#59 3月の思い出
~ルルン~
20代くらいの青年。
イラスト、アニメ、ゲームが趣味。
文章は丁寧に書き込むけど遠回りな表現は苦手。
小説の腕はアマチュアなので、優しく見守ってね。
#59 3月の思い出
大阪に来てから2週間ほど経った。
気がつけば2月も後半。
今年はうるう年で29日まである。
リモート授業にも慣れ、もうすぐ3月に入る。
そんなある日の放課後。
今日も今日とて山村と話をしていた。
[お疲れ、友。もうすぐ僕たちのところは3月だねえ。」
いや、全国的に...全世界的にそうだろ。
「そ、そうか...もう3月なのか...」
[学園ではもう卒業式の準備をしているよ。君も参加するのか、な?]
「た、多分...な?」
今年の卒業式は3月1日。
間に合わないのでリモートで参加することになるだろう。
するとなぜかチョコレートのチラシを僕の画面に映す幸佳。
そして画面には山村と幸佳しかいないので幸佳も話しかけてくる。
[チョコレート...!待ってる...から....!]
なんで?
[あっはっは。ほら、3月といえばホワイトデーだろ?だからさ、友。]
いや、バレンタインでチョコもらえてなかったんですけど。。。
[いやいやすまない。バレンタインの日、幸佳も君のために用意する、って
張り切っていたのだがな...]
大阪に行ってたから渡せなかったか。
[交換...!チョコ、交換...する...!]
なるほど。そういうことなら喜んで受け入れよう。
「分かった。じゃあ楽しみに待ってて。」
-----------------------------------------------------------------------------------------------------
ついに3月になった。
姉とお大阪にいられるのもあと1週間程度。
長かったようで短い期間だったな。
...まだ終わってないけど。
休日、姉と一緒に大阪の街を散策することにした僕。
次の土曜日の新幹線で帰るので休日としては今日が最後である。
3月になったとはいえ、外はまだまだ肌寒い。
街ではホワイトデーイベントがすでに始まっていた。
「そういえばもうすぐホワイトデーだね。」
ホワイトデー、か。
そういえば幸佳にチョコを渡す約束をしたんだった。
「な、なあ。ちょっと見てきていいか...?」
「おやおやー?一体誰にあげるのかなー?」
ちょっと見てくると言っただけなのに、かなりの食いつきを見せる姉。
「誰だっていいだろ?!姉ちゃんにはあげ...」
ふふふとニヤニヤしている姉。
「と、とにかく行ってくる...!」
----
姉を置いて、チョコレート菓子の専門店にやってきた。
「いらっしゃいませー。」
正面に並んだショーケースにはたくさんの種類のチョコレート菓子が並ぶ。
「お客様、ホワイトデーのお返し用ですか?」
並ぶ商品を見ていると、店員さんが話しかけてきた。
「は、はい...そう、です、ね...」
「それでしたら、こちらがおすすめかと!」
そう言って左側のショーケースにあるチョコレートを指す。
ははあ、悪くはないが特別感がない...
「お、大阪...関西限定のチョコとか...あります?」
----
しばらくして。
姉は近くのベンチに座って待っていた。
無事にチョコを買うことができた僕はホテルに帰るよう急かした。
「買えた?...そう、チョコが溶けたら台無しだもんね。」
...というわけで一度ホテルに戻ってきた。
そして帰ってきた頃にはすでに夕方だった。
「たぁーっ、大阪での暮らしももうすぐ終わりかーー。」
帰ってきて唐突に言い出す姉。
青からオレンジへ、ゆっくりと変わる空を眺めていた僕は、突然
先週のこのはの話を思い出す。
「な、なあ...今から100万ドルの夜景って見に行けると思う...か?」
「はい?」
...迷っている暇はなかった。
調べると、ここから目的地までは1時間ほどかかるらしい。
「本当に行くのー?ここからの夜景で十分じゃん...?」
確かにここの夜景も絶景だ。何しろ45階なのだから。
「でもせっかく近くまで来たんだ。
それに...山の上だとまた空気が違いそう...だろ...?」
分かった分かった、と外に出る用意をしてくれた姉。
すぐさま駅に向かった。
---1時間後。
到着したのは摩耶山という六甲山地の中央に位置する標高700メートルほどの山。
夜景を見れる場所はいくつかあるようだが、今回はオーソドックスかつ
綺麗に見えるこの山に行くことにした。
天気は問題なく、人もいうほど多くなかった。
「わ、わああ!!」
行く前はあんなに乗り気じゃなかった姉も、この景色を見て驚かないわけが
なかった。
遠く、どこまでも広がる光の数。
右手側は大阪、真ん中周辺は神戸、そして左手側は明石海峡、淡路島である。
大阪側は、湾の形が綺麗に見て取れ、息を吞むほど美しかった。
「な...来てよかった...だろ...?」
パシャ、パシャ...
僕の小言も聞かず、姉は写真を撮っていた。
「とんでもないね、これ...!ホテルの夜景とは比べものにならない!!」
山の上から見る夜景は想像以上の美しさである。
...そして気がつけば周囲には僕と姉以外、誰もいなくなっていた。
「そろそろ降りよっか。」
---時間にして1時間もなかったが、あまり遅いと帰るのまで遅くなるので
そろそろ帰ることにした...。
-----------------------------------------------------------------------------------------------------
1週間後、土曜日。
大阪での旅も終わりを告げようとしていた。
行きよりも多くなった荷物は、一度では持っていけそうにないほどだったので
一部のお土産品などは郵送することになった。
持ってきたスーツケースに入る分は詰め込む。
「ついにここともお別れかー...なんかちょっと寂しいね...。」
姉も感傷に浸っている。
荷物をまとめ、何もない部屋を見ると自分の部屋の引っ越しを思い出す。
確かにこれは寂しい。
「またな、大阪...」
---
新幹線に乗るため新大阪にやってきた。
ホームを歩いていると、たこ焼き屋さんが目に付く。
...そういえば美里愛にたこ焼きの注文を受けてたんだっけ。
まだ時間はありそうなのでちょっと寄ってみた。
「らっしゃい。」
...たこ焼きってここから東京まで持って帰れるかな。
まあその日のうちなら問題ないだろう。
「どれにしゃす?」
メニューを見てみると、
定番ソースにおろしポン酢、チーズやエビマヨなど...
さすが本場のたこ焼き屋。東京の店舗よりいろいろと種類があった。
とりあえずいくつか注文しておいた。
------そして3時間後...
「んあーっ、帰ってきたーー!」
1か月間の出張を終え、東京に戻ってきた。
「な、なあ...ちょっと先に寄りたい場所が...」
美里愛の家はちょうど駅からの帰り道付近にあるので先に寄っておきたかった。
もちろんたこ焼きを渡すためである。
「えー、そんなの後でいいじゃん。帰ってからでも遅くないでしょ?」
うぅーん...それでも...
珍しく僕が優柔不断にさせられた。
「わ、分かった...姉ちゃんは先に帰ってても...」
そこまで言って思った。
家にもし美里愛しかいなかったらかなりまずいことになるぞ...!!
「そう。それじゃあ先に帰...」
「やっぱ帰らないで...!!」
僕は帰ろうとする姉を止めていた。
「もうっ...分かった分かった。一緒に行くよ...!」
帰ってきて早々優柔不断になっている僕なのであった...。
続く...
はじめまして、ルルンです。
クスッと笑える作品を作りたくて文章を書きはじめました。
気軽に反応を頂けると嬉しいです。
少しでも楽しんでいただける作品を目指していきます、
どうかよろしくお願いいたします!




