第十六話《『触手娘』とも言えるスキュラっ娘は俺にとってストライクど真ん中な存在なのだ!》
『スキュラ』とは、下半身がタコの脚になっているモンスター娘だ。犬がくっついているタイプのスキュラもいるが、今回はタコ人間・イカ人間のスキュラについて語ろうと思う。
前にも話したが、俺は『触手に襲われる女の子』という性癖を経由してモンスター娘に目覚めた。これは『いっそ、襲う触手自体が女の子の方がエロいんじゃね?』という発想がキッカケになっているとかいないとか。つまり『触手娘』とも言えるスキュラっ娘は、俺にとってストライクど真ん中な存在なのだ!
人魚と同じ魚介系モン娘であるスキュラは、きっとヌルヌルしているに違いない。軟体なタコ娘なので、それはもう人魚以上に粘液まみれだろう。海藻みたいな髪の毛もヌメヌメで、抱き着いたらきっとベチョベチョになるよね!
スキュラは他のモン娘より人外度が高いと思う。俺のスキュラのイメージは青肌だ。青肌で、粘液でヌルヌルで、下半身の無数の触手が絡み付き、吸盤が吸い付いて離れない。軟体の身体は柔らかく、ぐにょぐにょで、生臭い磯の香りに興奮する!
モン娘と呼ぶよりも人外娘、魔物娘と呼ぶ方が相応しいかもしれないスキュラっ娘。俺はスキュラっ娘に襲われたい! 粘液まみれにされて、触手から逃れられず! めちゃくちゃにされたい! ドロドロに! うわ、うわぁぁぁあああ!!!!!!!!
◆ ◆
「という訳でスキュラっ娘! さっそくいきます!」
「どういう訳だか知らないが、アルラウネも大丈夫だったからな。もう何に変身しても大丈夫だろうが、一応慎重にな」
「了解ッ! 『モードスキュラ』! 変……身ッ!」 全裸の少女の肉体が、スライムに変化していく。そういえば、スライムに変わる所は鏡で見た事なかったっけ。女王の鏡を見ると、淡いピンク色の肌が徐々に青緑色に変わっていく瞬間だった。うわー、スライムになる瞬間って、俺こんな顔してたんだ……! 頬を赤らめた美少女が、恍惚の表情を浮かべていた。
「あっ、ぐぁ」
そんな自分の姿を見ていたせいもあるのだろう、ビリビリとした強烈な衝撃が身体の芯を襲う。手を握りしめ、なんとか意識を保つ俺。スライム娘になったなら、太ももの付け根辺りから脚を生やすイメージで触手を作っていく。アラクネと同じく合計八本だ。
「んぁ、ふぅ、ふぅ、あっ、あぁ、うぁ」
皮膚を引っ張られるように、新たな脚がズルズルと伸びる。六本の触手が伸び終えたら、今度は自分自身の脚も触手に作り替える。全ての触手に吸盤を付ければ下半身の完成だ。
「うぅ、くっ、ふぁ」
下半身の造形が出来たら、いよいよ次は全身を軟体ボディに変える番だ。アルラウネのように動物から植物へ変わる訳ではないが、しかし全身の変化だ。うわ、超ドキドキする! おかしくなっちゃいそう! 息を整え、スライム化を解きながら、いざいざ、軟体チェンジ!
「あ、あぁぁああ! あん、ふぁ、あ、あ、あぁ、んぐっ、ふぅ、うっ、うぅ」
スライム化を完全に解いた瞬間、俺は自分の身体を支えられず崩れ落ちてしまった。床に突っ伏したまま、自分を抱きしめるような格好で動きを止め、少し休憩する。どうやら軟体の身体を支えるのには苦労しそうだ。
顔を上げると、女王とハオン星人が駆け寄って来ていた。何か言っているようだが、音がぼやけて聞き取れない。頭がクラクラしているからだろうか。
「俺、は、大丈夫です、よ。ちょっと、衝撃が、あっただけ、だから」
自分は無事だと、どうにか言葉を絞り出す。落ち着いてきた。触手で身体を支え、なんとか立ち上がる。自分の身体を見ると、グレーに近い青い肌になっていた。髪も青系の色に変わっているようだ。粘液まみれの手を握ると、ぐにゃりとして、骨を感じない柔らかさだった。
女王の鏡を見る。粘液でテカテカ光る、妖艶な肉体が写し出される。前髪で隠れたアンニュイで虚ろな瞳も素敵だ。下腹部から太ももにかけての部分、触手の生え際が、何とも生々しい。それが自分の身体、美少女の身体の一部だと思うと、なんだかゾワゾワする! うわ、すごい変な気分!
「ふふっ、いい気持ち」
俺はズルズルと触手を引きずりながら、這うようにハオン星人に近付いていく。俺ね、ハオン星人の身体に触ってみたかったの。戸惑うハオン星人に抱き着く俺。あれ? ハオン星人、これ銀色の服じゃない。これ素肌だ。うわぁ、なんかエロい。ふふふ、ヌルヌルだぁ。ケンタウロス、アラクネを経て多脚に大分慣れた俺は、上手い具合に触手を操りハオン星人に絡み付く。上半身の二本の腕をハオン星人の背中にまわし、胸に顔をうずめる。身長差が50cm程あるので丁度良い感じだ。下半身の八本の触手はそれぞれ、押し倒したハオン星人の両腕、足首と太もも、胸と首を拘束している。俺は、高速で点滅しているハオン星人の胸のランプを舐める。ジタバタしていたハオン星人は、ビクンと痙攣しておとなしくなった。
「ふふふ、可愛いですね」
再びジタバタし始めるハオン星人に身体を密着させ、高めの体温を感じる。元々体温が高い宇宙人なのかな? それともそれとも。
「もしかして、興奮してますか? ふふっ、可愛い」
……あ、ヤバイな。俺暴走してるわ。割と意識はハッキリしてるけど止めらんない。えーと、女王はいずこ?
「あっ、女王様ー! 一緒にやりましょー!」
視界に入った女王に、本能のままに声をかける俺! 女王はハオン星人の椅子に座り、頬杖をついて俺達を見ていた。あれ、止めてくれないの? 暴走してるよ? 俺。
「ハオン星人さーん、どこが良いですかー、ここですかー、ふふっ、うふふふ、うふふっ」
俺がハオン星人の全身に触手を張り巡らせ始めた、その時だ。
「もう、いい加減に、やめろって、言ってるのが、聞こえないのかしらーッ!」
「ひゃう!?」
ハオン星人の胸のピンクの点滅が最高潮に達した時、凄まじい衝撃と光に俺は吹き飛ばされた! 放物線を描き、べちゃりと床にたたき付けられる俺!
「痛……くない! あっ、あれ、戻った!」
俺の正気(?)復活ッ!
◆ ◆
「なんなのもう! なんなの!? もうッ!」
うわっ、超怒ってる。怒ってるのに、なんかモジモジして目を合わせない!
「すみません、ハオン星人さん。俺、初めてのスキュラで暴走しちゃって」
人間の姿に戻り、服を着て眼鏡を装着した俺は、今回はきちんと謝る。
「まぁ、その、キモかったけど、その……気をつけなさいよねっ!」
誠意が通じた! さて次だ。
「でも、女王も止めてくれたら良かったのに。暴走してたの分かったでしょうに」
「そうか、いつもの貴様と同じに見えたからな。悪い悪い。次は気をつけるぞ」
ん? なんだろう、違和感がある。怒ってる感じでもないし、女王は何を考えている?
「あのまま倒してくれれば良かったのにな」
「……え?」
ハオン星人に聞こえないよう、女王が俺の耳元で囁いた。
「女王、それって」
「さぁ次は、いよいよ『モードキメラ』だな! 気を引き締めてやれよ!」
「あ、はい!」
気のせいだったのだろうと、俺はこの違和感をスルーした。
次回! ついにキメラ美少女降臨かッ!
第十六話:おわり