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【音魔法使い】の魔紋  作者: フリューげリュ
プロローグ
4/30

プロローグ④

さて、いよいよ僕の番だ。

先生に呼ばれるまま立ち上がり、先生の前まで移動する。

取り出したりますわ一枚のコピー用紙、描かれた魔術陣には外周を囲う丸とその中に丸に点が接するように描かれた正五角形。

正五角形の中心にはビー玉より少し小さいほどの点が描かれ、そのまわりに書き綴られた1見なんの意味もなさそうな言語こそ、魔術の肝心要である。

ぶっちゃけ円も五角形も点も、無いなら無いで発動するのだ。

ただ描くと効率がいいし制御もしやすい、とゆうだけの話。

そんな円と五角形、そして点、これらを繋ぐように引かれた一本線は、円と五角形の頂点が接する位置から点の場所まで伸びていた。

これは所謂魔力の通り道、だ。

ここを通って中心の点まで魔力がめぐり、魔術陣が正式発動するわけだ。


「エノワール、準備が出来たら始めてくださいね」

「ん、はい!」


僕は元気よく返事を返すと、1枚を掲げる。

掲げると同時に、僕は僕に集中するんだ。

内側じゃない、外側だ。

世界に満ち満ちる魔力、これを手繰り寄せられるほど僕含めこの場にいる者に技術は無い。

先生は違うかもしれないけどね。

他にもできる子は居るのかもしれない、相当優秀な子なら出来る可能性はあるのだ。

マシェル辺りは割と習えばすぐできてしまいそう。

まあ、少なくとも僕ができるのは体に接している魔力を操ることだけ、僕は体に接する少し濃度の薄い魔力を操り、魔術陣の描かれた紙へ送るのさ。

紙が多くの魔力を得て発熱するのがわかる。

こうなってきたら魔力はもういらない。

弱い魔術だからね、そんなに沢山ドバドバ使っても持続時間が多少増えるだけなのさ。


「防壁!!」


僕は言いながら魔術陣の反応を伺う。

この宣言に意味は無い、けど発動はしているようだ。

目を瞑って集中しているから分からないけど、紙から熱が引き、同時に魔力が失われていくのを感じるのさ。

失敗した時はこんな風に徐々に無くなるんじゃなく一気に抜けていく感じなんだ、目安としては十分だろう。

薄く閉じたまぶたを、ゆっくり開く。


「おっ、うまくいった、よかった」

「エノワールも合格ね。 上出来よ? 勉強したわね?」

「あ、はい、頑張りまし、た?」

「なんでそこで疑問そうなのよ、」


薄くぼやけた防壁の向こう側から、先生の少し困ったような声が聞こえる。

ただ褒められたことは純粋に嬉しい、少し感謝する僕がいた。

先生を困らせてしまったようだから、とりあえず謝ろうとして、遮られる。


「それじゃ、最後! マシェル出てきて!」

「うん!! まっかせてー!!」


マシェルが呼ばれた数瞬後に、防壁は消滅してしまった。

効率の悪い魔術だし、こんなものだろうと思う。

元気な返事が聞こえるな、と振り向く。

と、マシェルは楽しそうに紙を1枚鷲掴んでかけ出すところだった。

元気なマシェルを見て癒される、魔力を操って少し消耗した集中力もこんな姿を見れば吹っ飛ぶとゆうものだ。


「あ、ましぇる、! がんばれ、!」

「おう!俺すごいから見ててな!」

「う、うん。 マシェルすごい」

「ん、? なんかエノはやいっ!」

「あ、ごめんごめん、」


マシェルが笑いながら通り過ぎてしまった。

何か変なことを言っただろうか。

先生の前まで走っていったマシェル、そんなマシェルを見ながら歩いていたら転けそうになったりもしたけど、後悔はしていない。


「あっ!こらマシェル!紙ぐちゃぐちゃじゃない!」

「あり、ごめんなさい先生〜!」

「はあ、まあいいです、それでは始めて下さい」

「ん!はーい!!」


マシェルがグチャッとした紙を見て先生が怒っている。

微笑ましい光景だ、僕としてはむしろ助かるのだが、先生的にはそうじゃないとゆうのも分かる。

マシェルはやはり活発すぎる所があるね。


「よっし! いくよーエノ! 見てるー??」

「うん! 見てるよ、マシェル! がんばって!」


マシェルが僕に手を振っている。

可愛いな、と思う。

マシェルは構ってちゃんなのだ、僕もだけど。


「おう!! よーし、、防壁っ!!!」


マシェルが言うと同時、魔術陣が発光する。

魔力がしっかり流れている証拠に、マシェルの少し拙いところの残る魔術陣は満遍なくその魔力を循環させ、そして見てわかるほど発熱していた。

紙の周りが少し歪んで見えるのは何故だろう。

防壁はまだ発動していないんだけど、、あ、魔力が少し漏れ出している。

コピー用紙が許容できる限界を超えてしまったようだ。

マシェルが操れる魔力の量は少し桁違いなところがあるからね、なんせマシェルはその魔紋由来の体質から多くの魔力を引き寄せるのだ。

下手に魔力を手繰り寄せて発動するより余程強力な力だろう。


「あちゃー、」

「おおー!!いい感じ! なんかいい感じだよエノ!」

「うん!マシェルすごい!それで魔力を切ったら完璧だね!」

「んあ、そうだった、」


マシェルが少し落ち込みながら、魔力の供給を止める。

と、その瞬間マシェルの周りにかなり景色が歪んではいるけど防壁が姿を現した。

マシェルは1発成功である、すごい!

やはりマシェルは偉い子で頑張り屋さんな良い子であった。


「えへへー! せいこうっ!!!」

「うんっ!マシェルお疲れ様!! すごい!!!」

「おっ!そうだろエノ! えへ、もっと褒めろ!」

「うん! マシェル天才!!!凄いね!頑張り屋さん!!!」

「はぁ、そうですね。 マシェルも成功したので次に行きましょうか」


先生が、何故か僕に呆れたような目を向けてくる。

何故だろう、不思議でならない。

片やマシェルは胸を張ってドヤっていた、控えめに言ってすごく可愛いと思う。

残念なことがあるとすれば、それはマシェルが展開した防壁により向こう側で胸を張っているだろうマシェルが歪みに歪み、ほぼ認識できないとゆうことだろう。

残念でならないが、かと言ってあそこまで走っていって割って眺める訳にもいかない。

ここは我慢である。


「よし、ここからは逆回転、マシェルから初めて行きます。行うのは1点集中、五角形の防壁です。 マシェルは準備、他のみんなはマシェルを見ながら自分ならこうする、なんて考えつつ自分の番に備えてくださいね」


先生が説明をする。

そう、これで終わりでは無いのだ。

ここから更に9種類展開して、そこから自由行動としてそれぞれの魔術陣を実戦形式で使ってみようのコーナーが始まるのである。

と、マシェルが焦りだした。

もちろん僕はその理由を知っている、なんせその理由は僕のすぐ隣にあるのだから。


「んえっ!? おれ!? ちょっ、と、取ってくる!」

「え!?マシェルどこ行く、、あ、くっ、この、、はぁ、、、」


マシェルが僕の方に走ってきた。

マシェルが尻に引いて温めていたコピー用紙の束、そこからおもむろに1枚取り出し、差し出す。

そう、マシェルはまたアッシュからだと思ったのか、すっかり忘れていたのか、どっちか分からないが全部置き去りにして行ったのさ。

もっとも、いつもこの流れになるので忘れているとも考えづらいのだが、まあいいだろう。

マシェルの元気な姿が見れれば、それだけで僕は満足なのだから。

マシェルに頭の出来など別に求めてないのである。


「はい、マシェル。 これだよね?」

「おう!ありがとなエノ!」

「ううん、次も頑張ってね!応援、してるよ、!」

「んっ!ありがと! それじゃ頑張ってくるな!」


マシェルは、そう言うと走り去ってしまう。

マシェルの耳が少し赤かったように見えた。

4月入学で7ヶ月、もう11月だ。

この辺は四季がハッキリしているしこの時期は冷え込み始めだ。

特にマシェルはそこまで厚着をする、とゆうタイプじゃない。

とゆうか冬でも動きやすいように半袖短パンみたいな服装なのだ。

風邪をひかないかが心配なところである。


「ねね、エノくん」


ふと声をかけられる。

振り返ると、リ、リア、いやリティ、、女の子がいた。

さっきマシェルと僕のことを話していた子だ。

たしか僕の1つ上だったはず。

茶髪に黒髪のメッシュが後ろ髪に入ってる、おっとりした顔とは裏腹に猛々しい髪の女の子だ。

かなり可愛いらしく2人しかいない女子の人気ナンバーワンである、らしい。

僕にはマシェルの方が魅力的だ、だから安心して欲しいと思う。

あ、思い出した、リティアさんだ。

え、別に忘れていたわけじゃない、うっかりしていたのだ。


「えっと、どうしたのリティアさん?」

「さんって、、まあいいけど。 マシェル照れてたね?」

「え?照れてたの?」

「うん、さすがのマシェルも忘れ物して取りに帰ってるとこ、エノくんに見られるのは恥ずかしいんだね」

「、、マシェルそんな女々しい、かな、?」

「あ、酷いこと言った」

「そう?」

「うん」

「そっか、後で謝っとくよ」

「いや、わざわざ言わなくていいと思う」

「そうなの?」

「うん」

「わかった」


マシェルの全部に集中していたくて、つい冷たくしてしまった。

傷付けただろうか、?


「はあぁ、ほんとエノくんノリ悪いよね、なんでマシェルはあいつのこと好きなんだろ?意味わかんない」

「いいんだリティ、俺がついてる、あんな無愛想なやつに構わないで俺と話してよ、? その方が絶対楽しい」

「、、そうだね? はあ、きっと心が冷めきってるのよエノくん。 話しかけて損した」

「あはっ、言えてる」

「リティの言う通だね! リティ、さっきの防壁、すごく綺麗だった」

「そうそう! さすがリティだよ! 心だけじゃなく術式まで完璧なんて、俺のリティが優秀すぎて俺置いてかれないか心配、、」

「あ゛ぁ!? 何言ってんだ俺のリティに決まってるだろ!! そうだよねリティ!?」

「えっ!? あー、後にしよ?その話」

「「、、うん」」


あ、大丈夫そうだ。

なんか元気にお話してた。

僕にはあまり関係が無さそうだし、マシェルを眺めることに集中できそうでよかった。

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