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奥編 moglie 40:魔女に捧ぐ Un dedica a strega
時重ね 碧き常葉の 待つ人と
心重ねて 挑まんと 遠き行く手を 尋ね来て
人も寄らぬと 聞く山の 麓に着きて
見上げれば 夕べも過ぎし 墨染の 黄昏空に
赤き火の 燃ゆるが如く 揺らめきて
空を高行く 風に乗る 火の粉の如く 流れ行く
山に臨みし 岩囲う 珠の光に 誘われて
踏み入れし道 薄紅の 秋の山にも 其処此処に
見ゆる紅葉の 畳なづく 幾重に茂る
梓弓 音聞く我も 前知らぬ
溢れし炎 火の泉
君が備えし 力添え 軍の姿 雄々しくも
我友合わせ 勇駒 猛る心に
武士の 八十に重ねて 攻め立てる
幾時経ちて 夕月夜 暁闇に 隠れども
大空渡る 日の影も 虚い惑い 照る月の 光も見えず
永久の 人持つ罪を 抱きつつ
永遠の償い 背負う如 哀しき姿
神奈備と 祈り捧げん 火の山の魔女
次回 「奥編 moglie 41:景色は移る Lo scenario si muove」




