23話 マリオネット○ート。
炎が消えると同時、目の前にかざしていた手を横に振るう。
「さあ、人生最後のショータイムだ!好きに踊れ!!」
とわを囲むように小さな爆発がいくつも起きる。
・・・俺は何も言ってない。
とわは絶句した。
風に揺れるオレンジの髪はいつもより短く、上を向く前髪とさらされたおでこ、凛とした表情。
映像としてそれを見るユリエルは「ほほおぅ」と息を吐いた。
もうそこに小さなドラゴンの姿はない。
とわが一歩足を踏み出す。
縛られたままのエルクも息を飲む。
服もいつものものから変わり、全身を包む黒の上から刺繍の施されたオレンジの布を左半身に纏わせ、腕輪やベルトなどに黒く輝く装飾品がつけられている。
どことなく和を思わせる格好。
姿と雰囲気から神々しさのようなものが感じられる。
それを感じたのは眼帯の男も同じだ。
「人質だ!!人質を取れ!!」
慌てて振り返り地面にいるティウへと向かう。
「がふっ!、?」
一瞬だった。
気付けば眼帯の男は首を掴まれとわに片腕で持ち上げられている。
「分かるか?これが!王竜の力だ!なんで、こんなのに手を出そうと思ったんだろうな、お前は。」
さっきまでの少年とは別次元の力、高圧的な態度、眼帯の盗賊は恐怖に表情を歪ませる。
その時だ、警告を知らせる音がとわの携帯から響く。
『error!!!!error!!』
「エラー?ユリエルなに?」
眉間に皺を寄せ、とわではないとわが声を出す。
『・・・問題ない。ただプラスハートでも王竜の力、全ては受け入れられなかった、それだけ。・・・充分?』
「ああ、充分過ぎる力があるね!!」
とわは眼帯の男を棄てるように投げる、返す手をそのまま振るうとエルクの近くで立ちつくしていた盗賊達を炎が燃やす。
『説明する。プラスハートとは絆を結んだものとの融合能力、とわっちとルビっちが一つになった今、とわっちとの契約で縛られたルビっちの能力の制限は消えている。・・・今回はチュートリアル、ナナエルがやるけど、次からは自分で戦う。』
「と!いう訳だ!」
王竜の力をその身に宿したとわがゆっくりと腰を抜かしたような眼帯に向けて歩く。
「過保護な様で悪いんだけどさ、頑張ろうとしてる子をさ、笑いながら蹴落とそうなんて奴は・・・イライラすんだよ。」
睨まれる眼帯が感じる圧力は王竜に感じていたそれだった。
とわの胸の前にある右手の中で連続して赤い光が弾ける。
「た、たすけてっ、」
眼帯の顔からはいろいろな汁が垂れ流しで、しゃがみ込んだ地面にも水たまりが出来ていた。
それに気付いたとわは鼻で笑う。
「嫌だね。」
ビクンと震える眼帯の全身。
「ああ、いや、でもどうしようかな。・・・うん、殺す。どうでもいいんだよ、人間の命なんてさ。」
「な!!なんなんだよ!!なんなんだよ、誰なんだよお前は!!」
自分の命の軽さを嘆き全身全霊で叫ぶ男。
「・・・そうだな、お前を殺すのはとわでも王竜でもない、ただの名もない天使だ。覚えなくていい、恨むのは自由だけどな。」
とわの態度はもう目の前の男に興味などなく、ただ作業として殺そうとしていることが感じられた。
「・・・ふざけるな。」
小さくそれでも怒りを帯びた声、それを出したのは紛れもないとわ自身だった。




