↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
キズナの鬼  作者: 孔雀(弱)
第11章「太陰の位と信用できない主」
PR
71/86

「海トーク」

11章開始です。

ちなみに13章が最終章で、おまけエピソードが少し続く予定です。

やっと終わりが見えてきました(早

「ふぁ~、おはよう」

 昨夜はぐっすり寝たおかげで体に疲れはない。

 それにしても結局昨日は何もなかった。みんな態度がおかしかったけど何だったんだろ。

 うん、平和平和。

「あ、孔弌さん。おはようございます」

「あれ? 氷凍一人だけ?」

 部屋にいるのは氷凍だけだ。

 しかもなぜかテレビをいじってるみたいだ。

 っていうか解体してない!? 何基盤むき出しにしてるの!?


「精密機械の修理は大変ですね。壁とか窓ならすぐに直せるんですけど、精密機械は一回分解して部品ごとに修復する必要がありますから、下手をすれば一から作り直すより時間がかかるんです」

「……? 何言ってるかよくわからないけど、ファイトだ氷凍」

 これは氷凍なりのネタ振りなのか?

「はぁ、僕なんて結局こういう役回りなんですよね……」

 よくわからないけど、とにかく傷心中らしい。

「他のみんなは?」

「廊下の隅っことかに転がってると思いますよ」

 はて、そういえば来る途中廊下によくわからないものが色々落ちていたような。

「ん~、じゃあ今のうちに朝ごはんの準備しようか」

「そうですね。テレビもこれで大丈夫でしょうし」

 そう言うと氷凍もテレビから離れてこっちにやってくる。





「……なんでみんなそんなにげんなりしてるの?」

 食卓に並ぶみんなの顔は蛍さんと沙羅を除いてかなりやつれている。

 食事の匂いを嗅ぎ付けて起きてきたらしいんだけど、全然元気なさそうだ。

「気にするな……少し疲れが溜まっているだけだ」

「疲れが溜まってるのは見ればわかるんだけど、どうして溜まったのかが謎なんだけど……」

 僕に内緒で皆何かしてたのかなぁ。

 例えば、夜の間に敵の襲撃があったとか。氷凍も修理がどうとか言ってたし……。

『……次こそは』

 全員が同じセリフをぽつりと呟く。本当に何があったんだろう?


「それじゃ私はもう少し部屋で休んでくる」

 というアルテの言葉に続いて皆各自の部屋に戻っていってしまった。

「本当にお疲れみたいだなぁ」

 栄養ドリンクでも買ってきてあげたほうがいいのかな。

「どうやら午後までは手持ち無沙汰になりそうじゃの」

「うん、みんな疲れて休むみたいだし」

 そういえば蛍さんと沙羅はあんまり疲れてなさそうだ。どうしてだろう。


「うむ、結界は基本中の基本じゃが偉大な術じゃ」

 まるで僕の心の中の疑問に答えるように、ぼそりと蛍さんが呟く。

 そっち系の知識が全くないからそんな事全然知らないけど、なぜ今それを言うんだろうか。

「それじゃわしはちと町の見回りに行ってくる」

「あ、今日は行くんだ」

 最近は昼間に街に出る必要がなかったら行ってなかったみたいだけど。


「うむ、この二日は例の獣が出てこなかったからの。念のために巡回じゃ」

 なんという働きっぷり。リュウや麗姫に見習わせたい。

「なぁに、本当にちょっとした見回りだけじゃからすぐに戻る」

「あ、うん。いってらっしゃい」

 蛍さんを見送る。

 隣では沙羅も手を振っている。

 なんか普通にこの家に馴染んでるなぁ……。


「それじゃ、僕も部屋に戻ってゆっくりしてようかな。君はどうするの?」

 僕が問いかけると沙羅は首をかしげてキョトンとしたあと

(――ジー……)

 ものすごいこっちを見てくる。しかも、何を考えているのかその無表情からは全く読めない(+顔の半分が仮面で覆われているのでその顔すら見えない)。

「うん、じゃ僕の部屋来る?」

(――コクリ)

 無表情のまま頷く。ポーカー超強そう。

「じゃ、行こうか」

 というわけで僕達は上の階に上がっていく。





 結局僕の部屋に来た沙羅はずっと本を読んでいるだけだった。

「ずっと本読んでただけだったけど、退屈じゃなかった?」

 漫画とか小説じゃなくて写真の沢山のっている本を見ていたのは多分字が読めないからだ。

 まぁ書けないのだから、そりゃ読めないんだろうね。

「さぁて、そろそろ昼食の準備にいこうか」

 氷凍も疲れてたみたいだし、あんまり頼るわけにはいかないよね。

「沙羅もよかったら手伝ってよ」

(――コクリ)


 そして昼食後の居間にて……

「孔弌君、海に行こうよ」

「……? 突然何を言ってるのリュウ」

 海に? 何故に?

「そりゃ、夏だからに決まっているだろう」

 って、ただの海水浴!?


「なんでそんなに遊ぶのが好きなんだ……」

「遊びは皆好きだろ? 大体、夏に海に行かないでどうする!」

 何事にも限度はあると思うんだけど。そもそも我が家は出不精じゃないNEETが多いと思う。遊びすぎだよ……。

「大体、みんなは外に出られないんでしょリュウの張った結界ってやつで」

 確か初日にそんな事を言っていたような。

「あぁ、そういえばそうだった。本人ですら忘れてしまった事をよく覚えてたね」

「忘れてたの!?」

「あぁ~、まぁ細かいことはキニシチャイケナイ」

「……もういいよ」

 これ以上リュウに付き合ってたら、僕のツッコミエネルギーが切れてしまう。


「なんだ? たかが海がそんなに楽しいのか?」

 やばい、リュウの話にセラが興味を持つっていうパターンは大抵が悪いことに繋がる。

「あぁ。とても一夏では堪能できないぐらいの楽しみを夏は抱擁してるんだ」

 んな大げさな。流石にシーズン中ずっと海にいたら飽きるよ。

「まず、泳ぐ。これをしないのは海に対しての冒涜だ」

 たしかにせっかく海に行くんなら泳がないとね。

「そして砂遊び。これをしないのは砂浜に対する冒涜だ」

「お、砂なら俺ちょっと得意だぞ。砂で太刀を生み出したりできるぜ」

 それを一般海水浴でやるのは勘弁してほしいと思う。



「続いて魚釣り。これをしないのは海の全生命に対しての冒涜だ」

 いや、魚は別に釣られたいとは思ってないでしょ。

「それから海の家での昼食。これはもう海の家に大して宣戦布告してるよ」

 僕はお金がもったいないからおにぎりとかを持っていったほうがいいと思う。

「まだまだ上げたらきりがないくらいに海は楽しい」

 しかし、そう言われるとなんだか僕も海に行きたくなってきたなぁ。

「そしてなんといっても、やっぱり外せないのがっ」

 バンとリュウが机を叩いて

「水着っ! これを見ないで夏を終えていいのか、いや、よくないっ!」

 くっ、この流れは……。

「女にとったら自分を見せて男を誘惑するチャンス、男にとったら曝け出された至福を拝むチャンスッ!」

 あー、そんなこと言っちゃうと……。


「なるほど……」

「ふむ、わらわも暇を持て余しておる。行ってやらないこともないぞ

「私は、みんなが行くならもちろん行くよ」

「……私は、その、……」

 ほらね、みんなが興味持っちゃった。

「……そういえば孔弌は濡れたのが好み」

「な、そのネタをここで再び引っ張り出すの!?」

 もうその話題には触れないでよ。

「安心しろ、難易度が高い本じゃなくて私は安心している」

「そうじゃないよ!? 自分の好みが暴け出されるのが嫌なんだよっ」


「海水浴ではスイカ割りという儀式を行うと聞いている」

「スイカ割り? なんだ、そりゃ。スイカ割るだけでなんで儀式なんだ?」

 出た、セラと秋月の謎トーク。怪しいのでそれとなく聞き耳を立ててみよう。

「うむ。スイカ割りはただスイカを割るだけではなく、視力、平衡感覚を封じた状態で遠距離に設置されたスイカを粉々に砕く……というものだ」

「なんだそれ……面白そうじゃねーか!?」

「あぁ、俺はこの儀式を五感を封じられた状態でも的確に敵の頂点を真っ二つにする……という修行のひとつだと推測しているのだが」

「おぉ、修行か。俄然燃えてきたぜ」

「違うからね!? その知識違うからね!?」

 んな恐ろしい訓練のわけないでしょ!?


「うん、みんな随分楽しそうだし、こりゃ僕も行かないとね」

「んー、うん。僕も行ってみたい!」

 ってなわけであちらこちらで海トークが始まった。

 収拾がつかないよ、これじゃ。

「うんうん。諸君の気持ちはわかったよ」

 目を閉じて頷くリュウ。そしてその言葉で全員リュウに視線を戻す。

「でもね、さっき孔弌君が言ったように式神の件が片付くまで君達は僕の張った結界で外に出られない」

「!?」

 その場の全員に衝撃が走る。


「全員、集まれ。作戦会議を開く」

 言葉に従いアルテ(超真面目な顔)の周囲に即座に集まる皆。

「いいか、これからは効率のいい式神捜索のために理詰めの布陣を敷こうと思う」

 机の真ん中にどこからか街の地図、駒を取り出して

「こことここ、それからここには……、もちろんその場合は戦闘要員をまわす」

「アルテ、ここの人員をこっちの影に隠すのはどうだい? 僕はこっちのほうが面白いと思うよ。そうすれば町を組まなく囲い込めて行くと思うんだけど」

「……こっちの水辺はボクが張れる。だから碧鮮の案はここに取り入れるといい」

 なんか滅茶苦茶本気で作戦練ってるんですけど。

 その団結力の動力源が海水浴ってのが何ともあれだね。


「ふっふっふっ、これで事件解決が更に早くなったね」

「リュウ、まさか……?」

 これを予見して僕に海の話を振ってきたのか?

「いやいや、流石の僕もそこまで先を読めるわけじゃないよ……ふふふ」

 こいつ、ただのバカじゃない!? 少しできるバカだっ! できバカと呼ぼう。

「うわー、今すっごいバカにしたでしょ僕の事」

「このやり取りは今まで何回もしてきたから、もうやめようよ」

 僕の周りには読心能力の持ち主が多すぎると思う。

「そうだね……」




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。