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欠落症  作者: アズ
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「それでも、この気持ちは」

 私は頻繁に夢を見る。

 女の子と男の子が冒険する夢。

 私が知っている景色が流れる。

 男の子のことを、私は知らない。

 でも、とても大切な時間で、男の子に惹かれている自分がいる。

 いつしか、この夢を見るのが楽しみになった。






 返しそびれた手袋を握りしめる。不格好で、でも暖かさが優しい。これを作った人の温もりが伝わってくる。贈った人のことを大切に思っていたのだろう。それを私が持つ資格はない。早く返さないと。わかってはいるが、なぜか気が進まない。なぜだろう。

 彼は広香(かのじょ)の幻影を追っている。私ではない。それでも、この気持ちは。

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