奥編 moglie 39:明日から先へ Da domani a domani
前回:ラスボスを倒して依頼を完了した。
依頼中の岩の洞窟から戻った所は、宝珠の前だ。
どうやら、クリアした。さすがに苦労したと思う。
「苦労したな。これから先の敵は、ますます難しくなるんだろうな」
サヤも同じ意見らしい。
「そうですね。まだ魔法を駆使して来る敵とか、ほとんど居ませんし、先にはキャラクタ並の魔法を使うモンスターが出て来ると思います」
「まぁ、先のことを考えすぎても、仕方あるまい。とりあえず帰って休もうぜ」
「そうだな。装備を確認して町へ帰還だな」
「あれ? ゲッツの盾は新しいの?」
「そうだ。今回のドロップだな」
炎の意匠の入った美しい盾だ。
「防御力もありそうだし、火属性だ。これで殴ると火属性攻撃になりそうだ」
ゲッツは楽しそうに笑う。
建国2年唱月16日(16/Coro/Auc.02)
町に帰還した。
直ぐに、ギルドマスターから呼ばれて、依頼内容を報告する。
今回は、割合普通のパターンだったようだ。ただ、案内係が付くのは結構レアらしい。
ドロップもこんなものらしい。それぞれに応じて、役立ちそうなものが入手できるとのこと。
コーリの “火の衣„ と、ボクの “火の貴石„ は何らかの形で装備品に加工する必要がある。ここで加工するより、次の街の方が良い職人が集まっているらしいので、一旦は保管しておくことにした。
さて、全てが終了して、同居している部屋に戻る。一時的にレア・リネカー師匠の家だ。
今後のことについてみんなで話し合わなきゃいけないね。でも今日はゆっくり休もう。
ベッドの中でふと考える。
あの人は今ゲームで何処にいるんだろう?
お互いゲーム内のことは言わない約束だけど、退場したという話は聞かないので、きっと元気にゲーム・ライフ送ってるよね。
次の街は彼方此方の冒険者が集まっている所らしいから、会えるかもしれない。
翌朝、第一昼刻、朝食後にリビングで話合うことにする。
「サヤ、火の弓懸って、あまり聞かない名前なんだけど、どんな装備なの?」
「そうだな。弓手以外はあまり聞いたことないかもしれないな」
赤い波模様が入る手袋みたいなものを取り出した。
「変わった手袋ですね~。あたしは見たことのないですぅ~」
「説明するとだな。弓は他の武器と違って、右手で弓弦を引くんだが、どうしても指先を痛めることが多い。そのため、指を保護する手袋といったものだな」
「普通の手袋とどこが違うの? ボクには良く分からないな」
「時代によっても違うのだが、これは “三ツガケ„ と言って、親指、人差指、中指を保護するように出来ている。薬指まで保護する “四ツガケ„ というタイプもあるんだがな。細かいことを言い出すと私も良く分からない。実際には、これに “ぎり粉„ という滑り止めの粉を塗して使うんだが、ゲームではそこまでやってないみたいだ。細かくなりすぎてもゲームにならないからな」
「ふむ、弓はやはり独特な武器だな。攻撃力もあるし、射距離も長い。弓を持つ敵が出るようなら対策を考える必要がある」
ゲッツは何か考え込んでいる。
「コーリの衣はどうするの?」
「次の街に行ってから、仕立の出来る人と相談します」
「そうだね。ボクの貴石もそうする」
「さて、本題に入ろう」
サヤの話に、みんな少し真面目な表情で構える。
「次の街への移動はいつにしようか?」
「なるべく早くでいいんじゃない? ボクは、そうしたいな」
「俺も賛成だ。この略綬も取れたしな。新しい所で新しいステップに入りたい」
そう、“火の山の魔女„ の略綬は、真紅と朱の縦縞に魔女のシルエットが入る。他と比べてもとても目立つ。
「あたしも、早く移動して火の衣を仕立たいですぅ」
「決まりだな。この町での残務が終わり次第出発しよう。アルフィ、この部屋については大丈夫なのか?」
「心配ない。師匠宛の郵便を残して置けばいいと言われている。今日中には片付けて置くよ」
「良し、早速準備に入ろう。特に部屋の清掃には気を付けて欲しい。汚れていたと言われては名誉にかかわるぞ」
「了解!」
「承知!」
「分かりました~」
建国2年唱月21日(21/Coro/Auc.02)
ボクたちは、“冒険者の集う街„ へ向かう。行先は西だ!
次回 「旦那編 40:夢追い correre dietro a sogno」




