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流浪の傭兵ベオウルフ

知ってるか? メントスは起爆剤じゃなくてキャンディなんだぞ。


 俺の名前はベオウルフ。

 口元のほくろがチャーミングな、三十路手前の伊達男だ。

 元々はゴトランド王国で傭兵をやっていたんだが、滅んじまったもんはしょうがねえ。帝国も新しく傭兵を集めているようだし、早速参加することにするぜ。


 今日は帝国傭兵部隊の入団試験日だ。

 どうも組織的に傭兵を集めているらしく、気軽に参加って訳にはいかねえらしい。

 試験なんてはっきり言って面倒くせえが、給金はかなり良いので、あちこちから腕に自信を持った傭兵が集まっているようだ。

 見知った顔も結構いるな。毒剣使いのイザリヤ、串刺しのモーラ、おっ、あの黒槍は今は亡き天冥騎士団の団長様じゃねえのか? てっきり死んじまったと思ってたぜ。


 しばらく人間観察をして待っていると、試験官らしき帝国兵がやってきた。


「これより傭兵選別試験を始める! 名前を言われた者は前に出て、訓練用の武器で対戦せよ! オーディン様に恥ずかしくない戦いを期待する!」


 試験って言うから何かと思ったが結局対人戦かよ。こいつは勝利できるように、雷神トール様に祈らねえとな。


 傭兵たちがどんどん呼ばれていく。どうやら五試合同時でやるらしい。

 耳を澄ましていると、勝った傭兵は精鋭部隊、負けた傭兵は雑兵部隊に行くよう指示されているのが聞こえた。

 戦場で弱いやつと盾を並べるのはそれだけで命取りだ。これは是が非でも勝たねえとな。


「……次、ベオウルフ! それからガル! 前に出ろ!」


 俺の名前が呼ばれた。

 よっしゃ、一丁やるとするか。楽な相手だといいんだがな。


「で、でけえ」

「あー、よろしくおなしゃす」 


 そこに居たのは見上げるほどの大男だった。

 なんだこいつ、でかすぎだろ。俺だって結構タッパはあるほうだが、さらに頭一つ分はでかい。

 くそったれ、ついてねえな。

 なんだって入団試験の相手がこんなやつなんだよ。


「それぞれ位置につけ、試験を始めるぞ。私が良いと言うまで戦うんだ。わかったな?」


 ちっ、相手が誰だろうと全力でやってやらあ。

 所詮、勝負は時の運。ここで負けるなら俺に運がなかっただけの話よ。


「始め!」


 開始の合図とともに勢い良く飛び出した。

 先手必勝!

 

「いくぞ、おらあああ」


 一呼吸で間合いを詰める。

 大男が斧を振り上げたが、胴ががら空きだぜ。

 すれ違いざまに渾身の力を込めて、木剣を叩き込んだ。


 よっしゃあ! どうだおら! 手応えありだ。

 ははは、意外とあっけなかったな。でも、やりすぎちまったか? あれじゃあ肋骨の何本かは逝ったはずだ。

 振り返ると男はまだ斧を振りかざしていた。


「おりゃあ」

 

 気の抜けた声とともに、振り向きざまに斧が振り落とされる。

 あぶねえ!

 間一髪で避けると、斧が地面深くに突き刺さった。

 おいおい、木製の斧だぞ? なんでこんなにめり込んでいるんだよ!

 当たったら骨折どころじゃねえな、これは。

 

 しかも男の方はあれだけ強烈な一撃を叩き込んだというのに、全く表情が変わらねえ。

 なんなんだこいつ、人間か? 巨人かなんかの間違いじゃねえのか?

 くそったれ、こんなところで死ぬわけにはいかねえぞ。

 一撃は入れたんだ、防御に回りながら隙を突くか。もう十分技は見せたし、本物の剣なら初撃で勝っていたはずだ。


 俺は冷静に大振りの攻撃を捌いていく。

 ふっ、思った通りだ。力はあるが素人だな、こいつ。

 冷静に対処すれば、熟練の傭兵なら簡単にいなせる動きだ。

 大男が振り抜いた隙をついて細かく突きを入れていく。

 結構エグいところも打っているんだがな。相変わらず表情が変わらねえ。でも真剣だったらもう五回は死んでいるぜ。

 

「そこまで!」


 試験官が試合終了の宣言をした。 

 よっしゃ、どっからどう見ても俺の勝ちだろこれは。


「ベオウルフ。お前は中々に腕が立つな。第一部隊に配属だ」

「はっは、やったぜ!」


 よしよし、これで金が稼げる! 俺の戦いはこれからだぜ!

 帝国は金持ちなようだからな。どんどん稼いでやる。


「そっちの大男。お前は動きが全然なってない、はっきり言って駄目駄目だ。本来ならば失格にするところだが、体力はあるみたいだから一番下の補給部隊に入れてやる。そこで訓練して戦い方を覚えるのだな」

「あっ、はい。了解っす」


 たしかにあの馬鹿力は何かと使えそうだ。

 実戦では技術よりも体力が重要になる場面が往々にしてある。

 一対一では弱くても、密集して身動きが取りづらい時にあの馬鹿力で叩かれたやばいだろうな。


「よお、ガルとか言ったか? 美味しいとこ持ってっちまったみたいで悪いな。まぁ、相手が悪かったと思って諦めてくれや」

「あっ、はいっす」


 あら、意外と素直だな。

 普通は悔しがるとすると思うんだが、全く気にもしていないみたいだ。


「なぁ、試合中かなり良い一撃が入ったと思うが、体は大丈夫なのか?」

「へ? あーたぶん大丈夫だと思うっす」


 まじかよ。やたらと頑丈なやつだな。

 こいつは意外とこれから大成するかもしれん。

 ガルか。名前を覚えておくとしよう。


ブログで先行配信してます。

http://garmthedeath.blog.fc2.com/blog-category-1.html


ブクマ&評価が励みになるんで、適当によろしくおなしゃす。


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