「取るに足らない微小な存在」
結局、謎のポイントが付与されたまま一巡した。
あのポイントについては何も説明ないけど、果たして何なんだ。
「さ、再び孔弌君からスタート。2週目だよ」
そしてまだ続くのかこれ……。
そろそろみんな飽きてきてるだろ。
こうなったら普通っぽい名前を出して、早くこれを終わらせよう。
普通っぽい名前……普通っぽい名前……。
「長谷川……八日市……どうかな?」
「何を言っているんだい孔弌君?」
「いや、普通っぽい名前にしようと思って……そうだ、長谷川と八日市を足して長谷ヶ市……なんてどうだろう?」
我ながらナイスな名前だ。
「君の思考回路にはいつも驚かされるよ……いや、そもそも繋がってないから回路じゃないのか。大裳の位はこの名前どう思うんだい?」
さりげなく失礼なこと言われた。
「えらいっ、感動したぁっ!」
おぉ、感動させちゃった。
「孔弌君2点」
「……ん、やっとボクの番なの」
テンちゃん、さり気なく待ち焦がれてたんだ……。
そしてチコの喋り方がうつってる。
「ボクは小物という意味をこめて、小石……がいい」
なんか今日のテンちゃんえげつないな……。小者ではなく、小物というさりげなく人扱いしていない所もポイントだ。
「僕としてはその辺にある砂利みたいでとるに足らない微小な存在という意味でアリだと思うんだけど」
今回は深く意味を読んできたなぁ。
まぁ判断基準は相変わらずさっぱりわからないけど……。
「なるほど、自分が小物だなんて思ってもみなかったぜ」
そりゃ君の性格ならそうだろうけど……。
「天奈君1点!」
やっぱり点はあげるんだ……。
「そうだね、それなら僕も小物……っていう意味で名前を送ろうかな」
さっきまでの流れ:バカ
現在の流れ:小物
「元は小さな川を意味する言葉だけど、時として微小なものの例えに使われる涓流なんてどうかな……?」
涓流なんて言葉はじめて聞いたよ。子供っぽくみえて意外と博識なんだな……。
それにしても微小なものって……。
「すけべったらしい名前だね」
どこが!?
「まぁ僕はかなりいいと思うよ、君はどうだい?」
「どちらかというと限りなく水に近い氷みたいな名前がいいなぁ」
例えがわからん……。
「スザク君1点」
「私もそうだなぁ、もう少し考えた名前にするか……」
やっぱり一週目はてきとうに言ってたんだ……。
「遊楽にふけって放蕩することを意味する流連荒亡の前半を取って流連……なんてどうだ?」
一見かっこいいように見えて、かなり嫌な意味が込められてるね。
「ちなみに流連単体だと遊楽にふけって家に帰るのを忘れるぐらいの意味になるそうだ」
どちらにしろほとんど意味変わらないじゃないか……。
「僕もよく流連しちゃうよ」
「ちなみに俺もだぜ」
「それなら尚更いい名前じゃないか、アルテ君1点!」
そんなやつが二人もうちに住むことになるのか……。
ていうか一人は現在進行形だ……。
「ならばわしはその流連……の読み方を変えて、流連などどうじゃ?」
そんな読み方できるんだ……。さっきの謎の洋風ネームと180度違う名前でおじさんびっくりですわ。
って、いくら読み方変えてみても名前に込められてる意味はアルテと同じで道楽者の意味だよね?
「なるほど……そちらのほうできたか」
アルテは何勉強になったみたいな顔してんの!?
「読み方を変えてきたか。もうここから先は好みの問題だね……君はどうするんだい?」
「将棋なら負けねぇ」
話がかみ合ってないなんてレベルじゃない……。
「蛍君、1点!」
うん、とりあえずどんな答えでもとりあえず点はあげるんだね。
今度はアロチコの番か……。
「みゃあ、みゃあ」
って、またチコが何か言ってる!
「通訳じゃ……二回目も引き続き私が答えますなの」
「み~」
「そうですねなの……ここまで小物とか流れとかそういう意味できているので……合わせてせせらぎなんてどうでしょうかなの」
あの『み~』という短い鳴き声の中にこれほどの意味が込められているなんて……。
「せせらぎ……か。漢字で書くとするなら潺ってところかな。うん、素敵だと思うよ。大裳の位(もうすぐ××)はどうだい?」
「もうこれでいいんじゃねぇか?」
あー、本人が決定しちゃった!
「そんな安直でいいのかい?」
「限りなく無考に近い熟考だ」
さっきからその言い回しが気になって仕方ないんだけど……。
「では、大裳の位の名前は『せせらぎ』で決定ということにするけど、みんなはかまわないかい?」
その言葉に頷く一同。
って、本当にここまで引っ張ってこんなあっさり決めちゃっていいの!?
しかも猫(生後一ヶ月半)に決められちゃったけどいいのかな……。
「おう、みんなよろしくな」
うわぁ、さわやか。
「それじゃ、あれするよ?」
「あぁ、頼んだよ孔弌君」
リュウの言葉に頷いて
「君の名前は今から『潺』だ」
そして、いつものように光って、
いつものように手の紋様の色が1つ増えた。檜皮色か。
こうして、また我が家に一人家族が増えた。やったねテンちゃん!
「というわけで孔弌よ、俺は部屋をコーディネートするのに必要な物の買い出しに行ってくる」
あのあと昼食を食べて、せせらぎ……あぁめんどくさいセラでいいや。
セラにみんなと同じようにお小遣いを渡した。
本人はさっそく出かけるつもりらしいけど……。
「とてつもなく心配だから誰か同伴してあげて……」
このノウタリンを一人で買い物に出すなんて危険すぎる。
はじめてのおつかいに行く子供より危なっかしくて見てられないよ……。
多分、カルガモの親子よりハラハラする。
「ん、それなら私が付いていこう。どうせ、他の者が同伴したところでこいつを制御できるとは思えないからな」
おぉ、流石アルテ。
色々とわかってらっしゃる。
恐らく僕が同伴しても、セラの手綱を操ることは不可能だろう。
「わりぃな」
「お前はどうするんだ? 一緒に来てくれるのか?」
とアルテ。
「え、僕?」
う~ん……人の買い物に付き合うのって得意じゃないんだけど
「まぁいっか。そうだね、僕もついて行くよ」
そもそも本当は僕が一人で付き添って、色々と教えてあげないといけないわけだしね。




