奥編 moglie 24:海月の恩返し(その3)Il ritorno da medusa:terzo
「コーリ?」
「いや、ちょっと見てただけですぅ。盗んだんじゃありません」
「でも、あいつはそうは思ってなさそうだよ」
大型の蜥蜴は、全身が鎧のような鱗に覆われている。
こちらを牽制するのか、舌を出し、じっとこちらを睨んで来る。
「祭壇の守護獣だな。どうやら戦うしかなさそうだ」
まずは小手調べ
「石の連弾!」
狙った石が蜥蜴に吸い込まれるように消えて行く。
「予想通り、地属性だ。火で行く!」
「分かりました。火の加護!」
コーリの火結界が展開される。クラちゃんにも効果あるよね。
「クラちゃん、下がっていていいからね」
ぴっ! こくこくこく
ボス戦なら遠慮なしで全力だ。
「火纏い!」
武器に炎をまとわせる魔法、新スキルを溜めさせて貰おう!
「行きますよ~火の槍!」
おぉ、やる気十分だな。
コーリの魔法に合わせて突っ込む!
すれ違い様切りつけたが、堅い~
掠り傷かぁ
それでも警戒はしてくれたみたいだ。
間を取って対峙する。
ドッ! と鈍い音を残して一直線に突っ込んで来る。
えっ! 体当たり攻撃かぃ!
何とか躱したけど、あぶねぇ~
そのまま壁に激突する。
ちょち単純過ぎない?
「コーリ、距離取っていて、隅に誘導するから」
「分かりました。追い込んで勝負ですね」
蜥蜴が洞窟の壁に衝突する度に岩が上から降って来る。
まさか、まとめて落ちて来ないだろうな
何度も繰り返して、洞窟の隅へと誘う。
そして――
蜥蜴の突進が、壇の奥側に入る。
「コーリ、今っ!」
「はぃ!」
「「火の壁!」」
コーリと二重掛け閉じ込める。
「炎の舞踏!」
「炎の波!」
暴れる蜥蜴を閉じ込めるように火魔法を重ねる。
敵が力尽きて倒れるのと同時に、洞窟全体が激しく振動し、天井から石が降ってくる。
ぴきぴきぴきっ!
「クラちゃん!」
どどどぉぉーん!
「ひぇー」
どどっどどっがぁぁーん!!
崖が崩れ落ち、外から激しく潮が流れ込んで来る。
「あぁっ、おたからがぁ~」
沈んでいたお宝群が潮の勢いで流されていく。
「あぁぁあぁぁあぁぁ!おたから~」
ぴぴぴぴぴっ!
「分かったわよ。クラちゃん。生命より大事な宝はないものね」
ぴっぴっ
「おっと、あの拷問会会長さん大丈夫かな?」
「この際、自己責任ですぅ」
「もうほっとくしかないか」
「さぁ、クラちゃん脱出よ。誘導して!」
ぴぴーっ!
二人共、クラちゃんの脚に掴まって飛び込む。あとは潮任せ、運任せ!
ザザザザァー、はっ速い!
一気に薄暗い洞窟の中に吸い込まれ、水の流れに翻弄される。
クラちゃんがカサを開いたり閉じたりして、体勢を立て直す!
やがて明るい海面が見えて来る。
「ぷぁーっ!」
水面から顔を出すと、遠くに “神宿る島„ が見えた。
「やったー! クラちゃん、脱出成功よっ!」
ぴぴーっ!
やれやれ、何とか海岸に辿り着いた。
「今回は大変だったなぁ……で、コーリ、それは何?」
「え? 何でしょう?」
オリハルコンの腕輪を確り握り締めている。
ピキッ!
「クラちゃん、そんなに怒らないでよ」
生命の腕輪の効果音が響く!
“ワイド・インスタンス・クリア:海月の恩返し„
次回 「旦那編 24:電子の歌姫 La cantatrice electrica」




