#21 奄美大島
~ルルン~
20代くらいの青年。
イラスト、アニメ、ゲームが趣味。
文章は丁寧に書き込むけど遠回りな表現は苦手。
小説の腕はアマチュアなので、優しく見守ってね。
#21 奄美大島
夏休みになって数日。
ついに明日は帰省のため奄美大島へと旅立つ日である。
その日の夜。姉と一緒に最後の準備をしていた。
「えー...日焼け止めに、虫よけスプレー...
いや、これ一昨年のだから向こう行ってから新しいの買おうかな...」
ひとりで何やら言っている。
「そ、そういえば俺はまだ半年振りだけど、姉ちゃんは2年半振りなんだっけ。」
「そうだねー!去年まで帰ってなかったから、すっごく楽しみ!!」
奄美大島。九州の南、鹿児島県に所属し、
鹿児島県本土と沖縄本島のちょうど中間に位置する亜熱帯の島だ。
島には国内第2位の大きさを誇るマングローブをはじめ、
アマミノクロウサギやアマミアオガエルなど、
ここにしかいない固有種もたくさん存在する。
その一方で、奄美大島の中心地、名瀬は鹿児島県でも有数の繁華街なのである。
...と、つい我を忘れ島の魅力を妄想していると、
「翔?どうしたの?ぼーっとして...」
姉に心配されていた。
-------------------------------------------------------------------------
出発当日。
朝早くから空港にやってきた僕と姉。
そう。離島である以上、電車や車では行くことができないのだ。
夏休みというだけあって人がたくさんいる。
「間もなく、奄美大島行の搭乗を開始いたします。
番号を確認し、こちらにお並びください。」
さっそく飛行機に搭乗する。
---
奄美大島への飛行機便は、東京(成田)、大阪(関空/伊丹)、鹿児島など
主要都市なら直行便で繋がっている。
フライト時間はここ、成田からなら1時間半くらいだ。
...まるで一度行ったことがあるかのような説明。
は...半年前、ひとりで乗ってやってきたのだからな...!!
---それから約1時間半。
飛行機は無事、奄美大島に着いた。
「うーん、風が生ぬるーい!」
その通りだった。
この日の気温は31℃。東京と比較するとやや低めである。
しかし海からの風がある分、もわっとしていてかなり蒸し暑く感じる。
「レンタカー借りてくるね、ここで待ってて!」
いや、一緒に行くよ!!
---
無事にレンタカーを借りた。
そう、ここは離島である。離島に電車はない。
バスはあっても1時間に数本しかないのでかなり動きづらい。
よってレンタカーのほうが楽なのである。
「それじゃあまずは家に向かいますか...!」
そう言って音楽をかけ、ドライブが始まる。
僕にとってはいつもの夏と変わらない夏である。
しかし姉と一緒に帰ってきた夏はちょっと特別だった...。
---そこからさらに数時間。
我々は実家のある場所へとたどり着いた。
「到着でーす♪」
木々が生い茂っている。
すぐ近くは住宅地だが、実家はその住宅地よりも少し高い位置に建っている。
風が心地よい。
都会の乾いた風とは大違いだ。
「お帰り、翔。美月。よく来たねえ。」
さっそくおばあちゃんが出迎えてくれた。
「あ、おばあちゃん!!ただいま!!」
2年振りの再会に喜ぶ孫の姉。
「おお、帰ってきたか。」
部屋の奥からお父さんの声がする。
「ただいま、お父さん!!」
そう言って部屋の奥へ向かう僕と姉。すると
「よお、美月ちゃん!!元気してたか?」
「あらあら。お孫さん?どうもねえ。」
「よっ!若い人がやってきたぞ!!」
たくさんの親戚がいた。その中には...
「あらぁ?翔に美月じゃん!!
帰ってくるって連絡してくれれば一緒に帰ったのにぃ!」
と言って大きく笑う友梨亜おばさんの姿も。
そう、ゴールデンウィークに遊びに連れていってくれたあのおばさんである。
「あれ、友梨亜姉、翔や美月と会うのは久しぶりじゃないのか?」
父が友梨亜おばさんに質問する。
「あー、そうそう。この間、
ゴールデンウィークのときにねぇ、この子たちを連れて遊びに行ったのよぉ?」
...と、こちらを見てそういう友梨亜おばさん。
そうだったか、と笑顔でお父さんもこちらを見る。
「まあまあ、じゃあジュースでも注ごうね、どれがいい?」
親戚のおじさんが僕にジュースを注ぐ。
「あ、ありがとうございます...」
旅先から帰ってきたばかりなのに休まることができない。すると、
「翔、美月。アンタら2階で休んだらどうね?」
おばあちゃんがそう言ってゆっくりと廊下のほうからやってくる。
さすがおばあちゃんだな。
「おお、そうだったな。東京から帰ってきたばかりだというのにすまんかった。
2人はゆっくり休んでおいで。」
お父さんも快く進めてくれた。
親戚やおばさんたちに軽く礼をして、荷物と共に2階へと上がる。
---
「ふぅー、びっくりしたぁ...」
扉を閉め、ようやく一息つくことができた僕と姉。
「なんか親戚の人がいっぱいいたな。」
ちょうど夏休みだからか。
静かになった部屋でひとり外を眺めている僕。
そう、ここは父方の実家である。
父はこの島出身で、母は鹿児島(本土)出身。
母は今、鹿児島のおばさん(母方の姉)のところにいる。
去年の秋、おばあちゃん(母方の母)が病で倒れ
鹿児島で入院しているからである。
僕はそのとき中学生でしかも受験前だったこともあり、父が島に残ってくれた。
それからおばあちゃんは無事退院できたそうで、
母は早ければ今月中にでもここ(島)に戻って来るとのこと。
もしかしたら僕らがここにいる間に会えるかもな。
...そんなことを考えているうち、
旅の疲れもあっていつのまにか眠っていた僕だった...。
----------------
その日の夜。鹿児島県鹿児島市。
桜島の対岸にはキラキラと輝く市街地が続く。
街のほぼ中心にある大きな港の待合室。
微かに見える桜島を眺め、想いにふける女性がいた。
「......翔と美月はもう帰ってきたのかしら...」
ひとり呟くその女性。そう、僕の母である。
---[あなたの愛する人のところに帰りなさい。母さんはもう大丈夫だから。]
脳裏に浮かぶ母の言葉。
それと同時にこれまでのことも思い返していた。
-------
去年の秋。突然、姉さんから電話がかかってきた。
「え...母さんが倒れた...?!...わかった、できるだけ早くそっちに行く。」
電話越しで伝わる緊張感。翔も大体は理解していたと思う。
「しかし参ったなぁ...翔を置いていくわけにもいかないし...」
当時中学生、受験勉強の真っ只中という大事な時期の息子を
ここで邪魔をするわけにもいかない。
「私、ひとりで行ってくる。あなた、翔のこと頼んだわよ。」
ここは私の家族の問題。きっと母さんもすぐ元気になってくれる。
「そうだな。よし、空港までは僕が送ろう。」
こうして翌日、私は鹿児島に降り立ったのである...。
-------
それから約1年。
母は無事に退院したし、翔も無事に入学できたみたいでよかった。
もちろん母をここ(鹿児島)に残すのは心配だが、
姉がいてくれるから少しは安心できる。
それに、私の愛する人達を残してきたままだから...
こうして母は船に乗り込むと、夜の街を眺めながら
僕たちへの想いと共にこの場所を後にしたのであった...
続く...?
はじめまして、ルルンです。
クスッと笑える作品を作りたくて文章を書きはじめました。
気軽に反応を頂けると嬉しいです。
少しでも楽しんでいただける作品を目指していきます、
どうかよろしくお願いいたします!




