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イリオートゥロピオにおける宝石とは、希少なものではなかった。かつての産出量は目を見張るものがあり、まるで石ころのように扱われてきたという背景がある。
それを資源として扱おうとしたことで宝石に対する研究と開発が推し進められ、その"煌めき"を利用する方法が生み出された。
それがリソマンサーの始まりであり、その体系が今日に至るまでの全ての災禍のはじまりであった。
宝剣世界イリオトゥローピオ、首都ロドフローシティス国道321号線──
けたたましい排気音が、静かな廃道に響いている。
ここはかつて高速道路と呼ばれた有料の道路だったらしい。それが今は、無料で走行できる悪路である。
「ゆ……揺れる〜」
顔が青ざめているしもみ、ダートコースにキャッキャとはしゃぐうの。おとは無表情で佇み、かしゅんは眠りこけていた。
「ねえぇ〜、ドライバーさん。運転が荒いんじゃないのぉ」
うのは揶揄うように、肩にガチガチに力を入れてハンドルを回すななよに絡んだ。
「お黙りなさい。今は道路整備も行われていませんから、仕方ないんですよ」
「そぉ? 腕が悪いんじゃなくて?」
「そんなに不満なら、今ここで降りますか?」
「いやあねぇ、ジョークよジョーク」
ぐい、と背伸びをしては、酷いドライビングテクニックのダートコースをうのは楽しんでいた。
遡ること数時間前、リソマンサーの本拠地『ジュエリーボックス』に、シェルター長より日頃の治安維持のお礼として贈呈品があったのだ。それがこの、錆だらけで使い古されたポンコツのオープンカー。体良くゴミを押し付けられたようにも思えるが、旧時代に則した電気自動車であるため、地下スタンドを把握しておけばどこでも乗り回せる代物。この世界には法も保険も税金も存在しないため、どんな扱い方をしようと問題はない。
そんなドライブに興じることになったのは、以前、仲間のルクス反応が遠方にあったからだ。今のところその反応は出ていないが、手掛かりを探しに向かう最中である。
宝剣世界イリオトゥローピオ、旧産業区ケフリンバーリ──
廃工場が並ぶ、海の見える波止場。地下シェルター入口の脇に車を停め、5人は潮風を受けながら新天地へと降り立つ。
「くゥ〜……気持ちのいいところっすね」
目の前には、再生したばかりの4人が初めて見る海が広がっている。ただ静かに穏やかに、波の音を奏でるそれを見てしまえば、世界のこの惨状が嘘のようだ。
「無機質な建物が多いようだな……」
かしゅんが注目している建造物は、かつて工場と呼ばれていたもの。電気柵とコンクリートの壁に阻まれて侵入が困難な要塞のようになっている。
「このような無人の建物には、暗闇が蔓延っています。闇はそう言った暗がりを好みますので、魔物の巣窟になっており、危険度は高いでしょう」
ななよが皆の前に立って、まるで観光ガイドのように丁寧な紹介をする。
「我々はそう言ったエリアを"ダンジョン"と呼称しています。迂闊に近寄らないようにしてください」
「はーい」
しもみの気の抜けた返事に続いて、おとかしゅんも手を上げて返事をしている。
「基本的に闇の特性として、光に弱く、闇を好みます。光を捕食して奪い、この世界を闇に閉ざしたのです」
「彼らは何故、そのようなことを?」
おとは無感情な瞳でななよを見つめている。
「原因や理由までは明らかになっていませんが、彼らの生息域を増やすのが目的ではないか、と思われています。彼らがどこから来るのか、何を目的としているのか、まだわからずじまいでして」
「ありがとうございます」
魔物は人を襲うなどの行動はしても、何かわかりやすいサインを出すということはない。特定人物を狙うということも、ニンゲンの持つ主要機関を率先して破壊する、ということもない。
まるで動物のように、あくまで自分たちの生存を優先した本能的な活動をしているに過ぎなかった。何か、彼らを操っているような黒幕のようなものも見受けられないのだ。
「で、今回の目的は新しい仲間を捜索するのよね?」
「ええ、そういうことになります」
ななよは手持ちの探査レーダーを見る。以前一瞬だけ見えたその反応が、なんとこの場所に来た反動なのかまた出現している。
「アタリ、ってわけね」
うのは探査レーダーを横から覗き見て、その反応を確かめる。
「反応のある地点へ直接向かうことも可能ですが、何分……前回のような問題が発生する可能性も否めませんね」
「うん……」
前回、おとの元になった少女を捜索した時、ルクス反応を示した地点には宝石獣が待ち構えていたのだった。
宝石獣が一体どんな存在なのか、うのやななよは知っている。それは、宝石使い《リソマンサー》の成れの果て。かつて苦楽を共にした仲間たちもまた、死の床につく前にあのような怪物に変貌したことがあった。
「現在、生き残っているリソマンサーは限りなく少ない。宝石獣と化してしまった可能性も……否定はできません」
「……」
宝石獣は魔物とは異なる存在であり、そしてその力の強大さも桁違いである。
ルーキーである3人を抱えてそれと相対できるかは疑問であるが、戦力を増やすためには犠牲を厭わない……それが、ななよの方針である。
「それでも、やるのね」
うのがななよの顔を覗き込んで、確認する。ななよは真剣な面持ちで頷いた。
「我々の再生能力があれば、相手が強力でも臆することはありません。誰か一人でも生き残ればよいのですから」
「……ななよちゃんだって、前はあんなに悲しんでたのに」
いつしかその涙も忘れてしまったのだろう。ななよはそんなに冷たい女ではなかったと、うのは知っていた。
「……ジュエルビーストは、すごく強いわ。これまでの訓練で出せたことの、それ以上を出さなければならない。みんな、いいわね!」
うのは1人1人の顔を順に見る。おと、しもみ、かしゅん、それぞれ決意は固いようだ。
記憶を失い、右も左もわからない中、自分が闇と戦う運命であると強制され、それでも戦う勇気を出してくれた仲間たち。
「……大丈夫。もしもの時は、あたしがいるから」
うのは皆に背を向け、先陣を切るように反応の示す先に向けて足を進めた。
「……うそ」
探査レーダーが示すのはこの先。ただし、それはダンジョンであった。
広大な面積を持つコンビナートの、その1つにあるこれまた巨大な生産工場。そんなダンジョンだった。
「マジかー、いきなりかよ〜……」
しもみが頭をボリボリと掻いて不安を隠せない様子だが、かしゅんは落ち着いている。
「今回は5人だ。不足はあるまい」
「お前さぁ、そういうこと言うけど……ホント無責任だよな。ソースはあんの?」
「黙れ」
しもみとかしゅんは、仲がいいのか悪いのか。以前の2人とは関係性が違うようにも見える。
「ダンジョンに普通のリソマンサーが潜んでいるとは思えません。既に宝石獣と変貌していると見て間違いないでしょう」
「……いやあねぇ」
うのはぷるぷると膝を震わせる。相対する相手が怖いのではなく、仲間を失ってしまわないかと言う心配と緊張感で。
だが、隣に立つおとがあまりにも無感動で、闇の巣窟たるダンジョンを前にしても動じないでいるのを見て、ふう、と息を吐いては気合を入れた。
「おとちゃん、気合入ってるわね! あたしも頑張るわよ〜!」
「……はい」
こく、と小さく頷くおと。その目の無機質さが不気味にも思えるが、今のうのには心強かった。
「それでは、潜入を開始します。必ず5人全員で行動すること、突出した真似はしないこと。よろしいですね?」
「はい!」
ななよの合図で、正面から堂々と廃工場のダンジョンへと侵入する。魔物は陰りからの奇襲を好むため、むしろ正面の開けた場所から潜入していくのが得策である。
当然の事ながら中は真っ暗で、いつどこで魔物と遭遇しても不思議ではない。
だが、リソマンサーの特性なのか胸の宝石が周囲の闇を吸収して徐々に晴れていく。闇を吸えば吸うほど、宝石の煌めきは増していった。
闇が晴れると、そこに潜んでいたと思しき霊のように薄く存在感のない魔物たちが顕となり、うのたちに襲いかかってくる。
「へへっ、不意打ちミスってんじゃねーか」
「ええ、今が好機です。打ち倒しなさい!」
悪足掻きのように闇雲に襲いかかる霊たちを、リソスで掃討していくうのたち。
ななよは特に、普段オペレーターを務めているとは思えないほどの的確で直感的な動きを見せている。
「私が見本となって差し上げましょう。ルビー・クリムゾンハート!」
深紅の輝きを纏ったななよは両手でハートのポーズを取り、周囲にキラキラとしたハートのエフェクトを撒き散らす。瞬時にそれは起爆され、魔物たちが次々と体を散らしていく。キュートな見た目らしからぬ、何とも豪快な威力となった。
「え……ハート?」
しもみが苦笑しながらその疑問を指摘すると、
「見た目に惑わされてはいけません。これでも、私が得意とする強力なリソスなのですから」
「はあ」
ななよは自信満々にそう言い放つ。が、誰がどう見ても不釣り合いなくらいにキュートだ。
「でも、可愛い見た目してえげつない威力でしょ。ななよってば、可愛げがないわね」
「うのさん! 戦闘に集中しなさい」
「いやあねぇ、その心配はいらないわよ」
うのもまた黒い煌めきを纏って、両手の指先に黒炎を召喚した。
「エンタメ性なら負けてないわ! ブラックダイヤモンド・ファイアクラッカー!」
ふう、と息を吹くと黒炎が風に舞い、魔物を取り囲むとバチバチと電気線がショートしたように激しく火花を散らす。威力としては低いが、魔物を脅かす用途としては十分である。
「トドメはお願いしちゃおうかしらっ」
「任せてくださいっす!」
「ああ……」
お調子者2人組を指差したうのは、2人に攻撃を指示する。間髪入れず、2人はリソスを発動した。
「シトリン・ライトニングチェーン!」
「アメジスト・アイシクルランス!」
強烈な電気を帯びた金色の鎖に触れた魔物は感電し、紫水晶の槍に貫かれて霧散する。
「やったぜ!」
「フン、当然だな」
「へっ、えらそーに」
ハイタッチなどして、しもみとかしゅんはコンビとしての強さを発揮した。
「やっぱり……この2人が仲良くなるのって、運命なのかしら」
その様子を見たうのが、ななよにひそひそ囁いた。
「そうかもしれません。記憶は失くしても本能で覚えているのか、それとも……」
ななよは、胸元にあるルビーの宝石を見つめた。
「本当はここに、記憶が刻まれているのか──」
「……」
もしそうであったなら、記憶を奪うという悲劇がなかっただろうに……と、うのは感じた。
「皆さん、怪我はありませんか」
戦闘を終えたのを見計らって、おとが駆け寄ってくる。まだ攻撃用のリソスが使えない彼女は、見学をしていたのだ。
「おとちゃんありがと、あたしたちはだいじょうぶよ。それより2人をお願い」
「はい」
しもみとかしゅんは怪我をしていたが、そこまで大事ではなく擦り傷などの軽いものだった。
「ジルコン・キュアー」
無感動な言葉とは裏腹に、暖かな光が傷口に宿り、傷を塞いでいく。
「ありがとな! 助かったぜ」
「……感謝する」
「……」
感謝を述べられても、無表情でこくりと頷くだけ。おとにはどうにも感情というものが欠如しているように思える。
「報告は受けていましたが、不思議な能力ですね」
ななよは不思議なジルコンの力を持つ、おとをしげしげと観察している。
「エメラルドのじゅんちゃんとは……違うのかしら」
「あれとは全く性質が異なるように思いますね。詳しくは言い表せないのですが……」
2人が見つめる先にいるおとは、ぼんやりと遠くを見つめているだけだった。
気を取り直して先に進む一行。魔物の群れを幾度か蹴散らしたが、特に問題もなく進行していた。
探査レーダーに映る反応は、以前のように大きくなることはなく、ただ一定の感覚で消えたり出現したりを繰り返していた。
「もし宝石獣が出現したとしても、そこは明るい場所になる筈です。あれは闇を吸収して力を蓄えるもの……我々と同じですね」
「え、どういうことっすか」
「宝石獣は……我々の成れの果て、とでも言いましょうか。条件は不明ですが、たまにあんな化け物に変容してしまうのですよ」
「そ、そうなんすか……怖ぇ〜」
「同胞が化け物に……それを打ち倒さなくてはならないのか」
「……」
おとは俯き、かしゅんは首を振って難色を示している。何より、自分たちが化け物になるという事実を恐れているのだろう。
だが、先を見る度に広がっているのは暗闇の空間。しかしほんのりと、僅かな光が見える。
「生存している可能性も考えられますね」
「マジすか!」
しもみは早く助けなくては、と慌てて走り出そうとするがそれをかしゅんが腕を掴んで止める。
「早まるな、罠の可能性もあるだろう」
「あ、あ〜……悪ぃ悪ぃ」
しもみは、すいません、と首だけペコッと下げては舌を出して恥ずかしそうにしている。
「しもみちゃんの気持ちもわかるわ、早く助けに行ってあげなくちゃね。でも、慎重に行きましょ」
これ以上犠牲を出したくないうのは、ななよと一緒に仲間たちを先導するため前に出る。
カタン、カタン、と一歩ずつ金属質のハシゴのような階段を登り、暗闇を晴らしながら前へと進んでいく。
不思議なくらいに、魔物と相対しない。入口の方はそれこそうんざりする程に生息していたのに、奥に進む度にもぬけの殻だ。
「宝石獣と魔物は共存しない、お互いに好みが違うからです。しかし──」
探査レーダーの落ち着いた反応と、周囲の状況が釣り合わない。尚も、宝石獣の反応を示すような宝石の共鳴もまたなかったのだが。
「ここが、最奥……?」
うのたちが最後に辿り着いたのは、妙に使用感のある小部屋の入口。扉などはないが木の板がいくつも打ち付けてあり、後からここを住処にした何者かがいることを連想させた。
「……」
ななよが持つ探査レーダーが指すのは現在地の僅か先。つまり、この部屋の中。
「間違いなく、この部屋の主に用がありますね」
ななよが呆れたように言う。魔物を蹴散らしてきてたどり着いた先が、まさかのルソマンサーの住処であったとは。
「魔物がいる場所で住めるものなのだろうか」
「そのための……これ、なんでしょうね」
うのがトントンと木の板を叩く。そんなものだけでは心許ないように思えるが……。
「とにかく、お邪魔するとしましょう。これは撤去してよろしい」
「うわ、横暴っすねぇ……」
ボソッとしもみが呟いた言葉に、ななよはギロッと彼を睨みつけた。
「ここまでして引きこもりたいリソマンサーに、心当たりがあります」
ななよはうの肩をポンと叩いて、リソスを放つよう促す。
「はいはい、仕方ないわね〜」
うのは黒く眩いオーラを纏い、一思いにリソスを放出した。
「ブラックダイヤモンド、フルバースト!!」
黒く眩い極太の光線がまっすぐ一直線に放たれた。見るも無惨に砕け散る木の板と、廃工場のボロボロの壁に穴が空いている。
「なっ!! なんじゃっ!!」
その部屋の主は寝ていたのか、慌てて飛び起きては布団ごと剥いでやってきた。
「む、おまえたちは……」
ところどころが血に染まったダークグリーンの髪に、身体中に巻き付けた包帯と、かなり奇抜な見た目をしたリソマンサーがそこにいた。
「やっぱり、ひいなちゃんだったわね〜」
うのはひいな、と呼んだ女性リソマンサーの方へズカズカと歩み寄る。
「なんじゃ、黒ダイヤであったか。わざわざ、わらわの別荘を壊しよって」
「ごめんなさいね、ななよの命令だから」
「私のせいにしないでください」
3人は知己だったようで、久々の再会だった。だが、おとを含めた3人にはそれが誰だかわからない。
「あの」
おとが近況をめいめいに報告する3人の下に近寄ってきた。
「探しものは、この方で間違いないのでしょうか」
「ああ、そうそう。この子よ」
うのにこの子、と指し示されては「やめろ」とそのリソマンサーは静止した。
「わしのことが知りたいとな。そなたとは初めまして、じゃのう」
「はい。わたしは、ジルコンのリソマンサー、おとと申します」
「んむ。わしはブラッディーナイトメアに導かれし鮮烈なる純黒の眷属──」
「血石のひいなちゃんよ」
「けついし、なんてダサいじゃろう! せめてブラッディーストーンと呼びたまえ」
包帯でぐるぐる巻きにされた両腕で複雑な決めポーズを取りながら、おとに「ほれほれ」と自分の容姿を見せつけるひいな。
「死と忘却に脅かされるリソマンサーの中では、特別長生きじゃよ。よろしく頼むぞい、小童よ」
「はい。よろしくお願いします」
ひいなの気取った言葉遣いにも動じず、おとはぺこりと丁寧に頭を下げた。
「なんじゃ、つまらん女子じゃのう」
「呆れているんだと思いますよ」
「んなっ!」
ぴしゃり、とななよにカウンターを食らってショックだったのか、ひいなはしばらく口をパクパクとさせていた。
「今度の人は、なんかやたらキャラが濃いっすねー」
その様子を見てやってきたしもみとかしゅん。ひいなは彼らのことも知っていたのか、2人に駆け寄ってその手を握ってやった。
「おお、息災であったか……シトリンのガキんちょにアメジストの好色漢! 久しいのう」
「……え?」
2人は顔を見合せている。ひいなのことも、忘れてしまっているようだ。
「なんじゃなんじゃ、おまえたち……まさか……」
「そのまさかですよ」
ななよが冷徹に言い放つ。その言葉で理解したのか、ひいなは視線を下げては黙り込んでしまった。
「ごめん、あたしのせい。あたしが……しっかりしてなかったから……」
気まずい雰囲気の中で、うのが口を開く。まだ、責任を感じているようだ。
「仕方なかろ、わしらの仕事は……一筋縄では行かんよ」
「……」
「友を失ったのは寂しいものだが、こうして新たな友を見つけることができた。それに感謝しようではないか」
握っていた2人の手を、ひいなは更に強く握り締めていた。
「さて、これからどうしましょうか。まだここに引きこもるおつもりで?」
「いやいや、せっかく迎えに来てくれたのじゃから、共に行こうぞ」
「それはありがたいですね」
ななよはメガネをクイッと直しながら、軽く礼をした。
「嬉しいわ、ひいなちゃん。また一緒に戦えるのね」
「んむ。ところで……迎えが来たと言うことは」
「そうよ」
うのは頷く。ひいなの察している通りのことが、今起こっているのだろう。
「状況は……思わしくないわ」
「……?」
おとにも、しもみやかしゅんにも、その"状況悪化"が何かはまだ伝えられていなかった。
「あの」
おとがうの腕を引いて、尋ねる。
「わたしは何も知りません、この世界のことを。今、この世界は……一体何が起こっているんですか」
「……そうね。ちゃんと話しておかなくちゃ」
うのはななよにアイコンタクトを取り、了承を得たうのは、少し間を置いて話し始めた。
この世界は一体どうなってしまったのか、リソマンサーとは何者か。そして自分たちの使命とは何か。
記憶の彼方に封じ込められた真実は、未だ顔を覗かせることはなかった。




