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初心者うさみの冒険  作者: ほすてふ


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stage.6 星降山中腹 その10

 地面に突っ伏したうさみに、子ウサギるな子が頭突きによる制裁を加えていた。

 ごすごす。


「ごめんよーっ。いやまさか雲が帯電してるなんて、このうさみの目をもってしても……!」


 ごすごす。


「いやまあ冷静に考えたら魔力を感じてたんだけど追撃考えたら止まれなかったし」


 ごすごす。


「怖い思いさせた挙句その苦労が無に帰してごめんね!」


 ごすごす。ぴょん。どすん。

 超初心者の姿に戻っているうさみの背中にボディプレスを仕掛け、さらに背中をたしたし叩くるな子。

 主従逆転したその姿を、ヴァル子が柔らかく照らしている。


「というかるな子……」


 ストンピングをつづけるるな子を背筋で跳ね上げ、その場で向きを変えて胸で受け止めるうさみ。


「色が変わってるの、どしたの? ぐれた?」


 死んで戻ってるな子を呼び出すと、るな子の色が変わっていたのだった。白ウサギだったのが、紫がかった黒い毛に。

 地下帝国パラウサのぴょん五郎を思い出す。サイズは30センチほどのままだが、明確な変化であった。

 うさみに全身を撫でまわされながら、るな子がぷーと鳴くが何を言っているのかわからない。


「わかんないね。まあこれはこれでかわいいからいいけど」


 右手で額を、左手で背中を撫でまわすと、るな子が満足そうに脱力する。


「でもストレスで禿げなくてよかっあごめんごめん!?」


 余計なことをうさみがつぶやくと、るな子のストンピングが再開するのであった。




 現実逃避を兼ねたるな子とのふれあいも一段落。うさみは今後の方針を決めかねていた。

 あの雲はとんだ罠だった。侵入と同時にビリッときたところで意識が暗転したので、帯電していたのだろうとうさみは考えている。地面に接してるのにアースされないのかな。その辺現実でどうなんだろう。まあこれはゲームだし障害としてあるんだろうからこの際関係ないが。

 問題はあの雲は抜けられないということだ。入ったら死ぬのではどうにもならない。

 ではどうやって山頂へ行けばいいのか。

 きっと何らかの手段はあるはずだ。

 今までの経験から言えば、時間帯で状況が変化するパターン。

 あるいはもっと単純にどこかに隙間がある。正解ルートしか通れないとか。

 山頂へ行く手段がない、という可能性はきっとない。なぜなら、ヴァル子が居るからだ。

 安全地帯であるお地蔵さまの岩棚でヴァル子と出会えたというのは、きっとゲーム的に考えて既定路線である。森でクマと出会うように、お姫様が継母にいじめられるように、お話が発展するための発端だ。

 山頂を目指すうさみとヴァル子が出会った以上、最終的に山頂へたどり着く展開になるのはお約束として外せない。はず。

 であれば。


「正解ルートを行く、かな」


 時間帯での変化は調査が大変だ。ドラゴンの群れを抜けて行かねばならないし、開くタイミングの候補も多い。さらには時間と場所の合わせ技の可能性もあるので下手な調査は無駄に終わる可能性も高い。

 なので正解ルートを進む。これなら最悪でも場所の候補は絞ることができる。クレバーな選択だね。うさみは自賛した。

 そう思うなら初めからそうすべきではないかという見地もあるだろうが、まあそこはそれである。想定の範囲外の事態が起きたからこその選択なので仕方あるまい。


 さてそれでは正解ルート行こう。

 うさみは立ち上がり、ブラックるな子を頭に乗せようとしたがるな子が嫌がるので一旦るな子とヴァル子を戻し、行くべき先へと駆けだした。

 すなわち。

 細い岩棚ルートである。




「確かに岩棚に沿って進むのが正規ルートだろうって予想はしてたけど、こんな簡単に進めるなんて逆の意味で想定外だよ」


 うさみが敵一頭を適当にあしらいながら進んでいると、岩肌に洞窟を見つけた。

 そう、一頭である。たったの。全然寄って来ないのだ。崖を登っていたときのは何だったのか。あんなにいっぱいだったのに。

 これが正規ルート……?

 うさみは首をかしげた。尻尾のとげが横を通りすぎてリボンが揺れる。ちょっと簡単すぎないか。

 洞窟の入り口は高さ直径2メートル程度の大きさで、この大きさでは5メートル級のドラゴンは中に入れない。

 一応追われていることもあるので、早速中に入ってみたうさみを、尻尾だけ突っ込んでひっぱたこうとしている彼はなかなか頑張っていると思う。


「あんまり入りすぎるとハマって出られなくなるんじゃない?」


 そんな上から目線でうさみがアドバイスをすると、お返しにとげを飛ばしてきた。危うく避けるうさみ。狭いのでちょっと避けにくい。


「あれ、これ入り口に陣取られたら出られないんじゃ」


 うさみの鋭い指摘に、うさみは冷汗をたらり。なんと洞窟にハマったのはうさみの方であったのだ。気づくのが遅い。後の祭りである。

 一人で調子に乗ったあげく、自分でやらかして、自分で指摘して、自分で焦るとはなかなか世話のかからないうさみであった。

 一方相手は、尻尾を引き抜いて今度は頭を突っ込んでくる。

 あれ、これ光線がくるよね。

 この狭い空間で光線を避けるだけのゲームはいかにも楽しくなさそうだ。何の生産性もない。

 うさみは慌てて洞窟の奥へと逃げだしたのだった。

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初心者うさみシリーズ新作はじめました。
うさみすぴんなうとAW
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