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IQが高い転生お姫様は穏便に隠居したい  作者: 星船
正規ヒロイン編
119/119

ボクの知る、その後の世界1


 

 その後、ボクは無事にもう一度この世界に生まれ変われたわけだけど、すでに二百年以上もの時が経っていた。

 

 てかまた神竜で、しかも同じ“妖竜”ってさすがにビックリ!

 他者を魅力して虜にするとか意のままに操るとか……この属性にボクほど不向きな妖竜はいないって思うし、過去にそんなリターン転生を果たした神竜の話は聞いた覚えがないんだけど…??

 そこんとこを含めて肝心要の愛しのダーリンの情報を調べようと、前世で知り合いだった神竜らを片っ端から訪ね回れども、どうしてだか誰一人として再会できないでいた。


 まず、前世では定期的に夢で会っていた暁星竜リゼラちゃん、そしてその対の辰星竜ルゼロ君とは今回全然夢で出会えず。

 リゼラちゃんは過去、ルゼロ君は未来と、他の神竜と違って彼ら二人は時間軸(?)の異なる場所にいるらしく。ひいちゃんのようにどちらへも自由自在に渡り歩く術を持たないボクでは、彼らと自力で再会する事は難しかった。

 次にショックな事に森羅竜は代替わり、つまり、茶飲み友達だったあの優しいラッセルおじちゃんはすでにお亡くなりになっていた。

 同様に風竜ヴァルサスも代替わりしてて、あと火竜マギナロスや惶竜ガルティアとかはどうでもいいけど、あのキラキラの白薔薇宮殿に紡竜のアーシェお姉さんの姿はなくて……

 

 そして何よりもボクが驚いたのが、緑樹竜のリーちゃん。

 信じられない事に、彼女は大樹になっていたのだ。


 ーえ!?木…!?神竜が、なんで木になってんのッ!?


 間違いなく彼女だし、生きてるみたいだけど呼びかけても返事がない。というか、リーちゃんの住んでた国の大地がおかしな事になっていた。

 元々とても暑い気候の地域だから実りの少ない国だったけど、今や輪をかけて緑が無くなって土地はやせ細り、国土全体が砂漠のように干からびてしまっていた。

 そんな風にもはや死ぬ寸前の大地を、リーちゃんがその身の全てを投げ打ってなんとか保たせている状態だった。

 古臭い閉鎖的な封建制度が今だ強く蔓延る矛盾だらけの国の、その大半が深刻な貧困に喘ぐ国内で、彼女が何よりも大好きだった果実だけは変わらず細々と実っていて………

 

 この国はダーリンから竜眼を奪って悪用し、周辺諸国に侵略戦争を引き起こしたとっても悪ぅーい国。

 どうやらその後、ボクの死んだ原因となった禁呪のしっぺ返しを受けているみたいだけど、そんなの自業自得だしさっさと滅びてしまえばって思う。なのになんでリーちゃんがその身を犠牲にしてまで守ってるんだろう?

 それにこの木からはダーリンの魔力気配がする。てことは、もしかすると奪われたダーリンの竜眼がここにある………?


 そんな状態のリーちゃんとその国に関して色々と思うところはあるけど、ボクの最優先事項は何を置いてもやっぱダーリン。

 竜眼を失った神竜は人と同様に年を取ってやがて死んでしまう。ダーリンがもうこの世界にいないって事は覚悟してるけど、その後どういった人生を送ったかをボクは知りたかった。

 そんな理由で引き続きあちこち飛び回って調べた結果、ボクは先にひいちゃんの仰天なその後の情報を耳にする事となった。



 エルドラシア王国初代国王ヒースクリフ。

 侵略戦争を退けた稀代の英雄は、戦争で生きる場所を失った人々に是非にと乞われ、大陸中央地帯に新しい王国を打ち立てた。

 彼はそのカリスマと天賦の聡明さで瞬く間に安定した国家の基盤を作り上げれども、僅か数年で優秀な義理の息子に王座を譲り、その後は自由気ままな放浪の旅に出たという。


 

 ひいちゃん、王様になったんだ……

 そういえば……ひいちゃんには大事にしていた小さなお姫様がいたっけ。恋も愛もただのまやかしだと言っていたあの恋愛オンチの彼が、そのお姫様の為に義勇軍を結成して自ら土塗れになって戦うほどの、それはそれは大事なお姫様。

 でもそのお姫様は、多分、ボクと同時にあの禁呪で───


 結局ひいちゃんの生死も消息も分からなかったけど、そのエルドラシア王国についてもう少し詳しく調べてみると、ようやくボクはダーリンのその後を知る事ができた。

 

 えー!ダーリンが貴族に!ギュンスター伯爵になったんだ!

 新魔法を次々と生み出した世界に名だたる天才魔法士だって!

 ふっ、そんなの当然だよ!だってダーリンは“魔竜”、それも歴代魔竜の中でも更に抜きん出た、とってもすごい魔法の使い手なんだからさっ!

 で、ええと、あっ……け、結婚、したんだ……。

 慎ましく聡明な貴族令嬢と婚姻後、一男一女に恵まれ、二代目クライシス王の治世をその生涯に渡って支え続けた───

 


 そ、そっか。良かった。

 ……い、いいんだ、ダーリンが幸せだったんなら………

 ダーリンがボクの事なんて、っ忘れて、他の誰かと幸せになっても、それでも、うん、幸せだったんなら、──










 ボクはギュンスター伯爵領へ向かった。

 上空から見下ろす領地は手付かずの山や森が延々と広がっていて、稀少な植物や絶滅危惧種が生息する自然保護区域が大半というこの地帯……英雄の右腕が報奨で賜る領地にしては……て思ったけど、でもなるほど。人見知りで静かな場所を好むダーリンらしいかも。

 

 やがてギュンスター伯爵家と思われる大きな建物を見つけたボクは、騒がせないよう屋敷近くの雑木林へと舞い降りる。

 

 ──しかし、意外にもそこには待ち人がいて………



「うちの結界にとんでもなく莫大な魔力物体が侵入したと思って来てみたら…っ!─っあの、こんにちは!お会いできて光栄です!この世で最大最強の存在とされる神竜様とお見受けしますが、その見るも艶やかで美しい蒼の翼と鱗は、もしや“はーちゃん”、というお方でしょうか!?」

「えっ!?うん、そうだけ、ど??」

 

 髪は明るめのハニーブラウンだけど、瞳はダーリンと同じ紅茶色の少年がボクをキラキラした目で見上げていた。

 てかなんでこの子、ボクの名を……!?

 

「僕はセリヤ・ギュンスター!初代から数えて五代目となる予定です。えっと、実はですね、うちには古くから代々一族に伝わる初代の口伝がありまして。─“いつの日か、はーちゃんという名の蒼い神竜がうちにやって来るから、みんなどうか彼女と仲良くしてやってほしい”、──と」

「初代って!それっ……!!」


 ダーリンだ!ダーリンがボクの事を家族に伝えてくれていた!?

 じゃあ、この子はダーリンの子孫ってわけで……!

 

「はい、そうです!はーちゃんはアゼル大おじい様のお友達なんですよね!わあっ!会えてすっごく嬉しいな!僕はこの話を父さんから聞いてからずっと貴女に会いたくて会いたくて仕方がなかったんです!神竜様とご縁があるなんて誇らしくて自慢!、ってのもあるんですけど、何故かこの血が無性に騒ぐんです!」

「誇らしいってほどでもないけど!てぇ、血が、騒ぐ?」


 ちょっ、なにそれ!?一体どういう事!?

 もしや禁呪の影響!?ダーリンの血を受け継ぐこの子達まで苦しめるなんて!そんなのボクが絶対赦さないぞ!

 けれど、次に少年の口から思わぬ言葉が飛び出す。


「理由は分かりません!でも、僕の一族にとってはーちゃんはとても大事で大切で、家族と変わらないくらいに親しく……いえ、むしろ家族以上に愛しくて堪らないと感じる存在なんです!」


 い、愛しくて、堪らない……?

 突然向けらる好意に、思わずボクの口がポカンと開く。

 

「これは恐らくですけど、類い稀なる大魔法士だったアゼル大おじ様が心から深くそう想っていたから、だからその想いが血を伝って子孫へと伝染してるんだと思うんです!」

「わけ分かんないよ!?それ、なんか呪いみたく感じるけど大丈夫!?あ!もしかするとボクの“魅力”にやられてない!?ええと、その、誰かがボクの神力を使った魔法アイテムとか勝手に作って!そういうので一族全員おかしくなっちゃったとか!?」


 うーん?でもそんなわけないか。

 妖竜も二度目。今世のボクは最初から完璧に自分の神力を抑え込んでいるし、人間といえどこれだけ魔力が高い一族であれば、魅力なんてまやかしはそうも長くは続かない筈。

 だとすると、彼のこれは??


「まあ、理由なんてどうでもいいですよ!一族みんな共通で大好きな存在があったところで、だからってそれでどう転んでも不幸にはなりません。はーちゃんがわがまま悪女で世界中の男を侍らすとか世界征服!、でも企んでいなければ?」

「しないよ!やらないよ!ボクはダーリン以外興味ないから!」

「じゃあ何も問題ないですね!あ、ところではーちゃんは人型になれますか?いつまでもこんな場所で立ち話もなんですから、うちで是非ゆっくりお茶でも飲んでいって下さい!」

「あ、うん。じゃあお言葉に甘えて、お邪魔、します?」

「はーい。なんだったらそのままうちに住んでもらって構いませんよー!きっと家族全員大喜びの大歓迎ですからね!」

「はあ。そ、そうなの……?」


 

 いや、あれ? どうなってんの、これ……??

 

 戸惑う気持ちでいっぱいのボクの手を、ダーリンに似た面差しの少年は笑ってぐいぐい引っ張っていく。

 

 そしてその後。

 ギュンスター伯爵家のお友達神竜としてボクは、さほど寂しさを感じずと百年弱の日々を過ごすこととなった。



丸一話書き直しました。

混乱させて申し訳ありません。

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