プロローグ③
2限後半が始まる。
みんな自分が魔術陣を書いた紙を大事そうに抱き抱えている。
7ヶ月の授業で少しづつ慣れてきているとはいえまだまだ魔術陣を描くとゆうのは難しいこと、大事にしてしまうのも、頷ける。
かく言う僕も魔術陣の紙が汚れないよう抱き抱えているひとりだったりするのだ。
まあ、僕の横には、そうゆうのが全く気にならないらしい、魔術陣の紙を、地面直置きでなんならそこにしりを乗せて少しでもおしり痛くならないようにと工夫するズレた美少女、マシェルが居ることからも、みんながみんなそうゆう感覚とゆうわけでも無いのだが。
「はい、一通りみんなおわったかな?」
「「「「「はーい!」」」」」
元気な返事、それに満足したのか先生がおもむろに取り出した魔術陣の1枚、それをひらっと持つとみんなに見えるよう掲げてみせる。
そこに描かれているのは魔術陣、防壁のものと同じように見える。
「まずはお手本から行きまーす! しっかり見ててくださいね!」
「「「「はい!!!」」」」
生徒たちの元気な返事を聞き頷くと、先生は軽く持っていた紙に魔力を込めよう、、としたその時、急に何を思ったか美少女が話しかけてくる、!
「エノエノ! 俺の魔術陣きれい??」
どうやら先生の魔術陣を見て対抗心を燃やしてしまったらしい。
マシェルの魔術陣をチラと見やるが、まあ綺麗とはお世辞にも言えない出来、、
だがそんな野暮なことをあえて言う必要も無い、何より相手はマシェルだ、マシェルは褒めて育ついい子なのである。
「うん、綺麗に発動してくれると、思う。 でも、マシェルは頑張り屋さんだから、もっと上手になると、思うよ、?」
「まじ!? 何だ嬉しいじゃねぇ、、」
と、マシェルが鼻先を擦ってそう言いかけた時、僕は何かを察知する。
これは所謂、第六感とゆうやつなのだろう。
感じるのだ、僕を憎々しそうに睨みつける先生の気配を。
僕に察知系の魔紋など着いてないはずだが、不思議なこともあるものである。
「エノワール!!! 雑談はあとにしなさい!!!」
「、、すみませんでした」
「え!?エノだけ!? 俺もうるさく、! 」
「良いのマシェル、話聞こ?」
「、、うん、」
マシェルが珍しくしおらしい。
僕がマシェルのせいで怒られてしまったと思ったのかもしれないな。
でもいいんだ、僕はマシェルが怒られるの少し嫌なんだ。
先生もそれが分かっているから、あえてマシェルのことは放置にしてくれたんだと思う。
もう1つ考えるとすれば、変に叱り付けるよりこうゆう方法の方がマシェルに効く、とゆうのもあるだろう。
根がいい子なのだ、仕方ない。
「それじゃ改めて、先生のを1度見て、実際に使ってみようね!」
「「「「「はい!!」」」」」
みんなの返事がそろう。
先生は少しの間僕を見ていたようだけど、すぐに視線を外して掲げた魔術陣に視線を向ける。
「防壁、!」
先生は言いながら魔術陣に魔力を集める。
この世界では魔力とゆうやつは空気中にあり、それを繰ることで現象を引き起こす。
前提として、体内に魔力がストックされる、とかは特にない。
そうゆう臓器は確認されていないし、ストックされているのなら不自然だ、とゆう現象がいくつかあるのだ。
魔力の蓄積を行っている存在、いるとすれば、それは魔物か魔族か、そんなところだろう。
さて、先生の掛け声で生成された防壁、それは五角形に囲まれた半球状であった。
掛け声は別に必要ないのだが、まぁエンターテインメントとして、だろう。
展開されたのは半透明のボール、のようなもの。
触れればわかるのだがかなり固い。
暑さこそ数ミリの代物だが、その防御性能はなかなかバカにできないものがある。
片田舎の先生が展開した防壁でも落石からくらいは身を守れるとゆう代物だ、熟練した首都勤務の魔術師が使えば震度6の地震を圧縮してぶつけようと、なんだかんだ生還するのではないだろうか。
これは魔術の中でも基礎中の基礎と言われる、だからこそ魔術師の力量が現れやすい部類の魔術となっていた。
そんな防壁、先生が発動させたものは綺麗な円、魔術陣が、丁寧なのだろう。
ただ防壁の向こう側が濁って、とゆうか歪んで見える。
これが熟練の魔術師ならば防壁の向こう側も元来と同じ透明度で見渡すことだできることだろう。
国のトップクラスともなれば防壁と空間と境が識別できないほどだ、とは父さんの談。
しかしこんな片田舎でこの練度、もちろん十分な時間をかけて作ったものではあるのだろうが、それでもこれだけのものを作れるのは真面目な先生らしいと言えばらしいのだと思う。
「「「「「おおー!!きれい!!」」」」」
「ふふ、みんなも覚えればしっかり使えるようになると思うよ!頑張ろうね!」
先生は、褒められて満更でも無い様子。
嬉しそうに指をくねくねさせる先生、大人連中はこうゆうのがお好きらしい。
綺麗な半球は、その後少しすると自然消滅する。
込められた魔力が少なかったため直ぐに使いきれてしまったのだろう。
この消滅の際、紙が焼き切れたりして消し炭になっていたのが昔の記述法だ。
昔のものは効率が悪い方法で、余計な魔力を多く含んでいたぶん紙自体への負担も強かった、とゆう話だ。
もちろんこれも正しいんだけど、もう1つ要素がある。
それが魔術陣を書く時に使ったペン、『魔道ペン』だ。
魔道ペンで書かれる魔術陣と紙の間には、魔力でプロテクトのようなものが施されている。
魔術陣を発動した際、余った余剰の魔力はこのプロテクトを維持するために使われ、使い切られるとゆう仕組みになっている。
少し難しいが、とりあえずこの専用のペンを使っていれば紙のリサイクルができてエコ、とゆう話だ。
もちろんこのペンじゃなく普通の炭のものでも魔術は発動する、ただ紙にダメージ、ないし破損の原因となるって話。
田舎でそうゆう物資もままならないのだ、無駄使いもできないのだろう。
「はい、こんなふうにまずは全体を囲む防壁からです!分かりましたねー?」
「「「「「はーい!!!」」」」」
「よし!いい返事! それじゃあ初めよっか。 まずは通常の防壁だから、みんな1番上の1枚をとって準備してくださーい!年順で1番高いアッシュから順番に見せてね〜」
「「「「はい!!」」」」
「は、はいっ!!!」
先生の指示に従い20枚のうち、1番上のをとる。
残った19枚も抱きしめて体育座りに戻る。
先生に呼ばれたアッシュ、かなり緊張しているらしく顔が真っ青になっていた。
とは言っても、アッシュは元々少し薄めの茶髪である事と、かなりのヤセ型であることも相まって、普段からまあまあ体は悪そうなやつだった。
今は体調が悪化してる感じでもないし、大丈夫じゃないかと思う。
まあそれでも、緊張しているのは事実だろう、頑張って欲しいものだ。
「初めてください」
「は、はいっ!! 防壁っ!! 、、あれ、おかしいな、、防壁っ!!! あれ、発動しない、!なんで!?えっとえっと、、」
アッシュは1人目とゆうのもありかなりテンパっている。
大丈夫、僕も似たようなもんだ。
僕は最後の方、マシェルの前だから最後から2番目、となるだろう。
みんなの防壁を見学しつつ、少し物思いにふけようと思う。
さて、1限から2限の最初2時間半で書いた魔術陣なのだけど、実はこれ、全部同じものだった訳じゃない。
と言っても構造自体は同じ、ただ魔術陣の1部を書き換えて少しだけ効果の違う魔術陣を、今回の場合は1種類2つずつの計10通り書いた、とゆう話だ。
例えで言うと、『半球の、防壁を、生成する』とゆう術式と『五角形の、防壁を生成する』とゆう風な違いだ。
この場合、半球の防壁は全体を囲う全体からの攻撃に強いタイプ、五角形のものは一枚の防壁を生成、操作することで点の攻撃に強い、とゆうタイプになる。
本来ならここに大きさ、半径とか直径、点と点の長さ、操作方法は?みたいな色々な項目があって、こうゆうのを埋めていく事になる。
正確にはこの10倍程度は情報量が多い、と思っておいて間違いは無いだろう。
まあ最初は元より、汎用性もいちばん高い半球状の魔法だ、焦らなければみんな大丈夫だろう。
アッシュも焦らなければすぐに成功しそうなものだが、、
まああの慌てようならもう少しゆっくり出来そうである。
今日使う魔術陣は事前に習っていたし、そうでなくてもココをこう変えろとゆうくらいの問題なら何となく答えられる範囲だ、実際座学では魔術陣の書き方とか、ココを変えるとこうなるみたいな事をメインに習うわけだし。
さて、僕の番が来るまでマシェルと話していようか、、
「でな? 俺が木登りしたらエノめっちゃ怒るんだよ! 心配なのかな? 小っ恥ずかしいんだよな、!!」
「愛されてるって事じゃないかしら? マシェルのこと大好きだもんね?エノくん」
「そうなんだよなぁ、アイツ俺がいなきゃダメダメで、、」
なんか噂をされていた。
今気付いた。
全く僕も鈍い男である。
マシェルはあーゆうの恥ずかしかったんだな、これから自重したいと思うよ。
あと確かに僕はマシェルがいないとダメダメである。
これからもずっと一緒だマシェル。
、、、ふむ、少し重かっただろうか、マシェルが、僕に生優しい目を向けている。




