをせず、篭っているみたいだ。持って来た武器の意味が無い、邪魔が入らなくていいが。居たと思うと、まるで見送りに来た様な狼だけだった。

 

 太陽が見えないので時間がどれくらいか分からないが、まだ明るい内に村に到着出来た。ここには何回か来ていて、村の南側には川が流れてる。本来、村とその川の間には麦畑が広がっていて、刈り取った麦をイマニアムの街まで船で運んだりする。


 その麦畑が溢れた川の一部みたいなっていて水浸しだ。今回の怪我人は畑の様子を見に出た村人数人が、作業中に暴れた馬に蹴られて怪我をしたらしい。


 大雨の日、畑見に行く、ダメ絶対。


 村長への挨拶もそこそこに、馬の世話を村人に頼んで荷物を下ろす。村長は礼を言って早速治療薬を持って行った。俺は荷物を下ろした後、村長宅でコートを脱ぎ、お茶をもらって一休みした。何とか間に合ったかな? 


 出された香草茶を飲んでると、外から騒がしい声がする。気になって外に出て話を聞くと、怪我人の様態が思わしくないらしい。怪我人が寝かされている家に向かうと、村長他、数名が暗い顔で立ってた。


「どんな具合ですか? 治療薬は効かなかったんですか?」


「あ、いえ、傷は塞がったのですが、まだ一人苦しんでいまして、顔色も良くないのです。せっかく薬を持って来ていただいたのに……」


 確かに見た目には傷は見えないが、顔色が真っ青だ。もしかすると、骨か内蔵に問題があるのかも知れない。俺も詳しく無いから、どうしようも無いぞ。


 それでも一応、相手が男性だったので、服を脱がせてもらい手で触診っぽい事をやってみる。


 む? 腰骨がズレている感じがする、神経を圧迫しているのかも? うーん、普通ならどうしようも無いが……


 チラリと村長と他の村人を見て、考える。やってるみるしかないが、これからする治療は見せられないよな。


「とりあえず、治療をしてみますが、清潔な傷に巻く布と、薬草の葉を何枚かと、他に皮を剥いだ薪を何本かをこう、これくらい? の長さで持ってきて下さい」


 そう言って手で、長さ二十センチくらいの大きさを示し、五センチ角の木材を用意してもらう。道具が揃ったら、建物から出てもらい、見世物じゃないんだから見るなと念押しした。


 絶対だよ? 絶対見るなよ?


 怪我人に目隠しをして、悲鳴を上げないように、布を捻った猿轡を噛んでもらう。それから、うつ伏せにして少し痛いが我慢しろと脅す。


 よし、やってみるかと腰に手を当てて……どうすんだっけ?


 ヒール! とか、回復しろ! とか心の中で叫んでも効果無し。あの時はどうしたんだっけ? 思い出してみる。確かこう、傷口を手で覆って、回復の魔法具があったらなぁと……


 あ、治った。


 ズレてた腰骨があっさり正常な形に戻った気がする。ふー、後は偽装してと。おもむろに腰をワシ掴みして捻り上げる。


「ぐぅぅぅぅっ!」


 スマン! これも治療の為だ、と心の中で謝りながら、部屋の外に聞こえる様に、うめき声を上げてもらう。それから、らしく見せる為に、薬草の葉をペタペタと乗せ、布でグルグル縛り、必要の無い添え木で固定の為にもう一縛り。


 オペ完了! 手術して無いけどな。怪我人の顔色は、良くなった気がする。余計な事が多すぎて、ちょっと幻痛に悩むだろうが。


「何とか終わりました、もう大丈夫だと思います」


 出てもいない汗をぬぐって、ハー、と意味の無い息を吐く。一仕事をやり終えた外科医の気持ちで、村長達に説明する。


「ありがとうございます! ありがとうございます!」


 しばらく安静にして、薬草の葉も一日一回、交換する様にとか言って、出鱈目の説明をする。罪悪感が半端無いので、三日で治るだろうと言った。村長にぜひにと出された、お金はとても受け取れなかった。

 

 配達依頼の完了の印だけもらって、雨が止むまで留まる事にする。村人がキラキラとした目でこっちを見てくる。


 やめて! そんな目で見ないで! 心が痛くて泣きそう。

 

   

 

今回から他の方を参考に、書式? を変更しております。


ここまで読んでいただいて、ありがとうございました。

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